【速レポ】<中津川ソーラー>DAY3、佐野元春 & THE COYOTE がみせた現在進行形の姿

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REVOLUTION STAGEは時間が近づくにつれ、自然発生的にハンドクラップが起こり、徐々に大きく響き始めていた。そして16時ちょうど、ステージにまず現れたのはTHE COYOTE BAND。ギタリストの深沼元昭と藤田 顕がフィードバックノイズを鳴らす中、ついに登場した佐野元春(Vo,G)。

◆佐野元春 画像

陽気なロックンロールの表情を持つイントロからオーディエンスの気持ちを掴みながら始まったのは「禅ビート」。2017年に発表した佐野元春 & THE COYOTE BANDとしての4作目『MANIJU』からの1曲だ。


ギターの深沼と藤田の他に、高桑 圭(B)、小松シゲル(Dr)、渡辺シュンスケ(Key)で構成されたTHE COYOTE BANDは、様々なキャリアを重ねてきたミュージシャン集団でもある。最初から安定したバンドサウンドだったが、ステージを重ねていったことで、力強さもグルーヴ感もはるかに強力なものに。

そんなサウンドを浴びながら、グレッチをストロークして歌う佐野元春も、実に気持ち良さそう。歌の合間にはオーディエンスと笑顔でコンタクトを交わすなど、思いっきりライブを楽しむ。



会場が中津川だからなのか。続いて披露するのは「ポーラスタア」。ここ中津川も夜になれば星が美しくまたたく姿を堪能できる。夜空を歌詞のストーリーに登場させるのが「ポーラスタア」であり、旅に出たくなるようなロマンある世界が広がる。そこから続くのは「愛が分母」。レコーディングに東京スカパラダイスオーケストラが参加したことでも話題となった曲で、スカの陽気なリズムが貫かれ、野外ライブにピッタリ。オーディエンスはハンドクラップしながら曲を楽しみ、また佐野元春もオーディエンスと一緒になってハンドクラップする場面もあり、気持ちはひとつに。そうなったところへ今年7月に発表した最新作『今、何処』にも収録されている「銀の月」を披露した。実にニクい選曲や流れだ。




また気づくのは過去のヒットソングや誰もが知る曲で構成していないこと。佐野元春 & THE COYOTE BANDを始動させてからの曲を主軸にしていて、まさに現在進行形の佐野元春の姿を見せていくライブのようだ。そして佐野元春自身も、今、この生のライブの瞬間ごとを全身で感じ、楽しんでいる。

「このフェスが始まって10年目ってこと、開催が3年ぶりってことを聞きました。おめでとうございます。主催している佐藤タイジくん、とてもいい考えを持っています。僕らは応援したいと思っています」──佐野元春

このフェス開催を祝福するように両腕が上がる中、披露されるのは「約束の橋」。1989年に発表した曲で、当時、スランプに陥っていた自分自身に向けて書いた曲だった。この数年、コロナで様々なことが世界中に未だに起こっていて、この<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>もこの2年間はハイブリッド型のオンラインフェスとなった。そして今、いろいろなことが再び動き始め、3年ぶりにこうして有観客で開催もできている。この中津川で鳴らす「約束の橋」は、オーディエンスはもちろん、開催に向けて頑張っている関係者にも、勇気や活力をさらに与えてくれる曲となって響く。


さらに喜びを与えてくれたのは、ラストに1980年のデビュー曲「アンジェリーナ」を聴かせてくれるという大サービスと太っ腹ぶり。熱心なファンらは嬉しさのあまりに涙し、多くのオーディエンスは曲と歌に聴き惚れながら熱狂。歌え終えたとき、開演直前の拍手の何十倍もの大きな拍手が巻き起こった。笑顔で拍手を受け止めながら、ステージを去るのが名残惜しそうな佐野元春だった。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎柴田恵理

【REVOLUTION STAGE】セットリスト

01. 禅ビート
02. ポーラスタア
03. 愛が分母
04. 銀の月
05. 純恋(すみれ)
06. エンタテイメント!
07. La Vita è Bella
08. 優しい闇
09. 約束の橋
10. アンジェリーナ

■<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>

日程:2022年9月23日(金・祝) 、24日(土)、25日(日)
会場:岐阜県中津川公園内特設ステージ

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