【人間椅子連載】ナザレス通信Vol.55「ぎゅるぎゅる」

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人間椅子のツアーが暑い夏とともに終わりました。忙しい中、足を運んで下さった皆さん、本当にありがとうございます。それにしても機材車での高速道路の移動は大変苦痛です。首や腰が痛かったりするのは勿論ですが、腹がぎゅるぎゅるしてトイレに行きたいのにパーキングがしばらく無い状況ほどつらいものはありません。特に都市環状線に入ると逃げ場が無いので脂汗が滲み出てきます。何とかごまかそうと外の景色を見ても「P」「SA」の緑の看板が恋しくなるだけです。音楽を聴いても、CDは自分が選んで流しているものが多いだけに、絶叫やだみ声がかえって切羽詰まったお腹を刺激するだけです。そんな中、効果があったのは般若心経を唱えることです。「心頭を滅却すれば火もまた涼し」のことわざを頭に浮かべてみたり、心を無にするのだと瞑想のふりをしてみたりしながら、途中までしか覚えていないお経を唱えてみたところ、不思議と波が収まったのです。有難いお経です。皆さんもいざという時に試してみて下さい。

機材車を運転してくれる川端くんが車に持ち込んでいたGOBLINの「Suspiria」は危険な曲でした。調子の悪いお腹に「もらせ~もらせ~」と呪文を投げかけて急降下を促す悪魔のような曲です。JUDAS PRIEST「Sad Wings Of Destiny」の「Victim OfChanges」も不穏な曲で、特にエンディングの「No!No!No!Ah~~~~~~~~」という長いシャウトの後で「ジャン!」と劇的に終わる最後が、我慢しきれずもらしてしまった絶望感を表わしているようです。そう思ってこの曲を聴くと腹痛の苦しみをあまりに巧く表現した組曲のようで可笑しくなってしまいます。QUEENの「Another One Bites The Dust」はベースの太い音が下腹部を刺激し、その上を自由に動き回るフレディーの声が差し迫った心を逆撫でします。「アゥ!」とか「へィ!」とかのシャウトが限界に近い肛門を刺激して迷惑です。このように、ハードロックの曲には暗いコードや激しい歌がつきものなので、高速道路移動中にもよおした場合はすぐに音楽をABBAやCARPENTERSに換える必要があります。

高速道路でCDを聴いてもタイヤやエンジンの騒音でぼんやりとした音像しか伝わってきません。特にベースのコード感が犠牲になります。爆音にすれば聴こえますが運転に差し障ります。なので斬新なコード展開をするブリティッシュハードや音量の上下が激しいプログレなどは適しません。その点、ストレートで分り易いBOSTONの1枚目「BOSTON(邦題 幻想飛行)」は正に機材車移動に相応しいアルバムと言えます。アルバムにありがちな捨て曲がなく、始めから終わりまでアメリカンハードロックの代名詞のような名曲が勢揃いしています。トイレへ誘う不吉な響きは一切ありません。川端くんもそのへんはよく分っていて必ず持って来てくれます。皆さんも車のお供に是非どうぞ。


お腹に優しくない曲はそれだけに魂を揺さぶります。これから作ろうとしている新しいアルバムには、思わずもらしてしまいそうになる刺激的な曲をたくさん収録できればいいなぁと思っています。


今回のマイベストテープ~もれそうなお腹の不安を煽る曲

A1.Suspiria / GOBLIN
A2.One Of These Days / PINK FLOYD
A3.YYZ / RUSH
A4.The Talking Drum / KING CRIMSON
A5.Fracture / KING CRIMSON
B1.Victim Of Changes / JUDAS PRIEST
B2.The Sails Of Charon / SCORPIONS
B3.Into The Lungs Of Hell / MEGADETH
B4.Black sabbath / BLACK SABBATH
B5.Diary Of A Madman / OZZY OSBOURNE=


<人間椅子イベント>

9月24日(月・祝)DOOMツアー「No/Re:MORSE TOUR 2018」 @千葉LOOK
9月27日(木)ベッド・イン ツーマン企画「2マンシリーズ2018 ~炎のねるとん3本勝負~」@高円寺HIGH
9月30日(日)「大冠祭2018」@CLUB CITTA

『おどろ曼荼羅~ミュージックビデオ集~』 

4月4日(水)発売
Blu-ray Disc:\3,704(税別) TKXA-1119
DVD:¥2,778(税別)TKBA-1251
全16曲収録



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