【速レポ】<中津川ソーラー>Nothing’s Carved In Stone、「みんなの心に刻み込みたい」

「なんで、この時間なのか(主催者に)聞こうと思ってるんですけど(笑)、(REDEMPION STAGEの)トリやらせてもらってます」──村松拓(Vo,G)
◆Nothing’s Carved In Stone 画像
4度目の<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>出演で、2番目に大きいREDEMPION STAGEのトリを任されたことに若干の戸惑いも感じながら、トリにふさわしい渾身の熱演を45分のパフォーマンスに凝縮したことで、バンドが持っている熱度はぐっと上がった。ほとんど曲間を空けず、新旧の全9曲をたたみかけたことで、Nothing’s Carved In Stone(以下NCIS)というバンドが持つユニークさがいつも以上に際立った。
本当に、おもしろいバンドだと思う。オルタナティヴなロックサウンドでガツンとインパクトを与えるバンドは他にもいる。ダンサブルなビートでオーディエンスを跳ねさせるバンドもいる。エモーショナルな歌でアンセミックに盛り上げるバンドもいる。巧みに同期を使いながらプログレッシヴなアンサンブルで、聴く者の度肝を抜くバンドも、まぁ、いないことはない。しかし、今挙げた要素をすべて持っているバンドとなると、筆者にはNCISぐらいしか思い浮かばない。
生形真一(G)、日向秀和(B)、大喜多崇規(Dr)という歴戦のプレイヤーたちによる敢えて歌に寄り添わない(ように聴こえる)手数の多い演奏と取っ組み合うように村松が力強い歌声を聴かせながら、サビでは曲の印象がパキッと開けるようにダンスビートで観客をジャンプさせた序盤。歌をアンセミックに響かせた中盤。そして、「みんなの心に残る一場面を残して帰りたい。見てのとおりロックバンドだから、やさしい歌なんてないけど、前向きなバンドだと思ってるし、笑顔も見せられる。でも、それにはみんなの笑顔が見たいんだよね」と村松が観客に求めた終盤の「きらめきの花」では、フュージョン風の洗練に観客がワイプで応えるユーフォリックという言葉がふさわしい空間を作り上げ、見事に、そこにいる全員に笑顔を作らせた。




そして、いつもどおり「始まりの歌、やってもいいですか?」と村松の一言からたたみかけ、バンドの演奏が一気に白熱していった「November 15th」でライブを終わらせても良かったと思う。しかし、「みんなの心に刻み込みたい」とエレキギターをアコースティックギターに持ち替えた村松が言い、バンドは最後にもう1曲、「シナプスの砂浜」を演奏すると、敢えて歌に寄り添わないアンサンブルを、アコースティック調のスローナンバーに落とし込み、バンドの本質を見せつけ、熱演を締めくくった。
その曲を演奏する前に村松は、バンドが10年目に突入した記念に、自分たちについてきてくれたファンのために10月7日、日本武道館でワンマンライブをやることを語ったが、バンドが今、最高の状態にあることを印象づけた今夜のライブを見るかぎり、NCISは10年目を迎えたことをステップに、まだまだ進化していきそうだ。


取材・文◎山口智男
撮影◎柴田恵理
【Nothing’s Carved In Stone@REDEMPION STAGEセットリスト】
02. Spirit Inspiration
03. Directions We Know
04. Shimmer Song
05. Milestone
06. Out of Control
07. きらめきの花
08. November 15th
09. シナプスの砂浜
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2018>
2018年9月23日(日) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
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