【ライブレポート】LEEVELLES主催<CROWN Fes.>に4組の親密さと熱量、「わくわくを常に探しています」

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4人組ロックバンドLEEVELLESの自主イベント<CROWN Fes.>が8月29日、早くも2回目の開催を迎えた。前回の開催が6月7日だから、なかなかのハイペースと言えるだろう。

◆<CROWN Fes.> 画像

<CROWN Fes.>は、革新的なエンターテインメントを作っていきたいと考えているLEEVELLESが新たなシーンを作ることを目標に掲げ、始めた対バンイベント。“Fes.”と謳っていることからも、この先、どんどんと規模を大きくしたいと考えているに違いない。西沢幸奏、NELKE、SNARE COVERという顔ぶれから、新たな出会いを求めていたようにも思えた前回から一転、今回はジャンル的に近しいことに加え、ライブ以外でも交流があるmzsrz、SUGARLUNG、irienchyら3組を東京・代官山SPACE ODDに迎えたのだそうだ。

▼mzsrz



▼SUGARLUNG



▼irienchy



そんなふうに毎回、趣向を変える出演者の顔ぶれも<CROWN Fes.>の見どころなのだと思うが、この日はいわゆる転換の時間もLEEVELLESのメンバーがDJとしてサイドステージに立ち、自分達のフェイバリット曲とトークを楽しませるという心憎い試みも交え、いわゆる対バンイベントに差を付けてみせた。ちなみにLEEVELLESのセッティング中はステージを終えたばかりのirienchyのメンバーがDJを務め、フェイバリット曲をプレイしながらLEEVELLESのメンバーとのエピソードを披露するという気心の知れた間柄だからこそのヒトコマも。

LEEVELLESとの関係性を、それぞれに語りながら、熱演を繰り広げた共演3組が作り上げた和気藹々とした空気の中、サポートメンバー(Key)とともにステージに登場したLEEVELLESの演奏は小川紘輔(Vo, G, Pf)による「行こう!」を合図に2022年10月リリースの2ndアルバム『COLORS』の最後を飾る「無限未来」から始まった。髙木皓平(Dr, Cho)がキックの4つ打ちを響かせると、川﨑純(G, Cho)と宮地正明(B, Cho)が早速お立ち台に飛び乗り、手拍子でバンドを迎えた観客にアピールするようにギターおよびベースをプレイ。川﨑が奏でるアンビエントなフレーズをはじめ、バンドが鳴らす淡い音像はもちろん、ダンサブルな演奏ににじむ切なさもまた、まさにLEEVELLESならではだ。



その「無限未来」を含め、この日、LEEVELLESは新旧の全10曲を披露。前述したようなLEEVELLESらしさをしっかりと印象付けながら、これまで1曲ごとに1フレーズ1フレーズ、さらには1音1音にまでこだわって、それぞれのプレイや音色を研ぎ澄ましてきたことを物語っていたミュージシャンシップの高さもある意味、見どころとして楽しませてくれたのである。

たとえば、「無限未来」から繋げたファンキーな「Step&Step!」は、川﨑によるサステインをカットしたギターのカッティングのソリッドな音作りと、髙木が鳴らすスネアのドライな音がポップな曲調の中で確実に耳に強いインプレッションを残したと思うし、1年前にリリースしたメジャー1stシングル「ヨルヲカケル」では、この曲が持つ決意や勇気を表現した川﨑のリードギターがリスナーに対してキャッチーなアピールをする裏で、“ツチドチ ツチドチ”とハイハットとスネアを刻む髙木のドラムと宮地のベースのアンサンブルが絶妙にダンスグルーヴを作っていることを再発見できたことに胸が躍った。





その「ヨルヲカケル」を演奏する前に「8月30日でメジャーデビュー1周年。いい環境で音楽をやらせてもらえて幸せです」と観客に報告した小川は、中盤の「Milkyway」と「3月32日」ではピアノをプレイ。ピアノの弾き語りにバンドが演奏を加え、同期でストリングスも鳴らすという王道のアレンジをじっくりと聴かせたバラードの前者では、小川以外の4人の演奏がブレイクして、小川の透き通るような歌声とピアノの音色だけが響き渡るという演出も。そして、再びバンドインからのピアノソロというドラマチックな展開で観客を魅了する。

ピアノの弾き語りからバラード風に始まった「3月32日」は川﨑が奏でるリフにピアノから持ち替えた小川がギターの音色を重ね、さらに髙木、宮地がダンサブルなリズムを加えるというストーリーを意識したアレンジとともに切ないポップソングを、アトモスフェリックなバンドサウンドに落とし込んでみせる。



そんなじっくり聴かせる2曲で観客の気持ちを鷲掴みにした直後に、そのギャップも楽しませるように小川、川﨑がハードなギターリフを轟かせ、LEEVELLES流の和洋ハイブリットロックナンバー「地獄の沙汰も愛次第」を繋げるセンスに思わずニヤリ。緊張から解き放たれたように観客が手拍子で応え、フロアもぐっと盛り上がる。

その光景に「最高です!」と声を上げた川﨑は「最高の1日にして人生を彩っていきましょう!」と続けると、「ヨルヲカケル」をはじめ、これまでリリースしてきたシングルのジャケットに使われているイラストを含め、フロアの左右に飾られている絵の数々が小川の作品であることを紹介する。

「その絵が今回1枚増えたんだよね?」──川﨑純



川﨑から話を振られると、小川は頷き、「なんでかって言うと、8月21日に新曲をリリースしました(つまり、そのジャケットの絵が今回増えたというわけだ)。ビオリス新TVCM『写真みたいに』篇のCMソングに起用していただいてます」と説明。そして、「LEEVELLESは夢を歌うことが多いけど、今回は恋愛ソング。片思いをテーマに書きました」と新曲について語ると、早速、「花占い」と題したその新曲を、バックドロップに同曲のMVを映しながらライブ初披露する。

メランコリックだけど、ダンサブルで、しかもエモーショナルでもあるという不思議な魅力を持つこの曲のEDMの要素をバンドサウンドに落とし込むというアプローチは、ライブにおいては、幻想的な雰囲気として表れた印象だ。“綺麗だ”と歌う小川の美しいファルセットが胸を打つ。この曲を演奏する前に小川は「恋の予感を感じている人に届いてほしい」と語ったが、それはこの曲が片思いをテーマとしながら、そこから一歩踏み出す勇気も歌っているからだ。その意味では、この「花占い」もまた、LEEVELLESらしい曲と言えるのだろう。サビのシンガロングパートを含め、これからどんどんライブで育っていきそうな予感。フロアから歓声が沸いたことは言うまでもない。



「めちゃめちゃ楽しいです! LEEVELLESはわくわくすることを常に探しています。今日のDJもそうなんだけど、そういうわくわくを探して、みんなと一緒にわくわくしていきたい。これからも一緒にわくわくしていきましょう!」──宮地正明

本編最後を飾ったのは、6月にシングルとしてリリースした「Walk」。LEEVELLESの活動を支えてくれるあらゆる人達に感謝の気持ちを届けたいと思って作ったのだそうだ。

「ありがとう、という言葉だけで終わらせてはいけない。自分達が一番得意な音楽を使って伝えたかった」──小川紘輔

その「Walk」は小川によるピアノの弾き語りに4人が演奏を重ねる王道のバラードだ。同期も使いつつ、バンドアンサンブルはタイトそのもので、歌をじっくりと聴かせるタイプの楽曲には違いないのだが、サステインとビブラートを巧みに使いながら、シンプルなフレーズを味わい深いものにしている宮地のベースプレイがそういう曲をより聴き応えあるものにしている。情熱を湛えた小川のボーカルや泣きを含んだ川﨑のギターソロももちろん聴きどころだが、そんなベースプレイや曲そのものを支える力強い髙木のドラムプレイにもぜひ注目していきただきたい。


「あったかい空間でうれしいです!」──小川紘輔

アンコールを求める観客に応え、ステージに戻ってきたバンドは、「お知らせがあります!」とLEEVELLES初のツアー<LEEVELLES Tour 2024 “音楽のすゝめ” 人の上で音を鳴らさず、人の下で音を鳴らさず>を10月から11月に開催することを発表して、観客に今一度声を上げさせると、感謝を込め、さらに「ユレルユレル」「明日は明日の風が吹く」の2曲を披露。



観客が体を横に揺らした前者は、どこかノスタルジックな魅力もあるポップソング。8ビートを刻みながら、1番と2番で変化を付けるように絶妙に跳ねさせ、ダンスグルーブを演奏に加える髙木のアイデアが心憎い。そこからノンストップで繋げた後者はメロコアを思わせる2ビートを轟かせた髙木をはじめ、全員がエネルギッシュな演奏を繰り広げながら、バックドロップに映し出した「CLAP!」の文字に応え、手を打ち鳴らしつづけた観客とともに大団円にふさわしい盛り上がりを作りあげたのだった。

きめこまかい音作りが音源だけにとどまるものではないことを知った今、ライブバンドとしてのLEEVELLESに対する興味がどんどん湧いてきた。それもまた彼らが言うところの「わくわく」の1つなのだと思う。

取材・文◎山口智男

■<LEEVELLES presents CROWN Fes. #2>2024年8月29日(木)@東京・代官山Space Oddセットリスト

▼LEEVELLES
SE
01. 無限未来
02. Step&Step!
-MC-
03. ヨルヲカケル
04. Milkyway
05. 3月32日
06. 地獄の沙汰も愛次第
-MC-
07. 花占い
08. Walk
encore
en1. ユレユレル
en2. 明日は明日の風が吹く

■5thデジタルシングル「花占い」

2024年8月21日(水)発売
配信リンク:https://leevelles.lnk.to/hanauranaiPR



■6thデジタルシングル「幸福のすゝめ」

2024年10月3日配信開始
購入リンク:https://leevelles.lnk.to/koufukuPR

▼TVアニメ『カミエラビ GOD.app』シーズン2完結編
放送:2024年10月2日より 毎週水曜24:55〜放送
放送局:フジテレビ「+Ultra」ほかにて
配信:10月3日正午より各種プラットフォームにて順次
※シーズン1:各種プラットフォームにて全話配信中



番組『ヨルカケナイト』

放送局:FMヨコハマ 84.7MHz
放送日時:毎週土曜日22:00~22:30
https://www.fmyokohama.co.jp/program/yorukakenight
radiko:https://radiko.jp/#!/live/YFM

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