【速レポ】<中津川ソーラー>majiko、まるでひとりひとりに突き刺していくように
夏が戻ったような日差しが続く中津川に、色白の女性シンガーが現れた。かよわい口調で短く自己紹介すると、木下哲の弾くアコースティック・ギターを伴奏に歌い始めたのは「ひび割れた世界」。切なさと悲しみも漂わせながら、擦り切れそうな心を言葉にして歌うmajiko。
◆majiko 画像
動画投稿サイトに自身の歌を公開したことで注目を集め、“カリスマ歌い手”と呼ばれた女性シンガーだ。今年6月には3作目のフル・アルバム『寂しい人が一番偉いんだ』も発表するなど、今では動画サイトだけで知られる存在ではなくなっている。そして今、彼女の歌に引き付けられるように、REASSUREステージの周りにオーディエンスが集まってきた。
しかしmajikoの音楽や歌は、一体感を伴って楽しく盛り上がるスタイルではない。まるでひとりひとりに突き刺していくように歌う。弱さも、後ろ向きな部分も、葛藤する気持ちも。そうした人前では出しづらいが、誰もが心の中にひそかに抱えている思い。それを繊細さから力強さまで多様性ある唱法で突きつける。
「今日は雨が80%の降水確率と言われていましたが、こんなにも輝かしい快晴となりまして、誠に嬉しいことです」
しゃべり方にはあどけなさも残るが、曲を歌い始めると、表現力も歌唱力も相当な実力。そのギャップにも驚く。さらに「ミミズ」や「パラノイア」といった曲では、独特な描写で心情をシリアスに描くリリックにも驚かされる。
このステージでラストに用意されたのは「エミリーと15の約束」。母親から娘に向けた、豊かな人間に成長するための優しくも力強い教えのような歌だ。また、何があっても娘を信じる母親の気持ちも託されている。majikoの歌で引き付けられたオーディエンスは、ライブ前は汗を拭くのに使っていたタオルを、今では涙を拭うために目元に。女性ばかりでなく、多くの男性も涙を潤ませている。感情を揺さぶるmajikoの歌が中津川に響き続けた。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎高橋良平
【majiko セットリスト】
2.狂おしいほど僕には美しい
3.ミミズ
4.パラノイア
5.声
6.エミリーと15の約束
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
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