【対談】キングサリ × 岡田典之(空想委員会)、新曲「おかえりきみ」誕生秘話を語る「テーマは“希望の歌”」
5月、6月、8月と、怒涛のリリースラッシュで攻めまくる6人組アイドルグループ“キングサリ”の新曲は、岡田典之(空想委員会)の作詞作曲による「おかえりきみ」だ。それは強いメッセージと激しく踊れる楽曲が多いキングサリの中で、ひときわ目立つ優しさと温かみに溢れた包容力いっぱいのミドルチューン。
◆キングサリ × 岡田典之(空想委員会) 画像 / 動画
新曲「おかえりきみ」の誕生秘話、ミュージックビデオの撮影エピソード、そして今後のキングサリについて、7人が入り乱れるクロストークをお楽しみあれ。
▲「おかえりきみ」
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■人に歌ってもらう歌詞を書いたのは今回が初
■いろいろありすぎますね、この曲は
──まずはキングサリのメンバーから一人ずつ、「おかえりきみ」の推しポイントを教えてください。
あやさ:「おかえりみきみ」の推しポイントは、キングサリの曲は盛り上げる曲が多くて。今まで岡田さんからいただいた「spell」とか「ハルメキテ」は、ちょっと近い感じもするけれど、わりと壮大な感じもあって。でも「おかえりきみ」は“シンプル・イズ・サ・ベスト”というのか、少ない音色の中で歌詞とメロディが聴き取れるような音の作りになっていて、一個一個が繊細に作られているところがすごいなと思いました。歌詞もメロディも曲もすべていいんですけど、そういうところもみんなには注目してほしいです。
▲あやさ
▲蝶羽れい
蝶羽れい:私の推しポイントは、歌詞に“一人が好き”という言葉が入ってて。キングサリの曲はポジティヴで強くて自信満々みたいな歌詞が多いんですけど、今回は歌の主人公に自信がなかったり、マイナスめな言葉があるんです。だけど、私的にはそこに救われるというか、そのほうが安心するというか。歌詞がすごくいいなと思いました。
栗原えみる:私は曲を聴く時に歌詞重視なところがあるんですけど、今回の曲は、岡田さんの気持ちがぎゅっと込められてる感じがして、すごくいいなぁと思いました。サビは全員で歌ってるんですけど、涙が出そうになる感じで、ミュージックビデオにもみんなの感情が込められていて、サビが一番好きです。
▲栗原えみる
▲ネ兎ねう
ネ兎ねう:今回の曲って、誰が聴いても絶対どこかしらに“私もそうだな”と思える部分があるような歌詞で、共感してもらえるところがいっぱいなんじゃないかなと思ってます。サビ前の“温もり求めている” “救いの手求めてる”とか、私はいつもみんなの心に寄り添えたらなって日々思ってるんで、自分たちの曲にこういう歌詞があることがすごくうれしいなと思います。これを聴いて“私たちがいるよ”ということをみんなにわかってほしいなと思うし、めちゃめちゃ好きな曲です。
村咲ちい:歌詞がいいというのはみんな言ってるんですけど、今回は特に、歌割りに偏りなく、一人一人のパートがじっくり聴けるし。歌詞の良さに乗せて私たちの思いも一緒に届けれたらいいなと思う曲です。
▲村咲ちい
▲天神・大天使・閻魔
天神・大天使・閻魔:まず歌詞が、自ら孤立しにいってるというか、卑屈な感じがあってすごく好き。私自身がかなり卑屈なので共感できるんですけど、社会に疲れ切ったオタクが共感できる歌詞にもなっているなと思ってて、実際に「共感できます」と言われたりもして。バッド入ってる夜に聴くのにはぴったりだなって思う。私、夜散歩するのがけっこう好きだから、そういう時に聴くと、良くも悪くもしんみりした気持ちになれて、感情的になれる曲だなと思います。そういうところが好きです。
岡田典之:はい、岡田です。推しポイントはたくさんありすぎるので、今日これからいろいろ話していきます(笑)。
──そもそも岡田さんは、「おかえりきみ」を書く時に、どんなイメージがあったんですか。
岡田:まずキングサリの場合、「岡田さんがキングサリに歌ってほしい歌を作ってください」というオーダーがくるので、基本的には好きなように作らせてもらえるんです。ただその中で一つだけテーマがあったのが、“希望を与える歌”という。そのざっくりとしたテーマを元にイメージをふくらませて作っていきましたね。希望から始まった歌です。
──歌詞を聴いて「救われる」とか「共感する」とか、メンバーからもそんな感想が出てましたね。
岡田:自分もマイナスな感情を持っちゃうタイプなので、暗くなっちゃう歌詞を書きがちなんですよ。そもそも、あんまり歌詞は書かないんですけど。
閻魔:私も、「歌詞書けるんだ?」と思った。何回目ぐらい?
岡田:一応ソロ名義で数曲書いてたんだけど、人に歌ってもらう歌詞を書いたのは今回が初めて。だからすべてが迷いから始まって、“最初に歌詞を書く相手がキングサリでいいのか?”というのがまずあって。でもそこはすぐに“キングサリだったらいいな”というふうに変わっていきましたね。絶対的な信頼があったので。いろいろありすぎますね、この曲は。
▲ 岡田典之(空想委員会)
──それぞれ、レコーディングのエピソードはありますか。苦労話とか。
ねう:今回の歌割りって、みんなが全部を歌って、良かったところを選んでもらう形になってるんです。苦労話というと、いつも自分のパートしか覚えないから、全部を完璧に歌わないといけないのが大変でしたね。
岡田:あんまりやらないよね。
ねう:うん。初めて。
閻魔:私はそれ、やりたいんだけどね。歌ってから決めたほうが、新たな発見があるし。時間かかるけどね。
岡田:今回、初めて歌割りも僕が決めたんです。
れい:へえ~。
閻魔:へえ~じゃないよ(笑)。聞いてたから。
岡田:いつもは曲を書いて渡した時点で終わるんですけど、今回は「歌に関しても岡田さんが全部やってください」って。丸投げされたということじゃなくて、「岡田さんが思うように作ってください」ということだったので、ミュージックビデオにも僕のイメージを入れてもらってます。
閻魔:苦労話で言ったら、MV撮影は、はちゃめちゃに辛かったけどね。レコーディングよりも。山奥に連れていかれて、暑いし、日焼けと虫が怖いし、トイレもあってないようなものだったし。
ねう:朝から夜中までやってたし。
れい:すごく長かったよね。
閻魔:私、家に帰ったのが朝の4時か5時。プンプンしながら。
あやさ:閻魔ちゃんのSNSで「今終わった」というのを知って、「こんな時間に!?」って思っちゃった。
ねう:夜のシーンが終わった順に帰って行けるやつで。
──MVの話は面白そうですね。ほかにどんなエピソードが?
あやさ:なんの植物かわからないんですけど、私の背丈ぐらいの草がたくさん生えてる中にみんなで入って、ドローンを飛ばして撮影したんですけど。ちっちゃい頃、ああいう場所でヒルみたいなものに噛まれたトラウマがあって、草の中に入る時に“死ぬんじゃないか”と思いながら、半泣きでやってました。でもヒルはいませんでした。
岡田:どこの山に行ったの?
れい:神奈川にある、大野山だっけ? けっこう車で時間がかかりました。山で撮影することはわかってたんですけど、草の中に入っていくことまで知らなくて。山の高いところで撮るのかなぐらいに思ってたから、普通の道でも転びやすい靴で行っちゃって、ぷるぷるしながら歩いて、次の日、足首が筋肉痛になりました(笑)。山は過酷ですね。なめちゃいかん。
岡田:もはや登山だね(笑)。
れい:でもすごくいい画が撮れたので良かったです。
えみる:山で撮るなんてめったにないじゃないですか。白ワンピで山って、けっこう憧れだったんで、私は超ウキウキでした。“わー、草だー、ドローンだー”って。空もきれいだし、セミも鳴いてて、夏!って感じで楽しかったです。さすがに夜は疲れましたけど、山で撮影なんて人生一度きりだと思って、ウキウキで山登りしました。筋肉痛になりながら。頂上まで、けっこう急だったんで。
岡田:ざっくりとしたテーマとして、“都会と田舎の風景”を組み合わせたいなということは伝えていたんですけど、そうしたらそんな過酷なことになってしまったという(笑)。まさか山に行くとは。
あやさ:私も、田畑が広がっている場所で、小屋みたいなところでみんなでスイカでも食べるのかなと思ってたんですけど。全然違いました(笑)。
岡田:僕が山に行けと言ったわけじゃないです(笑)。
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