BAHO特製“今世紀最後のメインイベント”まるかじり!【パート3/5】

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まるかじり
BAHO特製
“今世紀最後のメインイベント”!

お互い外人だからね、しょうがないんだよ

●今回の対決には、幾つかのルール…チョーキング禁止ルール、ツェッペリン・ルールなどがありましたけど、あのネタ出しも2人で?

石田:
そう。今までの蓄積っていうんですか? 今までの長いミュージシャン生活でのたわいもない冗談やひらめいたギャグとかもネタになって、そこにちょっと上乗せした程度のものやと思うけど。

Char:
でもねぇ、早い話が、俺と石やんじゃなかったら1日でここまでアイディアは出ないよね。例えば、これを構成家に頼んだところで、かなりギターに精通していたとしても…これは無理だと思う。

石田:
実際、観に来てくれた役者さんが、終わったあとで“これ誰が考えた?”って訊くわけ。演者自身が構成/脚本もやって演出家でもある…それを二人がやったということが、舞台人のあの人達から見て信じられへんことみたい。別にお笑いの人じゃなくても、普段その辺でおもろいやつも居てるし、それと別に、ミュージシャンの楽屋のおかしさ/ジョークっていうのは、お笑いの人とはまた違うものもあるわけやろ? そういう部分が出てるんやと思うよ。

●音楽に精通してこそ笑えるギャグとかもありますからね。

Char:そうそう。だから、分かんない人もいるはずなんだよ。でもね、これがまた面白いとこで、万人に分かっちゃうと、あんま面白くないんだよねぇ。コンサートを観たり、アートとか文化というものに触れたとき、“分かんない”ってところが一番その人のステップになるでしょ?

●そうですね、未知な部分が。

Char:
そう。ジミー・ペイジはどうやって音を飛ばしてるんだろう?とか(笑)。何使ってんだろ?…みたいなね。それを最初から知ってる人は3曲目で帰っちゃうよ。“ロンドン公演と一緒だ…”みたいな。

●そもそもチョーキング禁止ルールというようなマニアックなテーマと、漢字ひらがな対決なんていう一般ネタが、同一線上にあるっていうのも笑えますね。

石田:
あぁ、そうかもね。ギタリスト同士だと、“漢字平仮名対決”みたいな発想は出てきえへんかもわからんな。しかも最後には客にも歌わせてしまうという

Char:
結局ね、2人が何かをやるときっていうのは、日常的な部分を自然と…無条件に、2つに分けようとするわけ。

●Charと石やんでシェアし合う。

Char:
そうそう。そこは、やっぱり10年ぐらいやってくると分かるんだよね。積み重ねでしかないんだけど。で、お互いのウィークポイントすらもエサにしちゃう、みたいな(笑)。“じゃ、ロックいこうや”“んじゃ俺はそこにジャズをかますから、結局それはロック+ジャスでロズやな”…とかになる。

石田:
すごい昔に大阪のテレビで、横山ポットブラザースがノコギリで「荒城の月」をやってたんやけど、それが途中で♪クウィンクウィン~お~ま~え~は~あ~ほ~か~”っていうギャグになるんね。なら、俺らは「ステアウェイ・トゥ・ヘヴン」(編集部註:言わずと知れたLED ZEPPELINの名曲「天国への階段」のこと)のイントロから「荒城の月」やね…となったり。

●一朝一夕にはできないものが、そこににじみ出てくる、と。

Char:
けっこう、そうやっていろんな人のセンスや音楽をパクってきてるよね。

石田:
そう。大阪では寄席にまで出てしまったからね(笑)。

●寄席…ですか?

Char:
楽屋訪問しに行ったら、そのまま高座に出されちゃったっていう。

石田:
おじいちゃんおばあちゃんは、当然Charすら知らんのよ(笑)。

●ミュージシャンの活動場所としては、デパート屋上のヒーローショーに匹敵するものがありませんか?

石田:
多分あれね、薬局かなんかのサービス券を10枚貯めて手に入れたチケット…みたいな(笑)、平日の昼下がりや。“おたくらは時間おまんの?” 次の時間×時×分からやけど、やっていきまへんか”って(笑)。…やっぱ、この道の先輩から言われたらそらノーとは言えへん。で、結局、三味線1本とギター1本で上がって、見事惨敗(笑)。でも、そういう経験はBAHOやってなかったら出来へんよね。

●上方演芸の経験があるとはおみそれ致しました。

石田:
俺らみたいな異分子が入ってきて高座に立つっていうことは、楽屋側も日常と違うわけで、客席の後ろの方で芸人さんが全員観てる。もう楽屋はカラ。そこでやるのってけっこうプレッシャーかかるよ。

Char:
かなりね。

石田:
でも拍手きたら嬉しいな、ああいう所で。

●基本はミュージシャンだけど、そこに芸人根性のようなもの、人間性、そしてキャリアと生き様が付加されてBAHOがある。そういうBAHOのステージは、今現役のミュージシャン達も一度観ておいた方がいいと思いますね。

Char:
“あ、こうやっていけばいいんだ!”って思うと思うよ(笑)。“これもアリなんだ”みたいな(笑)。

石田:
技術的に巧いギタリストは、いっぱいいると思うねんけど、ぶっちゃけた話、音聴くと生きてるか死んでるか分からん人も多い。楽しいのか楽しくないのか喜怒哀楽が表れないプレイをする。極論を言えば、“パンツを脱げないミュージシャン”っていうのがいっぱいいてると思うよ。でも俺らは脱いでしまうから。まだ片金だけですけどね(笑)。

●話は深いんですけど、例えが(笑)…。

Char:
もともと、基本的にはミュージシャンが演ってる喜怒哀楽みたいなものを感じたいし、それを表現するのがアーティストの仕事だと思うんだよね。しかもBAHOっていうのは2人しかいないし、跳び道具を使えない。出来ることの絶対的な限界/上限が決まってるわけ。

●“しばり”っていうか。

Char:
ギターをぶん投げてぶっ壊すというところまでできない。いろんな意味で喜怒哀楽はあるけど、“生ギター”ってことで全ての喜怒哀楽の中にちゃんとリミッターが掛かってるんだよね。

●それはそのとおりだと思います。

Char:
それがフェアなんじゃないかな、と思うんだよ。

●リミッターがかかってる上で、更にチョーキング禁止ルールで縛るわけだ。

Char:
そうそう。

石田:
でもまさか、ブルース刻んでて「禁じられた遊び」が出てくるとは思わん(笑)。

Char:
お互いのキャラクターを知らないとそんなことは出来ないわけで。絶対にこのキャラクターじゃないと…問題起きると思うよ(笑)。俺らの場合、くだらないことからよりくだらない方向へ持っていくところに基本があると思う。普通は“そこまでやるとカッコ悪い”とカッコつけちゃうかもね。…そこに面白いものがあるんだけど。

●あとはね、東京の感性と大阪の感性が見事に融合してる点も特筆モノですよ。

Char:
それはね、大きいと思うよ。外人同士だと思ってるから(笑)。

石田:
Charは江戸の人で俺は浪花の人やねんけど、でもね、俺は大阪に居てると時から“大阪っぽい”って思われたことないの。大阪のミュージシャンやねんけどちょっと変わってる。でも、Charもそうやねんな? 他のミュージシャンとはちょっと違う。独立国家やな。

Char:
もちろん大阪人だからってみんな同じなわけじゃなくて、東京人だからって同じなわけでもない。でも血の問題で、総じて“大阪”っていうひとつのイメージはあるよね。そこは基本的に外人同士の付き合いのような気がするんだよね。分かってるようで、実は外人の“you”と“I”という一人称/二人称でしか語らない…そんな関係で、ギターを持ったときに付き合っているんじゃないかと思う。

●面白いですね。

Char:
例えばジェラシーみたいなものとか、音楽にとって最も必要のない…もしくは人間にとって一番醜い要素がバンドで出てきちゃうことってあると思うんだけど、BAHOは不思議なもんで、“ま、しょーがねぇや…外人だから”ってなるわけですよ(笑)。





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