【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.105「ブラジルで人気の今村つばさ、外国人記者クラブでライブを披露」

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7月13日、日本外国人特派員協会(通称・外国人記者クラブ)のあるビルへ初めて足を踏み入れました。外国人記者クラブと聞いて連想するのは、メンバーしか入れない場所、記者会見、そしてテレビや新聞などで会見人の後ろに映り込むあの青い幕。しかしこの日は、あの幕前で日本人シンガーソングライターのライブイベントが開催されたのでした。


日本外国特派員協会は、1945年、太平洋戦争の終戦に伴い日本に着任した新聞社、通信社、雑誌社、ラジオ局に勤務するジャーナリストたちや写真家たちによって創立された日本とアジアでのニュース発信の場。そもそも外国人記者クラブがライブ会場として機能していることを知りませんでしたが、土曜の夜には定期的にライブを行うなどのイベントが多数開催されている様子。そのなかなか入ることができない場所へ行ってみたいという好奇心と、「ブラジルで最も有名な日本人」というキャッチコピーに惹かれ、裏方として足を向けたのが、今村つばさ氏のライブでした。


つばささんは、日本の金沢を拠点としながらブラジルで活躍しているシンガーソングライターで、2010年に初めてブラジルを訪れて以降、ブラジル音楽を奏で始め、自ら現地ブラジルの音楽業界関係者やファンと交流を深めながら、ポルトガル語も習得し、ギターを抱えてブラジルの地で活動しているというユニークな経歴の持ち主。現地の人気TV音楽番組などにも出演、YouTube上でブラジルの人気バンドEngenheiros Do Hawaiiのカヴァーを披露したところそれが反響を呼び、メンバーから称賛されることに繋がった経験は「ブラジルでの音楽活動が始まったと言っても過言ではない」と言い切るほど大事だったそう。そうした縁でAugusto Licks(元Engenheiros Do Hawaii)から書き下ろしの曲をプレゼントされるなどブラジルのアーティストからの支持も高く、その人気の高さはYou Tubeチャンネル『Tsubasa Imamura Brasil』は登録者数12万人、Facebookフォロワー20万人でも証明済みですが、2017年には「BRAZIL INTERNATIONAL PRESS AWARD (MPB)ポピュラー部門大賞を受賞しています。いやはや、こんな日本人がいるとは驚きです。


この日のハーモニカ奏者の倉井夏樹氏を迎えてのアコースティック・ライブでは、終始しっとりとその歌声とギターを聴かせ、途中に設けられた対談コーナーでは制作に関する話やブラジルにまつわる話を披露、そしてイベント最後は発売になったばかりニューアルバム『Tsubasa』に収録されている高田渡の名曲「生活の柄」をカヴァーしてスペシャル空間でのライブの幕を閉じました。


その新作は、RCサクセション「空がまた暗くなる」やザ・ブルーハーツ「少年の詩」をポルトガル語に訳して歌う他、ブラジルの歌手に自身が提供した楽曲のセルフカヴァーや、ブラジルの社会派ロックバンド・LEGIAO URBANAの大ヒット曲をカヴァーするなど、ブラジルが抱える差別や貧困などの社会問題について日伯の音楽を交差させて訴えるというこれまでにない斬新なアプローチをしています。今村つばささんを知らない方、まずはYou Tubeへどうぞ。


文=早乙女‘dorami’ゆうこ

◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】
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