【対談】ORANGE RANGEのRYO × 演出家の元吉庸泰、新たな朗読劇に「楽曲の可能性みたいなものを見てみたい」

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■良いライブができるかどうか
■それが自分たちの喜びの基準

──改めてアーティストとしてのORANGE RANGEの魅力はどういうところにあると思いますか?

元吉:当時の僕の思い出からすると衝撃的で。まさに大学時代、最初はRIP SLYMEの「楽園ベイベー 」(2002年)だったんですね、夏が。

RYO:はいはい(笑)。

元吉:その次の年に「上海ハニー」(2003年)が出てきたとき、“上海のハニーをナンパするだけの話でこんなに持っていけるんだ!”とすぐに持っていかれまして(笑)。そこでもうひとつ衝撃的だったのが、僕にとってそれまで音楽とかアートとか、全て年上の世代から享受していたのが、同じ世代、いや、むしろ僕らよりも少し下の世代の人たちがカルチャーを持っていくということでした。“僕らの世代で世界って変えられるんだ”ってことを教えてもらったんですよね。だからこそ、この仕事をやろうと思えた部分がありました。それまで僕は、アートとエンタメって分かれているものだと思っていたんですけど、“一緒でいいんだ!”という破壊力をいただけたというのが、僕の中でずっと抱き続けている憧れであり、感謝でもあり、ORANGE RANGEさんが持っている魅力であり。だからぜひ、この公演を通じてお客さんに「わかれよ!」と言いたいです!

──世間的には「上海ハニー」がドラマの挿入歌になって注目を集め、その後も次々とヒット作を世に送り出してブレイクしたという感じだったと思いますが、ORANGE RANGEのメンバーはみなさん、わりと冷静に自分たちを見つめていたんでしょうか?

RYO:冷静というか、そこまで自分たちが追いつけていなかったですね。「ミリオン達成」とかスタッフさんに言われた時、5人全員、そこまで喜んでなかったのは覚えてます。それよりも“明日の仕事、明後日のスケジュール”みたいなことばかり考えていて。喜んでいるのは周りだけ。それくらい疲れ切っていたのかもしれないですね、そこまで実感がわかないまま…。やっぱり、どうしても“ライブ”だったんですよね。良いライブができるかどうか。それが喜ぶ部分の基本というか基準になってて。良いライブをできる時はいいけど、ダメだった時の平均値を上げていかないといけない、と考えてて。それが中心にあったと思いますね。


──年齢を重ねて、成熟が加わって、それが今は良いバランスに?

RYO:そうですね。とげとげしかったときの変なトゲが抜けて、今はいい感じになっていますね。

元吉:やっぱりすごいですね。絶対に天狗になるじゃないですか(笑)? 自分の道を歩き続けるっていうのは、“歩く”という行為がすごく大変なことだし、自分を傷つける行為じゃないですか? でもそこを実直にやられてきて、煮詰めてきてくださったからこそ、こういう多彩な音楽が作れているんだなと。凝り固まっていないんですよね、ずっと。アルバムも毎回新しいことが入っていて、“こんなに素晴らしいんだ!?”と、いつも思わせてくれるんですよね。今回、改めて全アルバムを聴かせていただいて、“同じ人が作っているの?”と一瞬思わせるようなところもありまして。驚かせてくれるというだけで、どれだけ勇気づけられるか、ということもあるし、ここまで風呂敷を広げられるんだったら、僕ももっと思考しなくてはいけない、と考えさせていただいてます。ただ、そのベクトルが自分たちに向いているわけじゃなく、ちゃんと目の前のお客さんに向いているということがすごく大事だなと感じます。“守る”ことよりも、”前に!”とか“明日をどう進んでいくか?”というメッセージを今いただけた気がして、“ヤベェ、明日から俺、頑張らないと!”と感じています。

──最後に、朗読会に向けてメッセージをお願いします。

元吉:自由に受け取って帰っていただければと思います。“本当”って舞台上にあるのではなく、基本的に自分の中にしかないと思うので、この舞台の空間に入って、音楽を聴いて、声を聞いて、そこで自分の中での“本当”を探していただければ、見終わった後の人生がひとつ豊かになるんじゃないかと思います。それだけでいいというか、お話の内容を何も覚えてなくても、劇場を出た時に“自分はこうなんだ”ということを感じていただける空間にできたらと、今思っています。そうやって向き合っていきたいと思います。

RYO:僕はお客さんと同じ気持ちで観に行くと思います。ORANGE RANGEの曲の可能性みたいなものも見てみたいし、どうなっていくのかワクワクしています。素晴らしい才能が集結していますので、あとはそこを僕らも楽しむだけです。ありがたいことです。

(c) Story of Songs製作委員会

■<‐音読Stage-Story of Songs Track1 ORANGE RANGE>


開催日程:2023年2月8日(水)~2月12日(日)
会場:ヒューリックホール東京
演出:元吉庸泰
脚本:三浦香、谷碧仁、福田響志
題材楽曲:「花」「おしゃれ番長 feat.ソイソース」「ミチシルベ~a road home~」「以心電信」「キズナ」「上海ハニー」
▼出演キャスト(五十音順)
赤羽根健治、石川界人、伊瀬茉莉也、伊藤静、梅田修一朗、大久保瑠美、岡本信彦、小野友樹、折笠富美子、海渡翼、加隈亜衣、金元寿子、神尾晋一郎、茅野愛衣、河西健吾、久保ユリカ、熊谷健太郎、黒沢ともよ、小清水亜美、小西克幸、小林ゆう、駒田航、小松昌平、小溝七夢、佐藤利奈、下地紫野、白石涼子、新祐樹、高橋英則、田中美海、田丸篤志、てらそままさき、堂島颯人、中島愛、中島ヨシキ、中原麻衣、名塚佳織、夏吉ゆうこ、浪川大輔、西尾夕香、西本りみ、野島健児、畠中祐、濱健人、浜田賢二、林勇、潘めぐみ、日岡なつみ、日笠陽子、日高里菜、平川大輔、保住有哉、本渡楓、増元拓也、松岡禎丞、松岡由貴、水中雅章、緑川光、三宅健太、向野存麿、村田太志、森田成一、山下七海
主催:Story of Songs製作委員会
(問)info@storyofsongs.jp


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