佐野元春&雪村いづみ、豪華コラボの集大成
◆佐野元春&雪村いづみ画像
佐野元春&雪村いづみの新曲として、2012年5月にiTunes限定でリリースされた「トーキョー・シック」。そして同月に行なわれたビルボードライブTOKYOでの共演も、大きな話題となった。このコラボレーションの集大成となるのが、佐野元春&雪村いづみ名義の『トーキョー・シック』と、佐野元春が企画監修した『スーパー・シック~雪村いづみオールタイム・ベストアルバム』の2作品だ。
佐野元春&雪村いづみ『トーキョー・シック』は、CD+DVD+豪華ブックレットで構成されたパッケージ商品。CDには、配信リリースされた「トーキョー・シック」(https://www.youtube.com/watch?v=JxoSjedSpSs)の他、同レコーディングセッションで録音された佐野&雪村の新曲「もう憎しみはない」、ビッグバンド形式で演奏された佐野のセルフカバー「こんな素敵な日には」「バイバイ・ハンディラブ」が収録される。編曲と指揮は、日本のビッグバンド・ジャズ界のベテラン前田憲男が担当。日本のジャズシーンを牽引してきた歴史的なミュージシャン総勢17名が一堂に会した、実に貴重なものとなっている。
楽曲「トーキョー・シック」について佐野は次のように語っている。
「両親が若かった頃や、雪村いづみさんが登場した時代に想いを馳せて書いた。戦後の復興期にあたって、人々を元気づけたのはこんな曲だったのではないか。」
DVDと52ページにも及ぶフォトブックレットには、このレコーディングセッションの模様とビルボードライブの記録が収められ、世代を超えた「トーキョー・シック・セッション」の全貌をビジュアルでも知ることができる。この豪華パッケージ商品は、限定生産だ。
そして、佐野元春が企画監修し、同時にリリースされる『スーパー・シック~雪村いづみオールタイム・ベストアルバム』は、2CD+DVD+別冊解説書という内容で、10代から現在まで、雪村いづみの魅力が余すことなくパッケージされている。
雪村にとって初となる、レーベルの枠を超えて選曲された2枚組CDには全50曲を収録。Disc 1を《MONO Years》、Disc 2を《STEREO Years》と題して、時代が明確に区切られているところも興味深い。Disc 1《MONO Years》は、戦後ジャズブームの真っただ中にデビューし、天才少女と呼ばれた10代の全盛時代のヒット曲、代表曲が網羅されている。
Disc 2《STEREO Years》は、1960年から1年に及ぶアメリカ公演を大成功させ、帰国後の録音から現在まで、ビッグシンガーとしての軌跡がまとめられている。ミュージカル、ジャズ、シャンソン等、選りすぐりの名唱がレーベルの枠を超えて収められている他、キャラメル・ママと共演した名盤『スーパー・ジェネレイション』から服部良一の名曲が3曲、さらに、荒井由実が当初いづみのために書き下ろした「ひこうき雲」の処女レコーディングも収録された(当時発売されなかったため、荒井由実が自ら歌って同名デビューアルバムに収録)。さらに佐野元春と共演した新曲2曲も収録されている。
注目の「スペシャルDVD」には、10代~現在までの、雪村いづみが出演した映画とテレビにおける歌唱シーン26曲(約45分)が収められ、まさに<オールタイム・ベストアルバム>の映像版という充実の内容。
デビュー当時(1954年)の新東宝映画における歌唱シーン(16曲)には、往年のジャズメンが多数参加したビクターオーケストラをバックに歌う場面など、テレビ放送開始以前の、日本の音楽史的にも大変貴重な映像が満載。後半のテレビ映像には、1963年の「紅白歌合戦」から2012年の「SONGS」まで、NHKテレビでの歌唱シーン10曲が収録され、キャラメル・ママとのスタジオライブ(3曲)など、充実したラインナップだ。
全84ページの「スペシャルBOOK」には、佐野元春のラジオ番組で実現した雪村とのトークセッションを紙上で再現するなど、雪村いづみの60周年を祝うにふさわしい、リスペクトに溢れた作品となっている。
佐野と雪村はともに東京生まれで東京育ち。佐野は雪村のことを「戦後モダニズムの精神を最も純粋なかたちで生き抜いた女性」と評している。
「かつて僕の両親が恋人同士だった頃、ふたりはよく新橋のダンスホールで踊っていた。僕が生まれる以前の話だ。そのダンスホールには、まだ10代だった頃の雪村いづみが専属歌手として唄っていた。僕の両親は彼女の歌声に合わせて踊り、ロマンスを育んでいたのだ。両親が生きていたら、今回の雪村さんとのセッションを見て何と思うだろう。」(佐野元春/アルバム『トーキョー・シック』ライナーノーツより)
佐野&雪村の共演盤『トーキョー・シック』と、雪村いづみオールタイム・ベストアルバム『スーパー・シック』。佐野元春がプロデュースしたこれら2つのパッケージは、戦後の日本ポップ史を今に繋ぐ重要な価値と意味をもったプロダクトといえる。
◆ビクターエンタテインメント雪村いづみオフィシャルサイト
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