【ライブレポート】Bray me、「目の前にいる君も含めて唯一無二」

2025.05.26 16:37

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こたに(Vo, G)イトウアンリ(G)、SAKKO(B)、ありさ(Dr)からなる4人組ロックバンド、Bray meのワンマンツアー<READY TO START>が、5月11日に渋谷クラブクアトロでファイナルを迎えた。

◆ライブ写真

こたにが「始めようぜー!」と言って1曲目に演奏したのは4月にリリースしたばかりの全国流通盤のEP「START」とライブ会場限定盤のEP「READY」両作品の1曲目を飾っている新曲「ARE YOU READY」だ。疾走感あふれるアンサンブルに乗せて〈今、始めよう もう 遅くない 震える足で目指すのさ〉と歌う、Bray meにとっての新たな始まりの曲だ。こたには〈もう 遅くない ARE YOU READY〉と歌い、拳を振り上げた。

このオープニングが象徴的だが、「START」と「READY」という2枚のEPによってBray meが新たなスタート地点に立ったことがひしひしと伝わるライブだった。SAKKOは2枚のEPに込めた想いをオーディエンスにこう伝えた。「そんなに短くない期間、バンドをやってきて、また新しいスタートをこの4人とチームで進んでいこうぜという想いを込めてCDを2種類作ったので、好きな時に聞いてください。いろんな種類の曲がありますので、最後まで楽しんで行ってください! いい日にしよう!」

そして、爽快感あふれる「30‘s」を演奏すると、オーディエンスのシンガロングが巻き起こった。シームレスに「青い炎」へ突入し、たくさんの拳が上がり、こたにが「私はこのバンドを信じてる!」と叫ぶと大きな歓声が上がった。

「READY」でようやくCDに入れることができたという、まどろむような楽曲「eri」や、この日は母の日ということで、こたにが母親のことを思って書いた曲「GRACE」の披露もあった。名古屋、大阪と周ってきたツアーがファイナルを迎えることに対して、口々に「あっという間だった」「楽しかった」「またやりたい」と言って名残惜しむメンバーたち。こたには「ライブっていいよね。同じ時を生きている証の上で音楽が鳴らせる。音楽を鳴らせば迎えてくれる君がいる。本当にありがたいなって思います」と伝えた。

こたにが地元・静岡県富士宮市の中学で同じクラスだったありさらと共に前身バンドを結成したところからBray meの歴史を振り返る一幕もあった。「いろいろありましたよ。何かひとつがちょっとでも違ったら今4人で音楽を鳴らすことはできてない。何かひとつでも違ったら君はここにいない。月並みな言葉になってしまうけど、本当に奇跡みたいなことだと思う。目の前にいてくれてありがとう!」というメッセージに続いて披露したのは「START」に収録されている「アイオライト」。目の前にいる一人ひとりに言い聞かせるように〈この気持ちを教えてくれたのは たった一人の君だ〉と歌われた。

ライブ後半、こたにが改めて「START」と「READY」について話した。「バンドを長いことやってきたにもかかわらず、去年やっと1stフルアルバム『DUH』をリリースして、ツアーをやって、他にもたくさんライブをやらせてもらう中で、Bray meの音楽を届け続けたいと強く思いました。それで新しいスタートという想いがこもった『START』を作ろうと思った。Bray meが歩んできた道の中にはBray meの音楽が届いた君が確実にいる。歩んできたものが『READY』っていう作品になった。『READY』があったから『START』ができた」と。今回のツアーを周る中で、新しいスタートであることを心底実感したという。

目の前の君と共にこれからも一緒に歳を重ねていけますように、という願いを込めて、「START」の最後に収められた新曲「Focus」が鳴らされた。新たな出発点に立った期待と不安を詰め込んだような焦燥感を宿したアンサンブル。〈今まで聞いた事のない 言葉が住む街 それでも伝わる愛と涙 忘れたくなくて 一つ一つ小さな全ての決断 出会い 私だけのもの〉。今のBray meの心境がまっすぐに放たれた。

こたにはギターをかき鳴らしながら、今日何度目かの「目の前にいてくれてマジありがとう!」という言葉を口にし、「今の気持ちを歌った歌がある。『READY』に入ってる最後の曲です! 

『Jack in the box』!」と言った。〈楽しい時間はあっという間 ライブハウスでまた会う日まで ライブハウスは秘密の箱〉という再会を誓う歌に大歓声が上がった。4人がアグレッシブに楽器をかき鳴らし、終演を迎えたかと思ったら、オーディエンスのアンコールを求める声が鳴り止まない。

再登場した4人。こたにが「改めて思ったんだけど、Bray meって目の前にいる君も含めて唯一無二なんだなって思いました」と告げて、急遽「オリジナルソングのような人生を」を披露。〈もっと器用になれたらいいのにね 躓く度に転ぶたびに 自分じゃなかったらって思ってしまうな 逃げ込んだ先は〉と歌った後、語り掛けるように〈ここ渋谷クラブクアトロで〉と口にし、〈そうやって音楽とここまで来た だから春になった この街で君に会えたんだ〉と歌い、楽曲を通して再び目の前にいてくれる君に感謝を伝えた。

ライブ中、主催イベント<FROM GOOD MORNING TO GOOD NIGHT>を10月17日に開催することが発表された。新章に踏み込んだBray meによる主催イベント。そこでどんな姿を見せるのだろうか。

取材・文◎小松香里

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