米ナプスター、著作権侵害訴訟で作詞・作曲家、音楽出版社と和解
米音楽出版協会(NMPA)の会長、Edward Murphy氏は今回の和解において、Orrin Hatch上院議員(ユタ州選出・共和党)とPatric Leahy上院議員(バーモント州選出・民主党)が重要な役割を果たしたとコメントしている。「彼らは我々の交渉を有意義なものにするために、支援してくれていた」
「交渉の過程の中で、Napsterが示してくれた誠意、そして過去および将来における楽曲使用のための公平な補償を、クリエイターや著作権所有者に支払うという合意内容は、作詞・作曲家や音楽出版社が喜んで応じるものとなった。作詞・作曲家がNapsterを通じて、デジタル時代の新たなファンにリーチすることが可能になるのは大変喜ばしいことだ」(Murphy氏)
NapsterのCEO、Konrad Hilbers氏は「新しいサービスを開始するにあたって、作詞・作曲家、アーティスト、そしてコンシューマ全てが同じように恩恵を受けることができる」と話している。そして、「この画期的な合意は、デジタル音楽市場の構築に向けての大きなステップとなった。我々はこの市場を前進させるための、キーとなる役割を果たすことができた」という。
また、「Can't Help Falling In Love」(好きにならずにいられない)、「What A Wonderful World」(このすばらしき世界)、「The Lion Sleeps Tonight」(ライオンは寝ている)の作曲家として知られているThe Songwriters' Guild of America, Inc.の社長、George David Weissは、「本日、米国の音楽コミュニティ、そしてオンライン・コミュニティは共に大きく躍進した。数週間前までは、ほとんど不可能に近いとされてきた今回の和解により、インターネット上での楽曲ライセンスの使用において、非常に速く、そして前例の無い成長をみせた」
さらに、EMI Music Publishing Companyの会長兼社長のMartin Bandier氏は「新Napsterの始まりを祝うことができ、大変嬉しく思います」とコメントしている。
「Napsterは従来通り、何百万という人々に、音楽に対する情熱をシェアする権限を与えるものだ。そしてNapsterは従来と異なり、楽曲を制作する人々の権利を尊重するものだ。我々のパートナーシップにより、インターネットを利用して新たに拡大するオーディエンスに対し、楽曲が合法的に配信されるという大きな可能性を作り出していくだろう」(Bandier氏)
今回の合意内容には、Napsterが音楽制作者や著作権者に過去の違法な楽曲使用への損害賠償金として、2600万ドルを支払うことが含まれている。また同社は、オーディオ・ホーム・レコーディング法(Audio Home Recording Act)に基づき、将来のライセンスのロイヤルティとして、1000万ドルを支払う。これは、3分の1が作詞・作曲家と音楽出版社に、3分の2が著作権者、レコード会社に分配される。
Napsterは今年末から、数百のインディーズレーベルと共に、新しい会員制サービスを開始するという。また、BMG、EMI、AOL/TimeWarnerの合弁事業であるMusicNetを通じて、楽曲を提供していく予定だ。
この記事の関連情報
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話040「80歳となったエリック・クラプトンのライブを観て」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話039「音楽生成AI」
【BARKS 正社員スタッフ募集】音楽と感動を創り出す仲間を募集します
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話038「蛍の光」
今一番キテる楽曲を紹介する「M-SPOT」、TuneCore Japanでサービス開始
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話037「生成AIが生み出す音楽は、人間が作る音楽を超えるのか?」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話036「推し活してますか?」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話035「LuckyFes'25」
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話034「動体聴力」