▲新曲タイトルのこと、 カップリングのことを語る! 上の画像を |
| ──レコード会社を移ってから1年で3枚のシングル、歌手としてはいいペースですね。
ソニン:1曲1曲、良い作品を作りたいと思ってるし、基本的に急がされるのがだめなんで、これくらいでギリギリかな。お芝居もやってましたし、けっこう忙しかったんですよ。休みがない忙しさはいいんだけど、バタバタした忙しさってダメ。影響されやすいんで、忙しくても落ち着いていればいいんですけど、周りがバタバタしてると私までアセっちゃって。
──'05年の第一弾として「あすなろ銀河」がリリースされます。これはスキマスイッチが作詞作曲ですね。
ソニン:この曲はかなり前から準備していたもので、私の想いがそのまま出ている曲ですね。スキマスイッチさんに曲を作ってもらえるという話が'04年の春先くらいにあって、そこで初めて彼らを知ったんですが、「奏(かなで)」を聴いて涙が出そうになりました。曲ができ上がってくるまで、彼らの曲を聴くうちにファンになっちゃって。歌詞の言葉や言い回しが、自分のフィーリングとすごく合うんです。嘘じゃないキレイな言葉で書かれていて、書いている人も、切ない心を持っている人なんじゃないかと思いますね。この曲をシングル曲にしようということになってからは、スキマスイッチさん側と話し合いながら完成形を作っていきました。すでに「ジグソーパズル」の前からできてたんですが、リリースのタイミングを計ってたんです。“今じゃないよな”ということで。
──この曲に出会った時はどんな風に思いましたか?
ソニン:詞を見た瞬間に“うわ、これは歌わなきゃ”ってカンジでしたね。良い悪いじゃなくて、歌わなければならないっていう。私の気持ちが全部出ているから、私が歌わなきゃって。想像なんですけど、つらい時や悲しい時に、ちゃんと自分と向き合ってた人だからこそ書ける詞なんじゃないかなと思う。常に隣にいる感情なんだけど、そういうものと戦ってきた人だからこそというか。また、こういう気持ちに浸りたいと思う時にもいいんですよね。落ち込んでいても、純粋に未来を信じる気持ちを持っているというところが素晴らしいと思います。キレイゴトじゃなくて、キレイに書けているっていうのかな。
──それを情感たっぷりに歌えるソニンはすごいですよ。良い曲です。“ほら 誰かが 笑いかけるよ”というところのコブシが素晴らしい。演歌の心を持ってる。
ソニン:そんなに“作って”はいないんですけど、歌い方は意識しましたね。歌詞がこうだからって“ツライ”って歌っちゃうと押し付けがましいし、どれくらい気持ちを出してどれくらいのテンションで歌うかっていう加減が難しくて、何回も試行錯誤を重ねて録り直しました。
──「あすなろ銀河」というタイトルはどうですか?
ソニン:直前まで仮タイトルだったんです。だからこのタイトルを訊いて“え、変わったの?”みたいな。“あすなろ”って何だ? “あすなろ白書”しか知らないなって。辞書で調べてからやっと意味が分かって、それでピッタリだなと思いました。“銀河”っていうのは、無限の成長っていう意味なんですね。すごく大好きなタイトルです。スキマスイッチさんが私にコメントを書いてくれて、大橋さんがとても大事にしていた曲だということで意味を教えてくれたんです。
──カップリング曲は古内東子さんの作品です。これも女の子の感情をうまく表現した曲です。
ソニン:この曲は'04年の頭にレコーディングしてあったんです。“ソニンに古内東子は合うんだよね”ってCDを渡されて。聴いてみると、切なさっていうのが声で表現されててすごくよかった。“これはぜひ歌ってみましょう”ということになったんです。でも実際に歌ってみると難しいんですよ。今までで、こんなに難しいと思ったのは初めて。技術面でコントロールできなくて。あと、気持ちの出し方がうまくいかなくて、ディレクターに何度もダメを出された。今までも女性の切なさっていうのをいっぱい歌ってきたけど、この曲は表現できなくて。で、歌う相手の年齢を上げたんですよ。それで上手くいきました。
──世の年上の男性は嬉しい限りですね。
ソニン:相手が年上の男性だと、自分もちょっと年上になった気分になるっていうか。そういうカンジを出したかったというか。古内さんは割りとサラッと歌っているけど、もうちょっとソニンらしくということで、もっと切なげに歌ってみました。でも気持ちを込めすぎないように、バラードで一歩引くカンジが分かってきました。
──ソニンのもう一つの要素としてギターの存在って大きいと思うんですが。ギターが上手くなって、そのぶん歌に集中もできるのかな。
ソニン:そんなに練習はしてないんだけど、ギターを弾くのは好きです。'04年に生バンドでやることが増えてきたから弾く機会が増えてきて、そしたら練習しなきゃならない。だから家でも練習するようになって、ギターをいじっているうちに自分で曲を作りたくもなってきたりとか。“音楽”っていうものに対して深く考える時間が多くなりましたね。
──追い詰められて?
ソニン:テレビの番組で「ほんとはね。」を引っさげてストリートライヴ全国100箇所というのをやったんです。同時に私のツアーもやってて。そこでもう訳がわからなくなってきて、その時に歌についてものすごく考えたんです。音楽って音を楽しむっていうことだけど、ホントに踊りたくなるくらい楽しくなったり興奮したり、切なくなったりするカンジが分かってきて、“やっぱ楽しくなんないとな”って思ったんです。そこから、訳の分からない思い詰めがなくなりました。生バンドでやっているのも楽しくなってきて、「あすなろ銀河」でドラムも叩いてますし。
──いろいろなことがあった一年でしたね。
ソニン:自分の音楽への携わり方、自分が音楽を通して何をしたいのかを見つけることがいっぱいできたかな。前より一個一個の作品に対する関わり方も変わってきた。音作りや歌い方、方向性というか“作品”を作り上げることに対して意欲的になってきました。楽しいです。
──これからはどんなミュージシャンになっていきたいですか?
ソニン:歌手、アーティストとしての道が開けたばかりだと思っています。ここからは自分の足で前に進むしかない。自分自身の生き方が歌やお芝居に反映するので、一歩ずつ人間として成長していけば、自分の作品が発展する。焦らず日々勉強というカンジで頑張っていきたいです。自分が楽しくないと楽しさは伝わらないし、かといって自己満足ではダメだから、表現者として判断していきたいと思います。25歳までが勝負です。
取材・文●森本 智 |
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