希望と喜びに満ちたHIP HOP R&B ゴスペルのニュースタイリスト
希望と喜びに満ちた HIP HOP R&Bゴスペルのニュースタイリスト |
| ここ日本でも数年前から火が着いたゴスペルミュージックのブームには驚かされる。ローリン・ヒルが出演した映画『シスターズアクト』の影響もあってか(若きMARY MARYも出演している)今までゴスペルミュージック=教会=暗いイメージというのが一気に覆えされたのだ。 そして新しい才能を持った姉妹エリカ&ティナ アトキンズ=MARYMARYもまたゴスペル界に次なる生命の息を吹き込んだ。彼女達は教会での想いをこう語る。 「私達の教会は若い子達が多くてとてもエネルギッシュ。いつも何かエキサイティングな事をしたくてウズウズしてるの。子供達はダンスに夢中になったり、音楽が始まるとみんな大さわぎしたりで大変よ。私達のステージを見てもらえば分かるけど同じ事が興っているの」 半信半疑ながらもアーティストを知るにはライヴを観るのが一番だと思い足を運んだが、その衝撃は頭から離れないものとなってしまった。背中には電気が走り体中に鳥肌が立った。あのヴァイヴ…。 .二人の掛け合いが放つすごいグルーヴの嵐…素晴しいという言葉以外で表現をしたいが、それ以上の言葉が見つからない! 興奮は頂点に達し、あのサウンドの背景には一体何があるのかをまず説明してもらわなければならなかった。 「私達は5人姉妹と1兄弟の大家族でパパは牧師で人間的に誰からも尊敬されていた。ストリートのチンピラにでさえも歩寄って行って自然に人の心のしこりをほぐしてあげれるような人。泥棒にでさえ尊敬されていたから家には一度も泥棒が入った事がないわ(笑)。ママは四六時中歌っていてクワイア(教会の聖歌隊)の指揮をやってた。小さい頃から“ティナはこのパート、エリカはソプラノよ、さあ声を出して!”なんてやってた。ゴスペルは常に家庭内の身近な所にあったの」 歌い方など全ての基本は両親という最も偉大なシンガーから受け継いだものなのだ。そうして既に石の上に土台が築かれた二人がプロとして仕事にありついたのは5年前。ゴスペルショウのキャストに抜擢され全米各地に巡業の旅へ出た。それを機会にメジャーアーティストのサポートも務めるようになる。 エリカはブランディ、ブライアン マックナイト、ティナはエリック ベネイ、ケニー ラティモアなど超一流アーティストのバックをまるで自分のステージのように誠意を尽くして歌った。後に彼女達の運命を左右する人物、ウォーリン キャンベルと出会う。全米で腕利きプロデューサーとして知られている彼は今までにボーイズトゥメン、ドゥルーヒル、ブランディ、シャニースなどのヒット曲に関わった人物だ。彼自身ゴスペルをこよなく愛する者としてエリカ&ティナの生み出す音楽に心を打たれた。そしてこの姉妹を自分の所属する出版会社にソングライターとして契約をさせ彼との共作が始まり出した。 聖書に基づいて作られたアニメーション映画『プリンス オブ エジプト』や彼女らが小さい頃から情熱を注ぎ憧れていた偉大なゴスペルシンガー、ヨランダ アダムスに曲を提供し収録された時は信じられないほど嬉しかったという。 彼女達は歌以外のソング ライティングという分野でも計り知れない才能を発揮した。実際にこのデビューアルバムではそれが証明されている。現在クラブやラジオで大ブレイク中の「SHACKLES」が出来る迄の興味深いエピソードがある。 「ヒット曲は自然に沸きでてきたものがヒットにつながる事が多いわ。ある時、私達は2時間位色々と考え無理やり何か作ろうと考え込んでいた。そして、もううんざりして“Take the shackles off my feet so i can dance. I just wanna praise ya.(足の重荷を取り払ってよ、そうしたら自由に踊れるわ。私はただ神様をほめたたえたいだけなの)”って歌い出したらエリカがすぐに続いて次のフレーズを歌った。それからたったの15分で全部出来上がったの。曲作りは色々やり方があるけど、やっぱりインスピレーションを大切にしているわ」 アルバムに収録されている曲にはアタックの強いヒップホップ色のものやトラディショナルなゴスペル形式のものまでまさにバラエティーに富んでいるが、全てに共通している事は彼女達がインスピレーションを受けて制作した個々の作品には命があり、神の愛の教えに基づいたゴスペル(福音)がそこに生きているという事だ。 最後に彼女達からみなさんへメッセージがあるのでお届けしよう。 「日本のみんな What's up! サポートしてくれて本当に感謝するわ。ゴスペルミュージックは確かに黒人が始めたけど、黒人だけとかアメリカだけのものじゃないわ。国境を越えて色々な人々が神様の愛のメッセージを共感するなんて本当に素晴しい事だと思うわ!」 現在、日本でもアメリカ人によるゴスペルワークショップ(誰でも気軽にゴスペルクワイアに参加ができて最終日にコンサートを行うイベント)が各地で開催されている。詳しく知りたい方はBLACK GOSPEL JAPANまで。 by JO'BOW |