【インタビュー】Hilcrhyme、10thアルバムに軌跡と意思表示「成功して、1回立ち止まって、再出発。この15年でほぼ全てを経験した」

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■ファンの方々が変わらずにいてくれた15年
■だから今後もフロンティアを歩んでいく

──Hilcrhymeの根底にある発想の柔軟さが発揮されている曲ということに関しては、「Lost love song【III】」と「Lost love song【III】-サレタガワ-」も、まさしくそうですね。「Lost love song」は、シリーズとして続いていますが、今回、こういう形になった経緯は?

TOC:これは突発的だったんです。まず、ドラマのタイアップが決まって、「Lost love song【III】」が起用されることになったんですが、書き直して欲しいという話だったんです。それでヴァースを全部書き直してマッシュアップっぽくしたら面白いかもしれないと思って、男目線で書くことになりました。「Lost love song」は今までずっと女性目線だったんですけど、「Lost love song【III】-サレタガワ-」は男の失恋の憎悪の曲になっています。

──曲の最初の部分は女性目線ですけど、“ふざけるなよ お前まさか 嘘つくなら持ってけ墓場”で、雲行きががらりと変わるんですよね。

TOC:そこから一気に男性目線になるんです(笑)。この曲に関しては失恋というよりも浮気ですね。ドラマがそういうストーリーなので、浮気された男の残虐さを描きたいと思っていました。

──“その裏の顔が怖いよ”とか、強烈です。

TOC:今、裏アカウントを持っているのが結構普通みたいなんですよ。見せてもらったことがあるんですけど、男にとって耐えきれないような内容で固められていました(笑)。そういうことをドラマにしていたので、“じゃあ、曲もそういうことを描いちゃおう”って思いました。

──この曲を聴くと女性不信になりそうですが……。

TOC:僕は実際になりかけました(笑)。



──ははは。このシリーズ、思わぬ展開を迎えましたね。

TOC:そうですね。【I】【II】と、たくさん聴いていただいていて、満を持しての【III】だったので、僕も含めた作家陣はすごいプレッシャーだったんです。【II】と同じようなことはできないし、したくないけど、このシリーズの世界観は出したくて。しかもタイアップが決まったので、プレッシャーは大きかったですね。でも、アップデートしたものができたので、またいずれ【IV】をやりたいと思っています。

──ハードルがまた上がってしまった気がしますけど。

TOC:上がりましたね(笑)。今後はその時代の音を取り入れていこうかなと。【IV】を作る時にどういう音がトレンドなのかはまだわからないですけど、また作りたいです。

──女性目線で表現する面白さというのは、何か感じています?

TOC:面白いですよ。今回の曲も言っていることは男も共感できる内容になっていると思います。男のほうが女々しい部分があったりもするので。

──女性の主人公を歌詞の主軸に据えることによって、男性としてのご自身の内面にあるものを開放しやすい感覚もありますか?

TOC:そうですね。女性を演じるがゆえに自分の本心を描いている感じなので。作家さんは、みんなそういうところがあると思います。自分の作り上げるキャラクターに自分のメッセージを演じさせているところがありますからね。

──恋愛の持っている暗い側面を描いた「Lost love song【III】」「Lost love song【III】-サレタガワ-」は、「リスケ ~君のせい~」と対照的ですね。

TOC:ほんとそうですね(笑)。やっぱりキュンキュンしてたいじゃないですか? “年齢は関係なく、キュンキュンしてたいなあ”と思って書いたのが「リスケ ~君のせい~」です。ラブソングっていつの時代も廃れないし、自分にとっても好きなものなんだなって、いつも作りながら思っています。対象が女性でも、自分への愛を描いているのと変わらないんですよね。だから、そういう意味ではあらゆる曲がラブソングなのかもしれないです。

──Hilcrhymeは、様々なラブソングを世に送り出し続けてきましたね。

TOC:そうですね。いまだに“ラブソングのHilcrhyme”というイメージが強いと思いますし、それはとても光栄なことです。


──「夜光性」も、とても温かいものが伝わってきますし、ある意味“ラブソング”と言えるのかも。インスタライブで初披露した曲ですよね?

TOC:そうです。このアルバムの中で最初にできた曲ですね。この曲があれば、他は結構遊んでも大丈夫だなと思っていました。こういう曲が柱としてあると自由度が増すんですよ。この曲と1曲目の「FRONTIER」ができたから、他の曲は遊び倒すことができました。

──自由度の高い曲にも胸に沁みるものが刻まれているのが、今回のアルバムですよ。「Life Goes On」も、とても良い曲じゃないですか。

TOC:これは良い曲になりましたね。

──“人任せじゃ死して朽ちるだけ 今が最高と Itʼs my life, goes on”とか、本当にその通りですし、こうありたいものです。

TOC: 15年くらい前に僕のところにデモテープを持ってきたユニットのトラックメイカーが、今はトラックメイクのスキルで道を切り拓いて、メジャーのアーティストにも提供するようになっているんです。その後輩と初めて作ったのが、この曲で。そういう点でも思い入れがあります。

──地元の仲間たちへの想いも伝わってくる曲です。

TOC:その後輩は新潟のCMの音楽を作ったりもしているんですけど、音楽で食べられるようになっているのが、すごく良いことだなと思うんです。自分も新潟でラップをやって生活をしていくという道なき道をずっと進んできて、厳しい世界であるというのは感じてきましたからね。

──前例のないことを形にしていくというのは、覚悟が必要な戦いですよね?

TOC:はい。ラップで跳ねた新潟の人って、自分の後に今もまだいないんですよ。このアルバムのタイトルが『FRONTIER』に至ったのは、それが一番大きいですね。今はコロナの影響もあって、それぞれの地元で誰かが何かをやって、地元の人たちに受け止められるようなことが増えていると思うんです。そういうことが何かの基盤を作り上げて、今後に繋がっていくのかなと。だから、それぞれの地元で何かをやっている人たちに、ぜひこのアルバムを聴いて欲しいという気持ちがあります。Hilcrhymeの曲は全国で聴いてもらえているので、正直、そこまで新潟のことを考える必要はないのかもしれないですけど、このアルバムで描いた“愛する地元だからこそ、こう思っている”ということを全国の人たちに聴いて欲しいです。

──今回のアルバムについてじっくり語っていただきましたが、15周年を振り返って、改めて感じていることはあります?

TOC:15年を迎えられたことをとても感謝しています、ということをファンのみなさんに伝えたいですね。Hilcrhymeはいろいろなことがあったチームですけど、僕は今でもいるし、ファンのみなさんも変わらずにいてくれたから15周年を迎えられたんです。だから今後もフロンティアを歩んでいくHilcrhymeを見届けて欲しいと思っています。

取材・文◎田中大

■10thオリジナルアルバム『FRONTIER』

2021年9月29日(水)発売


【初回盤 (CD+DVD)】POCE-92121 ¥4,400
※DVD:「Lost love song【III】」Music Videoと<Hilcrhyme TOUR 2020「THE MC」>中野サンプラザ公演よりライブ映像を5曲(「グランシャリオ」「LAZY HOLIDAY」「邪魔」「秒針」「Hill Climb」)収録


【通常盤 (CDのみ)】POCE-12166 ¥3,300
▼CD収録曲 ※初回盤/通常盤共通
01. FRONTIER
02. 夢見る少女じゃいられない ~夢見ル少年~
03. Life Goes On
04. TEST
05. Lost love song【III】
06. リスケ ~君のせい~
07. East Area -戒-
08. 唯一無二
09. Lost love song【III】-サレタガワ- (MBS/TBS ドラマイズム「サレタガワのブルー」エンディング主題歌)
10. 夜光性

■CD購入特典■
・Hilcrhyme OFFICIAL FANCLUB「4Seasons」会員特典:特製ポストカード A
※UNIVERSAL MUSIC STORE内のFC会員限定ページにて Hilcrhyme 10th ALBUM『FRONTIER』を購入したFC会員にプレゼント
・UNIVERSAL MUSIC STORE/一部店舗限定特典:特製ポストカードB
※対象となる一部店舗は、Hilcrhyme OFFCIAL SITE にて公開
・Amazon.co.jp限定特典:メガジャケ

■<Hilcrhyme TOUR 2021-2022 FRONTIER>

▼2021年
10月09日(土) 神奈川・Yokohama Bay Hall
open16:30 / start17:00
10月10日(日) 群馬・高崎club FLEEZ
open16:30 / start17:00
10月16日(土) 石川・金沢EIGHT HALL
open16:30 / start17:00
10月17日(日) 長野・LIVE HOUSE箱舟(旧SOUND HALL a.C)
open16:30 / start17:00
10月23日(土) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
open16:30 / start17:00
10月24日(日) 静岡・浜松窓枠
open16:30 / start17:00
10月30日(土) 福島・郡山 HIPSHOT JAPAN
open16:30 / start17:00
10月31日(日) 埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
open16:30 / start17:00
11月03日(水・祝) 鳥取・米子AZTiC laughs
open16:30 / start17:00
11月06日(土) 広島・CLUB QUATTRO
open16:30 / start17:00
11月07日(日) 岡山・CRAZY MAMA KINGDOM
open16:30 / start17:00
11月13日(土) 千葉・柏PALOOZA
open16:30 / start17:00
11月14日(日) 茨城・mito LIGHT HOUSE
open16:30 / start17:00
11月20日(土) 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
open16:30 / start17:00
11月21日(日) 宮城・仙台Rens
open16:30 / start17:00
11月23日(火・祝) 北海道・札幌ペニーレーン24
open16:30 / start17:00
11月27日(土) 大阪・なんばHatch
open16:30 / start17:00
11月28日(日) 福岡・DRUM LOGOS
open16:30 / start17:00
12月04日(土) 京都・MUSE
open16:30 / start17:00
12月12日(日) 岐阜・club-G
open16:30 / start17:00
12月18日(土) 沖縄・桜坂セントラル
open16:30 / start17:00
12月25日(土) 高知・CARAVAN SARY
open16:30 / start17:00
12月26日(日) 香川・高松festhalle
open16:30 / start17:00
▼2022年
01月08日(土) 新潟・テルサ
open16:00 / start17:00
01月10日(月・祝) 兵庫・THE LIVE HOUSE CHICKEN GEORGE
open16:30 / start17:00
01月15日(土) 鹿児島・CAPARVO HALL
open16:30 / start17:00
01月16日(日) 熊本・B.9 V1
open16:30 / start17:00
01月22日(土) 東京・TOKYO DOME CITY HALL
open16:00 / start17:00
▼チケット
¥8,800 (税込/ドリンク代別)
※1月8日 新潟公演はドリンク代無し
一般発売:8月28日(土)


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