【インタビュー】ORANGE RANGEの低音一家が語る、新曲「マジで世界変えちゃう5秒前」と<LuckyFes>出演「当時思ってたことが今叶ってる」

ORANGE RANGEが5月21日、2025年第一弾シングルにしてソニーミュージック移籍第一弾となる完全生産限定CD盤「マジで世界変えちゃう5秒前」をリリースした。TVアニメ『戦隊大失格』のオープニングテーマとして書き下ろされた同楽曲は、HIROKI (Mid-Vox)曰く「“世界を変える”というよりは“世界を変えちゃう…かも?”と思える“強くない”主人公に胸を打たれた方も多くいると思います。瞬間の感情こそが正義だと突き進む、戦闘員Dのテーマソング」。戦隊ものの主題歌感を明示しながら、しかし一般的な戦隊ヒーロー像とは異なるアニメの悲喜こもごもな世界観に寄り添う、ORANGE RANGEならではのポップでカラフルな中毒性の高い仕上がりだ。
アップテンポに駆け抜ける音像や軽快なワードセンスに加え、一筋縄ではいかない構成や目まぐるしい展開、生楽器と打ち込みを巧みに盛り合わせたサウンドがORANGE RANGEらしさ全開の「マジで世界変えちゃう5秒前」は、約7ヶ月ぶりの新曲となるもの。同シングルにはツアー<ORANGE RANGE LIVE TOUR 024-025 ~タコス DE ピタゴラス~>より今年1月のNHKホールのライブ映像や、メンバーのインタビュー映像を収録したBlu-rayが付属するなど、5人の現在進行形として届けられる。
BARKSでは、ORANGE RANGEの重低音を司る低音一家ことYOH (B)とRYO (Low-Vox)の兄弟を迎え、ソニーミュージックへのレーベル帰還、新曲「マジで世界変えちゃう5秒前」制作、NHKホール公演ライブ映像や今秋開催ツアー<RWD← SCREAM 025>の見どころ、各地で引っ張りだこ状態のフェス出演の意義、そして2年ぶり参加となる<LuckyFes>について、じっくり話を訊いた。
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■初めて聴いた時は“お、ぶっ飛ばしたな”と
■言葉のハメ方が新しいうえに高度
──ソニーミュージック移籍第一弾シングルとのことですが、ORANGE RANGEにとっては、古巣への帰還という形ですよね。
YOH:僕らが世に出るきっかけを作ってくれた人たちがいるレーベルで、関係性が始まったのは20数年前ですかね。10数年前に一度離れて、違う考えを持った人たちと出会って、そこのレーベルでいろいろ吸収させてもらって…ひと段落したこのタイミングでまた声をかけていただきました。
RYO:ソニーの皆さんは、離れていた時期もライブを観に来てくれていたんですよ。愛をすごく感じていたし、タイミング的にもハマったので、すんなりと「もう一度一緒にやりましょうか」という話になりましたね。
──制作面で変化はありましたか?
RYO:自分たちが作った曲に対して、「もうちょっとこうしてほしい」という意見をちゃんと言ってもらえるのが、大きな違いですかね。世に出す前に、第三者の意見を聴けるっていうのは、僕たちにとってめちゃくちゃいいことなので、 ありがたいです。
YOH:これからいろいろな曲を制作していくことになりますけど、“あの頃よりも大人になった自分たちがソニーともう一度組むとどうなるのかな?”という好奇心があって。これからがすごく楽しみですね。

──レーベルの人たちと音楽を作る醍醐味を、以前よりも感じられているということですか?
YOH:そうですね。若い頃はけっこう四苦八苦していたんですよ。うちはバンドだけどちょっとポップスも入ってたから、バンドとしての軸も大事にしつつ、ポップスの世界の人たちとも勝負していかないといけない。だから常にバタバタしていて、関わってくれたスタッフのアイデアをちゃんと汲み取れないまま、表現しちゃっていたこともあったと思うんです。自分の野心とかエネルギーに乗っかって取り組んでいたものの、葛藤もあったというか。
──そうなんですね。
YOH:だけど今は、引き算も覚えたし。自分の熱をちょっとだけ落として、周りの人の立ち振る舞いや表情を見られるようになってきているので。もらったアイデアに対して「確かに、それも一理あるよね」「じゃあ、どうしていこうか?」とやり取りしながら、考えていくこと……チーム感みたいなものは、より楽しめるようになったんじゃないかと思います。

──そして「マジで世界変えちゃう5秒前」ですが、移籍第一弾シングルにして、キラーチューンが来たなとテンションが上がりました。
RYO:今回はHIROKIとNAOTOが中心になって曲を固めてくれたんですけど、僕が聴いた段階ではすでに仮歌も入ってて。たしか6~7割は出来てたんじゃないかな。初めて聴いた時は“おおっ、ぶっ飛ばしたな”と思いましたね。“ストリングス、こういう使い方があったか!?”と思ったし。あとは、HIROKIの詞ですよね。特にAメロ~Bメロ。言葉のハメ方が新しくなってるし、けっこう高度なことをしてる。TVアニメ『戦隊大失格』のオープニングテーマということで、隠れたところに戦隊の色(赤、青、黄、緑、桃)の名前が入っていて、そこらへんもしっかり考えられているなと思いました。
──“桃太郎さん 桃太郎さん/交渉つけに日々談合”というライン、天才かと思いました。
RYO:桃太郎にピンクが入っていたりもするし。
YOH:後半は、“お腰につけたきび団子”と韻を踏んでるし。
RYO:そうそう。
──タイトルにもなった「マジで世界変えちゃう5秒前」というフレーズも、最初からあったんですか?
RYO:いや、これはなかったんです。
──そうなんですね。一度聴くと、“このメロディにはこの言葉しかハマらないだろう”と思ってしまうほど、ハマりがいいですが。
RYO:実は他にも何個か候補があったんです。他のやつもけっこうパワーワードって感じで、よかったんですが、このワードをチョイスしました。この曲は構成的にもだいぶ考えられているし、かなり気合いが入っていたんじゃないかなと思います。ここまで固めてきてもらえると、こっちとしても曲に入りやすかったです。

──RYOさんのヴァースは2番Aメロです。
RYO:1番サビが終わって、ストリングスが来たあとの箇所なので、どのぐらいのスピード感と熱量で行くのか、というのが結構ムズくて。しかも2番Bメロでは音数が少なくなるから、そこに違和感なく繋げる必要もある。いろいろ試行錯誤して、今の形になりましたね。
──リズムの切り替え方が絶妙ですよね。前半は8分 / 16分 / 16分だけど、後半は3連符という。
RYO:そう。どこまで3連でいくのかっていうバランスは難しかったです。全部3連で行ってもいいのかもしれないけど、そうしたらスピードが落ちちゃうな、とか。だから結局、折り返しで分けました。言葉も、前半で面白いワードがいっぱい出てきているから、ここはふざけなくてもいい箇所なのかな?と思って。アニメの主人公の心の中にあるもの……男らしさやちょっとの迷いを書きたいなと思って作ったリリックですね。
──隙のなく素晴らしい曲だなと思います。ライブで聴くのも楽しみです。
RYO:いい曲なので、あとはステージでどう表現するかですね。大事なのはやっぱりそこなので。ライブでちゃんとアゲられる曲になれば、この曲は素晴らしい曲になったと言えると思います。
──ライブアレンジに関しては、リズム隊の腕の見せどころといいますか。
YOH:そうですね。いつものことなんですけど、音源はあくまで作曲者バージョンなので。ここからステージに持って行くにあたって、どうやって楽曲を再現するかというところは、僕が背負っている部分が大きいので、サポートドラマーと一緒に取り組んでいる最中です。
──たしかにベースアプローチによって躍動的なファンクに振り切ることもできそうです。
YOH:今回の原曲は特にノリがパキパキしていて、NAOTO100%って感じがしますよね。だけどライブでは、そこが一気に変わる。人間味や、リズムの妙をいかに出していけるかがポイントかなと思ってます。スタジオで何回かリハをやったんですけど、これまでにはない感じで、面白くなりそうですよ。聴き手のみなさんにも二度楽しんでいただきたいです。