【ロングレポート】未来に繋がる<FUJI ROCK '18>
まずは、オデッザ。本国アメリカなどでの人気からすると今年のフジロックのエレクトロ枠における大注目アクトであったが、想像以上。もっともっと長尺で観たかった。2人の他にも6人ものドラマーが叩くことによるぶ厚い人力ドラムと、ホワイトステージにぴったりの開放感たっぷりの瀟洒なサウンド、そしてそのドラマーや2人のブラス奏者が整然とフォーメーションを形成し、そのバックに映し出されるのは近未来的な映像、と視覚も聴覚も確実に満たすハイレベルのエンターテインメントだった。今年のベストアクトだとする人も多い。早くまた来て欲しい!
レッドマーキーでは、オルタナティブな感覚を持った新人の好演が印象的だ。開演前からすでに人で溢れかえっていた多国籍バンド・スーパーオーガニズム、時おり手をポッケに突っ込みながら次々と歌唱していき自分のペースに引き込み続けていた小袋成彬、ショートパンツ姿で奔放なステージングを展開しキュート過ぎたレッツ・イート・グランマ、3日目の深夜0時というタイミングでも、そのフレッシュで明け透けなテンションにエナジーを注入されたCHAI etc…。CHAIにいたっては、昨年のROOKIE A GO-GOの出演者陣の中から投票で見事レッドマーキーの出演を勝ち抜いたというフジロック・ストーリーを描いた。ちなみに今年のレッドマーキーに登場したMGMT、ダーティー・プロジェクターズ、グリーンステージに登場したヴァンパイア・ウィークエンドというラインナップにあのNYインディ黄金期を想起した人も多かった。
それにしても、フジロック会場の奥地=フィールド・オブ・ヘブンは、いつまでたっても大人の階段を登ったような気分にしてくれる。ベン・ハワードはイギリスでの人気ぶりを示すように外国人のオーディエンスが多く、シンフォニックで深遠な演奏に気高いミュージシャンシップを感じ、現代キューバ音楽の最高峰、インタラクティーヴォは、直前に新レーベル「REXY SONG」から最新スタジオアルバムがリリースされ、さらにはこの3日間で別名義を含むとは言え5ステージに出演するなど注目度が高かったためか、雨が降りしきる中でもたくさんのオーディエンスを集めていた。
そんな中、最もやられてしまったのが、グリーンスカイ・ブルーグラスである。これが初来日。ミシガン州カラマズーで2000年に結成されたブルーグラス〜カントリーバンドで、即興演奏を多用するスタイルや、お客さんにライヴのレコーディングを許可していてるスタンスから、グレイトフル・デッドやフィッシュ等所謂ジャムバンドのファン達にも魅了されている、というバイオグラフィーは事前に確認していた(それならステージはヘブンで決まりだ)。だが実際ライブを観てみると、自分がカントリー・ミュージックにこれほど心打たれるとは思いもせず、またフジロックに新しい扉を開いてもらう。ロック的なアプローチも交える彼らのスタイルは、カントリーの素朴さとロックの興奮が互いに作用し、演奏のエモーションが半端ない。照明のシンクロも抜群で、5人のシルエットが浮かび上がるシーンの渋さたるや。アンコールの際に見せた飾り気のない人柄もギャップがあって魅力的だ。「もう1曲やるね」というメンバーからの挨拶に「2曲やってよ!」と即答した近くのオーディエンスの声もきっと届いていただろう。届いたに違いない。
今年はヘッドライナーが華やかだからこそ、他のたくさんの素晴らしいライブを目の当たりにするたび、200組以上の出演者を誇るフジロックの底なしぶりを思い知った。以上、フジロックの主要4ステージであるグリーンステージ、ホワイトステージ、レッドマーキー、フィールド・オブ・ヘブンの一部のアクトにおいて今年始めて行われた試みが、YouTube生配信であった。
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