始まりは刑務所の中、服役中のジョー・ブレーク(ブルース・ウィリス)とテリー・コリンズ(ビリー・ボブ・ソーントン)が出会うところから。ある日ジョーは、刑務所内に入ってきたミキサー車を衝動的に強奪、居合わせたテリーもこれに乗り込み、車は大爆走。看守たちの追撃を振り切り、脱獄に成功する。友情で結ばれたふたりは、メキシコでの優雅な生活を夢見て、資金集めのために銀行強盗を繰り返す。これが、究極の手口とも言える “お泊り強盗”だ。そんな中、ひょんなことから人妻ケイト・ウィーラー(ケイト・ブランシェット)が仲間に加わる。が、やはり男と女。結局彼らは三角関係に陥ってしまう。そして、そのまま舞台は強盗ツアーの最後の目的地、カリフォルニアへ。――そこには壮絶なクライマックスが待っていた!!!。
2001年12月29日より、全国松竹・東急系にてロードショー ●監督/バリー・レビンソン ●脚本/ハーレイ・ペイトン ●音楽/クリストファー・ヤング ●出演/ブルース・ウィリス、ビリー・ボブ・ソーントン、ケイト・ブランシェットほか ●上映時間/124分
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| とにかくイキです、この映画。そして、痛快にして爽快。観終わった後は、胸がスッとして気分がよくなっちゃうことは確実。
▲もつれる三角関係。それでも笑えちゃう三人。 | 何がって、まずは、絶妙に練りこまれたストーリー。“お泊り強盗”という犯罪手口のおもしろさはもちろん、シャレたユーモアあり、アクションあり、恋愛模様あり、しみじみ感動ありと、あらゆるエンターテインメント要素が織り込まれながら、それらがとっちらからずにミックスされたその劇展開は、お見事のひと言に尽きる。
とりわけ、劇中に何気なく伏線を設定した上での、壮大なクライマックスは圧巻。きっと観た人のほとんどが、「えっ?」「マジで?」などと意表を衝かれ、最後には「そっかー!」と感嘆の声を漏らすだろう。ああ、これ以上明かせないのが悔しい~。
それから、ブルース・ウィリス、ビリー・ボブ・ソーントン、ケイト・ブランシェットが演じる主人公の、三者三様の超個性的なキャラクターと、彼らが繰り出す軽妙なトークと絶妙な“間”。これがまた素晴らしい。
ブルース・ウィリスといえば、何と言っても『ダイ・ハード』での、ちょっとドンくさい刑事役のイメージが強いが、今回は一転、銀行強盗役。これだけでも興味を惹くし、実際彼はクールでタフな犯罪者像を、巧みな演技で描き出してみせている。
▲“お泊り強盗”(どういった強盗かは、観てのお楽しみ♪)に、とうとうクライマックスが…! | が、個人的にさらに大きな拍手を送りたいのが、あとふたりのほう。ビリー・ボブ・ソーントンは神経症気味のイケてない強盗役に、ケイト・ブランシェットはちょっとイカレた人妻役に、完璧にハマっている。そうしてこれらの3人が、これ見よがしなコメディをやるわけでも、おちゃらけるわけでもなく、至って真面目な演技の中の、会話と“間”の妙で笑いを誘う。これが本当に小気味いいのだ。
ちなみに、強盗犯ふたりが変装する場面があるのだけれど、ビリー・ボブ・ソーントンの、おとぼけニール・ヤングはかなり笑えるので、ご期待を。それと、ふたりが人妻を口説き合う、バーでの1シーン。これにも注目していただきたい。
▲Neil Youngの『After The Goldrush』(1970年作品)。テリー(ビリー・ボブ・ソーントン)がこのジャケのニールを真似るシーンあり! | もうひとつ、この映画には大きな魅力がある。それは音楽。ここまで上手い音楽の使い方をされている映画は、それほど多くはないのではないだろうか。ボブ・ディランにペイジ&プラント、マーク・ノップラーといった渋いベテラン勢から、ピート・ヨーン、ファイヴ・フォー・ファイティングといったニューカマーまで、ロックを中心とした実力派の楽曲が起用されているのだけれど、そのどれもがシーンにマッチした佳曲で、映画にいっそう鮮やかな彩りを添えている。
…というわけで『バンディッツ』。どこを取っても美味しい、正月にふさわしい上質の娯楽映画に仕上がっていると思います。ぜひ! |
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