【インタビュー】LEEVELLES、新曲「花占い」が持つ意義深い階層構造「テーマはどれだけ奥行きを出せるか」

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“遠回りでもいい 飾らなくてもいい”という言葉が多くのリスナーの気持ちを掴んだピアノバラード「Walk」から2ヵ月、LEEVELLESが早くも2024年のリリース第3弾となるシングル「花占い」を8月21日にリリースした。

◆LEEVELLES(リーベルス) 画像 / 動画

コーセーコスメポートの新TVCM『ビオリス写真みたいに篇』のCMソングとして書き下ろした「花占い」は、バンドとして新たな音像を作ることに挑んだサウンドのインパクトもさることながら、「Walk」同様に、歌詞もじわじわと染みるものに。シャンプーのCMソングを、CMソングとしての要素をしっかりと満たしながら、LEEVELLESらしい楽曲に作り上げた曲作りをメンバーと振り返る。



   ◆   ◆   ◆

■聴く人によって捉え方が変わる曲
■いろいろな考察が飛び交ってくれたら


──6月にリリースした「Walk」は、正統派のピアノバラードでしたが、今回の「花占い」はその「Walk」からの振り幅をアピールするような楽曲になりました。メランコリックでもあるし、ダンサブルでもあるし、エモーショナルでもあるし、アンセミックでもあるという、一言でこういう曲だと言えない不思議な魅力を持つ曲だと思うのですが、そういう曲がどんなふうに作られたのか、今日は聞かせてほしいと思います。CMソングとして書き下ろしたということは、スポンサーさんから、リクエストとかオファーとかいろいろあったと思うのですが、曲作りは最初、どんなところから始めたんでしょうか?

小川:「BPMは110で」というところから始まりました(笑)。「その上で勝手に体が踊り出すような、ちょっとダンサブルな感じで、だけど、盛り上がり過ぎない」というリクエストをいただいたんです。あと、「“朝日が射しこむ感じ”とか、“艶々”とか、“レタッチ”とかっていう言葉を、もし入れられたらお願いします」って。

川﨑:髪にまつわる言葉ですよね。やっぱりシャンプーのCMなので。

小川:そう、(川﨑)純君が言ったように「髪を連想させるようなワードを入れてほしい」っていうお話だったんですよ。そこからいろいろな曲が何パターンも出てきた中で、この「花占い」って楽曲になったんですけど、“盛り上がり過ぎない”っていうところがやっぱり難しくて。今回、ギターロック・サウンドを中心にしながら、結構EDMの要素を入れているんですけど、中でもボーカルチョップはLEEVELLESとしては初めてで。ボーカルチョップっていうのは、人の声をシンセっぽくいじった効果音的な素材なんですけど、それを楽曲全体に散りばめていて。

川﨑:あと、ウワンウワンウワンっていうシンセダッキングですね。

小川:それを入れるか入れないかで、楽曲の雰囲気ってかなり変わるんですけど、入れたことがポップ過ぎない要素になったと僕自身は思っていて、そういうところで、さっきおっしゃっていただいたような一言で言い表せない不思議な雰囲気を出せたんじゃないかと思います。


▲小川紘輔(Vo)


▲川﨑純(G)

──なるほど。EDMの要素は以前からやりたいと考えていたんですか?

小川:はい。メンバー全員、EDMが好きなんですよ。ギターロックを基軸に、いろいろなジャンルをプラスαで加えて、新しい音楽を作っていきたいっていうのは、LEEVELLESを始めた時から考えていたんですけど、EDMもその中のひとつだったという感じですね。

──バンドサウンドとシーケンスのバランスが絶妙で。

川﨑:ずっとやりたいとイメージしていたことが今回、ひとつ形にできたっていうのは思いました。

小川:この曲が出来上がった時はうれしかったよね。

──それにしてもシャンプーのCMだから髪にまつわるワードを入れてほしいというリクエストから花占いに繋げる発想もおもしろいと思うんですけど。「花占い」の歌詞は花占いをモチーフにしながら、相手に自分の気持ちを伝えられないまま片思いをしている主人公が、勇気を出して恋愛を成就させるというストーリーになっているじゃないですか。花占いというモチーフから、どんなふうにそういうストーリーを作り出していったんですか?

小川:歌詞は今回も全員で考えていったんですけど、最初に出てきた言葉が僕は“さらさら”だったんです。“さらさら”って髪の毛が風になびいているところを連想させるじゃないですか。そこから“髪をさらさらとなびかせる君は綺麗だ”というイメージを思いついたとき、恋愛系にしたいと思ったんですけど、ちょうどそのとき、僕の中で花ブームがあって。

──花ブームですか?

小川:はい。たまたまドライフラワーを目にする機会があって、その淡くて綺麗な色味や、儚い感じを楽曲に落とし込みたいっていうところからの花占いなんですけど、花占いってすごく素敵だと思うんですよ。だって、恋の行方って、本当にわからないじゃないですか。だから、二人の関係がどれだけいい感じになっていたとしても、気持ちを告白する時って緊張すると思うんです。だからこそ、なかなか思うように気持ちを伝えられない。一歩踏み出すまでに時間が掛かる。僕自身が実際そうなんですけど、ただ、結果はどうあれ、気持ちを伝えたという事実は、その人の人生にちょっとだけ奥行きを与えると思うんですよ。その経験を色にして、人生っていうキャンバスみたいなものに色を重ねていって、最終的に1枚の絵が出来上がるんじゃないか。そんなふうにキャンバスに塗り重ねる色の原料と言うか、材料になったらいいなと思いながら、歌詞も含め、今回の楽曲を作っていきました。


▲宮地正明(B)


▲髙木皓平(Dr)

──「花占い」の歌詞は、もちろん恋愛をテーマにしているんですけど、そこに込めたメッセージは恋愛に限らず、いろいろなことに一歩踏み出せずにいる人を勇気づけるものになっているところがすごくいいと思いました。そういうところがLEEVELLESらしいというか、LEEVELLESはそういうメッセージを曲に込めることが少なくないと思うのですが、歌詞を書く上でそこは意識したんですか?

小川:恋愛をテーマにするにしても、聴く人たちがいろいろな意味で受け取れるように、あまり恋愛恋愛し過ぎないようにしようっていうのは、みんなで話してましたね。「花占い」も楽曲のテーマは恋愛なんですけど、おっしゃっていただいたように気持ちを伝えることというか、勇気を持って踏み出すことや、その先にある世界のちょっとした広がりが大枠のテーマとしてあったので、それがちゃんと伝わっていてうれしいです。

川﨑:聴く人の背中を押すような内容にしようという話は、具体的にはしてないんですけどね。でも、4人で話しながら作っていくと、自然とそういうふうになるんですよ。

──サビの最後で“近づいた2人の距離だけ 世界は少し広がった 綺麗だ”と歌っていますが、君が綺麗だと言っているようにも、少し広がった世界が綺麗だと言っているようにも聞こえるところがいいですね。

川﨑:どっちなんだろうみたいな。

小川:その奥ゆかしさと言うか、奥行きをどれだけ出せるかみたいなところはテーマのひとつではありましたね。

川﨑:こういう曲ですっていうよりは、聴く人によって捉え方が変わる曲っていうのが僕らは好きなんですよ。この曲もいろいろな考察が飛び交ってくれたら嬉しいですね。

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