【インタビュー】LEEVELLES、新曲「幸福のすゝめ」にダークな魅力「テーマは神様の書いたシナリオ…つまり運命に抗うこと」

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4人組ロックバンドLEEVELLESが10月2日、6thデジタルシングル「幸福のすゝめ」を配信リリースした。TVアニメ『カミエラビ GOD.app』シーズン2完結編のエンディングテーマとして書き下ろした「幸福のすゝめ」は、LEEVELLESには珍しいダークな魅力もあるハードなロックナンバーだ。

◆LEEVELLES(リーベルス) 画像 / 動画

8月21日にリリースした「花占い」同様、サウンドギミックをふんだんに使いながら、詞・曲ともにこれまでになかった新境地をアピール。1曲ごとに進化を遂げるバンドサウンドは頼もしいかぎりだが、進化のスピードはさらに上がってきた印象も。それとともにメンバー達のマインドも変化してきたようだ。彼らの2025年は、その前向きな変化が反映されるに違いない。


   ◆   ◆   ◆

■「幸福のすゝめ」の歌詞は
■皮肉というのも大事にしているんです


──「幸福のすゝめ」を書き下ろすにあたっては、アニメ『カミエラビ GOD.app』サイドからはどんなリクエストがあったんですか?

小川紘輔(Vo, G):シーズン1のオープニングテーマだったっけ?

川﨑純(G, Cho):そう、オープニングテーマ。最初に言われたのは、シーズン1のオープニングテーマ(ELAIZA「スクラップ&ビルド」)の続編のような曲を作ってほしいということだったんですよ。

小川:結果的に全然違う曲になりましたけど、シーズン1はすでに放送されていて、サブスクでも見ることができたので、まずそれを見た上でシーズン2の台本を読ませてもらって。それから、シーズン1のオープニングの続編ということも念頭に置きつつ、今回もまた全員で、“こんな切り口どうですか?”みたいな曲を何曲か出したんです。

川﨑:けっこう、いろいろな曲を出したんですよ。エンディングっぽいゆるめの曲とか。

小川:バラードとか。

──その中からハードでタフな印象もあるロックナンバーの「幸福のすゝめ」が選ばれたと。

小川:はい。けっこう攻撃的なアニメだと思うんですよ。戦闘シーンがたくさんあったり、闇が深めだったりするところが。そういうところと、「幸福のすゝめ」のダークで、カッコいいロックサウンドがマッチしたんだと思います。


▲小川紘輔(Vo)


▲川﨑純(G)

──主人公が神様の座をかけて、他のカミサマ候補たちと最後の1人になるまで殺し合う物語だそうですね。

小川:実は僕、けっこう戦闘系が好きなんですよ。アニメも映画も血しぶきが上がるようなものが案外好きなので、『カミエラビ』もシーズン1を見たとき、すごくおもしろいと思いました。ただ、そういう作品とLEEVELLESを掛け合わせると…。

──そうそう。そこはLEEVELLESを知っている人なら誰でも思うところだと思うんですよ。

小川:ですよね(笑)。ただ、どういうふうになるんだろうかって思いながらも、やっぱり攻撃的と言うか、激しめの曲にはしたくて。僕らLEEVELLESは、言ってもロックバンドっていうところがやっぱり基軸にあるので、絶対条件としてカッコいい存在でありたい。なおかつ、バンドとしてメンバー全員が立つサウンドでっていうふうに考えて、ダークで、ギターサウンドが強めの楽曲になったんですけど、そういう楽曲がこれまでなかったわけではなくて。

──確かに。

小川:そこで、どうしたら『カミエラビ』とともに新しいLEEVELLESを見せられるかということを考えて、これまでやったことがないような転調をしてみたりとか、ヴァースごとにキャラクターが変わっていったりとか。あとはAメロに入る前に神々しいとも言えるパートを作ったりとか、今回はそういう盛りだくさんというか、いい意味でごちゃつきながら、同時にちゃんとLEEVELLESらしさもあるという、これまでになかったような楽曲が出来上がったんじゃないかとは思ってます。

──なるほど。「幸福のすゝめ」は「地獄の沙汰も愛次第」に通じるロックナンバーだと思うんですけど、実はそれよりも前作「花占い」に近いというか、「花占い」同様にバンドサウンドと、そこに加えたギミックの絶妙のバランスが今回、LEEVELLESが打ち出した新しさなんじゃないかと思います。小川さんが今おっしゃっていたギミックの数々は、アレンジの段階で加えていったんですか?

小川:もちろん、バンドでアレンジしながらブラッシュアップしていったところもあるんですけど、ギミックを加える部分っていうのは、大体、デモの段階で決まってました。

川﨑:さっき戦闘シーンが多いという話が出ましたけど、同時にヒューマンドラマでもあるというか、キャラクター一人ひとりにスポットライトが当たるんですよ。

髙木皓平(Dr, Cho):キャラクターそれぞれにいろいろな背景があって、戦う理由もあって、みたいなところが話が進んでいく中で段々わかっていくんです。

宮地正明(B, Cho):だから、けっこうちゃんと悩むというか、考えさせられるというか、単純に、“あー、おもしろかった”という作品ではないんです。

川﨑:歌詞も含め、デモの段階からそういうストーリーとリンクするものを作っていったので、バンドでアレンジする時には、すでにどこにどういうギミックが入るのか決まっていましたね。


▲宮地正明(B)


▲髙木皓平(Dr)

──考えさせられると言えば、自らの不幸と引き換えにこの世の理を自在に操ることができるという主人公の設定がすごいと思ったのですが、そういうところも歌詞を書く上でテーマになっているんですか?

小川:そうですね。自らの不幸と引き換えにということではないんですけど、主人公のゴローは周りに流されるタイプだったんです、シーズン1では。そういうところから、「幸福のすゝめ」の“本音と建て前”というテーマが出てきたんですけど、建前に囚われて、周りに流されている人たちってやっぱり多いと思うんですよ。僕も含め。主人公のゴローは周りに流されて、自分の意思も、目的もないまま、神様の座をかけて殺し合うゲームに参加させられるんですけど、その中で、いろいろなプレイヤー達と出会うことで、自分がこの世界をどうしたいのか、誰を助けたいのか、自分が本当にやりたいことを見つけていくんです。

──なるほど。

小川:それがさっき(川﨑)純君が言っていた、このアニメの魅力であるヒューマンドラマだと思うんですけど、そういったところにフォーカスを当てつつ、自分が本当はどう思っているのかを見つけることや、他人ではなく、自分が幸せだと思うことを掴むことの大切を書いていきました。

──今回一番伝えたかったメッセージは、“この散々悲惨な世界の中で”という言葉で始まるサビの歌詞ですよね?

小川:そうです。

──その中でも“傷付いても傷付いてもただ光は射すんだ”が一番のパンチラインだと思うんですけど、そこに至るまでのヴァース、いわゆるヒラウタの歌詞がけっこう皮肉っぽい言い回しになっているところが興味深いです。

小川:「幸福のすゝめ」の歌詞は皮肉というのも大事にしているんです。建前ってそもそも周りが良いと言うものというか、何て言ったらいいのかな。

川﨑:大衆意見でしょ?

小川:そう、大衆意見。それに対して抗いたいというか、ヒラウタが皮肉っぽくなったのは、建前や大衆意見に流されない人たちが『カミエラビ』のプレイヤーの中にけっこういて、そういうところを取り込みたかったからなんですけど。なおかつ皮肉っぽいことを歌っている楽曲が僕らこれまでなかったので、今回、やってみたというところもあります。

──LEEVELLESとして新しいですよね。そういう皮肉っぽいところって、皆さん人として持っていたりするんですか(笑)?

小川:ありますよ。

川﨑:やっぱり人間なんで(笑)。

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