| ここ数年で日本の野外フェスティバルも数が増え、毎年、日程と出演者が発表される頃になると「どこ行く?」などと友人たちと夏休みの計画をたてている、という人も多いのではないだろうか? 筆者もそんな中の1人で、各フェスのオフィシャル・サイトや関連サイトなどで情報を集めて今年の目的地を決めた。それが<ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001>だった。
このフェスには昨年も行っていて、そのときにはモッシュピットにゴザを敷いてる馬鹿ちんがいたり、とにかく前へ前へとグリグリ圧してくる命知らずがいたり、と観る側の常識が足りない点が気になったけれども、今年は違っていた。昨年は転換の度に司会者が「圧さないで!」と何度も繰り返していたのに対し、今年は、筆者が観ていた限りでは一度もそうした注意を聞くことはなかった。
▲LAKE STAGE
▲GRASS STAGE | さて、ライヴの方はというと、ステージ後方に噴水を見下ろせるLAKE STAGEと、一面だだっ広い芝生に囲まれたGRASS STAGEの2箇所で計14アーティストが出演。双方のステージ間は徒歩15分くらいの距離なので、タイム・テーブルを見つつ、移動時間と体力を考えながら行動開始。
道路混雑で到着が遅れ、筆者が会場入りしたときにはLAKE STAGEでpre-schoolの演奏が終わりかけていた・・・。くぅっ、残念。次のMO'SOME TONEBENDERまでは30分あったのでフード・テントを見てまわる。トルコ、タイ、ガーナ、パキスタン、とワールド・ワイドなカレー店を覗きつつ、まずはビールで水分補給。
ほぼ定刻に始まったMO'SOME TONEBENDER。MCらしいMCもなく、黙々と力のこもった演奏を続ける生一本なライヴにスタンディング・ゾーンも大盛り上がり。ここで気合も入り、筆者はGRASS STAGEへ移動。快晴の空と清々しい風が吹く中、TRICERATOPSが登場。 ▲TRICERATOPS | 「FEVER」「ロケットに乗って」「Silly Scandals」などシングル曲を中心にしたセット・リストに湧くオーディエンス。途中、「シロウトみたいにチューニングができなくなっちゃったよ」と苦笑しながらチューニングしていた和田くん。チューニングが終わり、「ミスチル来てるね」というMCに「キャーッ!」と敏感に反応する観客。「あとで出てくるんだから、今は俺たちの演奏を楽しんでよ」となだめつつも、♪あぁ何処まで行けば~とミスチルの「NOT FOUND」をサクッとカヴァー。演奏はもちろんのこと、盛り上げるのも巧いなぁとつくづく感心。筆者の後ろにいた青年は、「初めて観たけどトライセラいいなぁ!」と感動を熱く語っていたっけな。
続くSUPERCARは、風が冷たくなり雲の動きが速くなった頃に登場。ステージを後方に臨めるフットサル・コートの脇から観ることにした。エレクトリックなSUPARCARの演奏と白熱するフットサルの試合のマッチングは、フェスティバルならではの光景。小雨がパラつき少々肌寒くなったのでDJブースの方へ移動すると、恍惚の顔で音に身を委ねる人の輪が拡大している。
ここでしばし、ドンスコドンスコ鳴る重低爆音を楽しんでいると、近くにあった大型ヴィジョンにGRASS STAGE上の渋谷陽一氏の姿が映し出され、「これから登場するJJ72は、日本ではまだあまり知られていないバンドですが、ロッキン・オンのイチオシです!」と、この日のために来日したという平均年齢ハタチのイギリスのブライテスト・ホープを紹介。その声に応えるように、観客も「ウォーッ!」と熱い声援でJJ72の3人を迎える…と一瞬我が目を疑った。ヴォーカルのマーク・グリーニーが着ているのは浅草あたりの土産物店で売っていそうな刺青Tシャツではないか! せっかくイイ男なのにもったいない…と思いつつ気を取り直してライヴに集中する。しっかりとしたメロディと鋭角的なリズム、そしてルックスが整っている点も含め、今後日本でも多くのファンを獲得する可能性は高い。 ▲奥田民生 | ただこの日のライヴは演奏にバラツキがあり「素晴らしかった」とは言い難く、最後ステージを去るときにアンプやらマイク・スタンドを蹴り倒していたのも謎だった。
日も暮れて照明が栄え出した夕方6時過ぎ、奥田民生のステージが始まる。「イージュー★ライダー」や「マシマロ」などの定番曲、最新シングル「The STANDARD」、そして強烈なメッセージ性を持つ井上陽水のカヴァー曲「最後のニュース」をさりげなく織り込みつつ、徒然としたライヴの運びで観客を引き込んでいく圧倒的なプレイ。余談だけれども、民生のライヴの最中は観客のタオラー率が高かった。
▲Mr.Children | そしていよいよラスト、Mr. Childrenの登場を待つオーディエンスで埋め尽くされたGRASS STAGE。冷たい風と夕闇の中に漂う観衆の高揚感。「シーラカンス」「ニシエヒガシエ」とハード・チューンをセットしたオープニングは鳥肌モノだ。その後、「Tomorrow never knows」「花」など彼らの代表作と言えるシングル曲を連発。巨大なステージの上を右へ左へ動き回る桜井和寿、隙がなく緊張感の高い演奏で強靱なバンド力を見せつけるメンバーたち。見たままの印象を言うならば、攻撃的で風格があり、とにかく、ものすごく、凄まじく“気”が前のめりだったのだ。
神々しく輝く満月と、盛大に打ち上がる大輪の花火が<RIJF2001>2日目のフィナーレを華やかに締めくくった。そして今も手首に残るリストバンド型の日焼け痕を見て、<RIJF2002>の開催を心待ちにしている。 |
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