<FRF05>感動のレッド・マーキー、圧巻のライヴを見せたクラムボン

降ったり止んだりが続く天候のなか、苗場の冷たい雨に冷やされきった身体を引きずって午後7時頃、フィールド・オブ・ヘブンから遠路はるばるレッド・マーキーまで下山してきた。もちろん、クラムボンを観るためである。降り続いた雨で足場は緩くなり、ちょっと移動でも予想以上に体力を消耗。レッド・マーキーに着いた頃のぼくは、ヘトヘトだった。三十路も近くなると、この道程は結構な苦行なのだ。しかし、若干遅れ気味で進んでいたタイムテーブルのおかげで、どうにかこうにかスタート前には到着することができた。

「サラウンド」の演奏が終わるとメンバーは、ペコリと会釈をして会場を去った。しかし、レッド・マーキーは拍手喝采の渦。そして、アンコールの要求だ。なりやまない拍手の中、メンバーが再び登場し、ベースのミトがこう語った“これからやる曲は、新潟の地震が起こったときに流れたニュースを見て、作りました。この曲はどうしてもココでプレイしたかった”。そして、「バイタルサイン」が始まった。
原田郁子のヴォーカルとピアノ、ミトのベース、そして、伊藤大助のドラム。メンバー各々の演奏力を最大限にまで発揮したこの曲は、まさに圧倒的な迫力と凄まじいまでのエモーショナルを放っていた。しかし、佇まいは、あくまでクール。そこがクラムボンのクラムボンたる所以だろう。その飄々とした存在感の中には、恐ろしいまでの音楽に対するヴィジョンと情熱が込められている。そんな3人が奏でた「バイタルサイン」から、ぼくはロックの新しい形を感じることができた。
最後の一曲の演奏が終わっても、会場であるレッド・マーキーの興奮は収まることがなかった。拍手は鳴り止むことを知らず、いつまでも響いていた。たぶん、この日のクラムボンのライヴは、伝説として語り継がれる類のものだったと思う。ぼくはそんな歴史的なライヴを観ることができて本当に興奮していた。そして、この3人の音楽好きが起こした奇蹟を、ぼくは決して忘れないだろう。
取材・文●宮崎敬太
Photo/Masanori Naruse
クラムボン
2005/7/30 RED MARQUEE
パンと蜜をめしあがれ
はなれ ばなれ
インパクト
アンセム
ララバイ サラバイ
ハレルヤ
imagination
シカゴ
サラウンド
・アンコール
バイタルサイン
BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
FUJI ROCK FESTIVAL '05特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000001735
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