優しくうつくしいメロディと、バンド・サウンドの相乗効果
胃が痛い。なんて思っていた日、癒し系ルックスの平泉光司クンの顔を思い出して、ちょっと痛みがゆるんだ。 雨がウットウしいな。なんて思っていた外出時、「FLOWER」を口ずさんだら、なんか雨が軽やかになった感じがした。 6月15日も梅雨ど真ん中の雨模様。そんな中、新宿ロフトへ足を進めた。19:00では稼動するにはまだ早い時間の、新宿歌舞伎町のど真ん中へ。 この日はChains、青山陽一、benzoの3アーティストが共演するイベントだ。"沢田太陽presents"と銘打たれたこのイベントは、音楽ライター・番組制作などをされている沢田太陽氏が主催したもので、彼の考える良質音楽をリスナーへ、ゆくゆくは大阪や各地で開催したいという考えのイベントだ。なかでもこの日のイベントはステージからのダイヴや、ヴィジュアル系コンサートに多く見られるような手をかざす振りのない、リスナーが自由に楽しめるものにしたかったようだ。そうやって選ばれたアーティストは、京都を中心に活動しているChains、この日benzoのドラマー佐々木一也を迎えてステージに立った青山陽一。そしてbenzoはラストに登場した。 そのbenzo、1曲目の「落下ドライブ」のイントロで、ガバッと、まさに一気に会場を飲みこんだ。出演アーティストも会場の雰囲気も、自由な空気に溢れたイベントということもあり、人さまざまにライヴを楽しんでいたのだが、意識はザサッとbenzoにさらわれた。 ……やはり、うまい。演奏がうまいのだ。テクニックはもちろんあるのだが、それ以上に印象的なのが、曲に対する4人の意識が相乗効果となって、"benzo"となってガッチリと固まっているのだ。それが気持ちよく"うまい"と思わせる。 意識しなければ"うまい"と思わせない演奏。イヤミのないテクニック。バンドとして聴かせる収束感。これがあるから、benzoの優しくも美しいメロディが生きてくるのだろう。そしてその上質なメロディがあるから、彼らの演奏もまた集結して一体感が出るのだろう。そこに平泉光司のヴォーカルが彩りを加えれば、会場もbenzo色一色に染まる。そんな気分にさせられたライヴだった。 何回も何回も"ありがとう"を言ってステージから下がったbenzo。この日のライヴ構成は、先の5/25に下北沢Queで行なわれたワンマンライヴの内容を凝縮したものだが、まさに今のbenzoが詰まっていた。それは突っ走るだけじゃない、"benzoペースの勢い"にリスナーが巻き込まれるライヴ空間だった。 うん、また観に行こう。 文●星野まり子 |
セットリスト 1.落下ドライブ 2.AGAIN 3.FLOWER 4.TRAIN 5.出会った頃よりも 6.スバラシイ ウルオシイ 7.流星 8.タマシイ 9.真昼 《encore》 10.LOVE 11.DAY BY DAY
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