【レポート】WANDS、スペシャルライブで「次に期待していてほしい」

新たなボーカリスト、上原大史を迎えた新体制で1月29日に第一弾シングル「真っ赤なLip」をリリースした第5期WANDSが、2月16日に東京・渋谷eggmanでスペシャルライブイベント(CD購入応募特典として抽選で200組400名を招待)を開催した。先ごろ公開したオフィシャルレポートに続いて、BARKSオリジナルレポートをお届けしたい。

◆WANDS 画像

上原大史、柴崎浩(G)、木村真也(Key)の３人で新しいスタートを切ったWANDSをライブハウスで、しかも至近距離で見られるということもあって、会場は期待と緊張でざわめいていた。そんな中、サポートにSensationのリズムセクション、麻井寛史（B）と車谷啓介（Dr）を加えたメンバーが登場し、一発目に披露されたのはTVアニメ『名探偵コナン』のオープニングテーマとしてオンエア中の「真っ赤なLip」。ロック、ジャズ、ファンクのエッセンスが融合したスリリングで情熱的なナンバーは生で聴くと迫力倍増。めまぐるしいアレンジで展開していく曲を芯の太い声で歌いこなす上原、テクニカルでエモーショナルなギターソロで曲を彩る柴崎、ジャジーで洗練されたプレイが光る木村。数々のミリオンヒットを放ってきたWANDSの実力とスケール感に最初から惹きつけられた。


MCでは上原が「あらためまして、第5期WANDSです」と挨拶。本イベントに応募してくれた人たちへの感謝の言葉を伝え、「東京以外から来ていただいた人は？」と問いかけると多くの手が挙がり、「20年以上前のWANDSをライブで見たことがある人います？」と聞くと数人が手を挙げるなど、観客から「うらやましい！」という声が飛ぶ場面も。

「今日はみなさんに“来て良かった！”と思えるような楽しいライブになるように頑張りますのでよろしくお願いします！」と所作からも実直な人柄が伝わってきたのが印象的だった。


ミリオンヒットとなったWANDSの３rdシングルをヴァージョンアップさせた「もっと強く抱きしめたなら ～WANDS 第5期 Ver.～」が披露され、ソウルなテイストのボーカルが映えるグルーヴィーで大人のセンスを感じさせる「時の扉 ～WANDS 第5期 Ver.～」へ。ハンドクラップで盛り上がる会場。曲が演奏されるたびに熱気が増していくのが肌で感じられた。この後は嬉しいサプライズの連続。柴崎がガットギターに持ち替えてプレイしたのは切ないバラード「DON‘T TRY SO HARD」(アルバム『PIECE OF MY SOUL』収録曲)で上原の歌と柴崎のギターで始まり、滑り込むようにバンドサウンドへと移行するアレンジで場内を陶酔させた。

少年期からWANDSが大好きだったという上原が歌い終わったあとに「いい曲ですね。しみじみと思いますね。ホントにいい曲ですね」と言い、柴崎も「いい曲ですね」と照れながら同意。上原が「誰が書いたんですかね。柴崎さんですね」と伝えると場内から笑いと拍手が沸き起こった。第5期WANDSの和気藹々としたやりとりにみんな、すっかりリラックス。



「新曲も頑張って作っていて、つい先日までどれにしようかという感じだったんですが、先ほど５月に（シングルが）出るということになって」と伝えると“うぉぉぉ”という太い歓声が飛び、アルバムの作業も進行しているというホットな情報も上原の口から伝えられた。やりとりの中で２人にいじられ、やや動揺気味だった木村は「緊張してるんですよ〜」と笑顔。柴崎が「表に立つのはもうやめようと思っていたところだったのにWANDSをやってくれて。僕は非常に感謝しております」と木村に伝えると温かい拍手に包まれた。

後半ではWANDSが’90年代に放ったオリコンチャート１位のミリオンセラーが２曲続けて披露されることに。木村の鍵盤で始まり、柴崎がブルージーなギターを響かせた「世界が終るまでは…」では上原がシャウト気味に熱唱し、会場も懐かしいメロディを大合唱。イントロで大歓声があがった「愛を語るより口づけをかわそう」では観客も頭上でハンドクラップして歌い、エンディングで拍手喝さい。全６曲、約40分という時間の中で第5期WANDSはそのポテンシャルの高さで過去のWANDSに思い入れを持って会場に来た人たちをふくめて完全にひとつにしてしまった。


メンバーが去ってもアンコールの拍手は止まず、声援に応えて３人は再度、ステージに。「曲を出し尽くして、これ以上できないけれど、次に期待していてほしい」と感謝を伝えて拍手の中、去っていった。レジェンドとなっていたWANDSの止まっていた時間はハイブリッドな時代の中、動き出している。物語の続きを知りたくてたまらなくなるライブだった。

取材・文◎山本弘子