【インタビュー】ASH DA HERO、プロデューサーと語る新曲4作とBLITZワンマン「ASHとは何者なのか?」
ASH DA HEROが4月29日(日)、マイナビBLITZ赤坂にて全国ツアー<ASH DA HERO SPRING TOUR 2018「STAY FREE」>のファイナル公演を開催する。同公演では、来場者全員に新曲「STAY FREE」のCD無料配布が行われることに加え、「HERO」「ALIVE」「YELLOW FEVER DANCE」といった新曲3曲のCDシングルを3枚同時発売することも発表となっている。
◆ASH DA HERO 画像
音源としては2017年春の2ndフルアルバム『A』以来、約1年ぶり。その間、二度の全国ツアーやアコースティックワンマン開催、<COUNTDOWN JAPAN 17/18>出演や自身主催ツーマン<CONNECT X>の二度目の開催など、精力的な活動を続けてきたASHの新曲群は「STAY FREE」のイントロひとつ取っても、これまでにない新鮮な躍動感に溢れている。BARKSはそのレコーディング現場を何度か見学させてもらったが、スタジオの極上の空気感までそのままパッケージされたようなサウンドにASHバンドの真骨頂をみた。そして、その中核にはASHはもちろん、今作で初のトータルプロデュースを務めた宮田“レフティ”リョウが居る。
「ある意味では僕のキーマンです」とASH自身が語るプロデューサーでありプレイヤーがレフティだ。ASHファンにとってはライブのサポートベーシストとして、音楽ファンにとってはイトヲカシやレフティーモンスターPの活動でもお馴染みだろう。新曲のレコーディングはもとより、ASHの音楽人生のターニングポイントで重要な役割を果たしてきたというレフティを迎えて、2人の歩みと新曲4曲、そしてASH自身過去最大のワンマンとなるマイナビBLITZ赤坂について、じっくり語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。まずは、ASHとレフティの運命的な出会いから。
◆ ◆ ◆
■レフティの前で選択した“やめる”か“続ける”か
■そういう夜を経て、僕はソロを立ち上げるんです
──まずはASHとレフティの馴れ初めから教えてください。
ASH:実は出会いから、もう7年くらい経つんですよ。僕がASH DA HERO名義で活動する前で、レフティも“レフティーモンスター”と名乗る前からの付き合い。当時の僕らはお互い、音楽人生の新たなフェーズを迎えていて。僕はアーティストして大きくなりたいという志向が強くなって世界に飛び出したいと思っていたし、レフティもプロデュースとかアレンジ方向に着手しはじめた頃だったと思う。
ASH:そうそう。超プロトタイプというか、スタート地点だったと思う。そんな2人の出会いは、ひとつの音楽制作だったんです。
レフティ:ざっくりと言うと、僕は当時、いろいろなタイプのカバーアルバムを作っていて。その制作のなかでシャウトとかグロウルが必要な曲があったので歌えるボーカルを探していたところ、行き着いたのがASHだったという。そのレコーディングスタジオが2人の初対面でした。
ASH:レフティがやっていたバンドとは同じシーンにはいたけど、対バンすることもなく。僕がいた名古屋にも彼のバンドの名前は轟いていたし、会えることが楽しみだったんですよ。ただ、なんで僕が選ばれたんだろう?っていう(笑)。
──シャウトですからね(笑)。
レフティ:今思えば、そうですよね(笑)。当時のASHはミクスチャーとかハードコア寄りのバンドのボーカリストだったこともあって、ラッパー/シャウターだと思ってたから。でね、レコーディングスタジオで初めて会ったとき、“2人の共通言語が多すぎる!”と思ったのをよく覚えてます。たどえば「ジョナサン・デイヴィス (※KOЯNのボーカル)みたいな感じで」とか「ここはチェスター・ベニントン (※リンキン・パークのボーカル)みたいな感じで」って言えば、即座にすべてを理解してくれる。すごくスムーズで楽しかったんですよ、レコーディングが。
ASH:年齢はレフティのほうが若干上なんですけど、世代は近いから聴いてきた音楽も似ている。だから、要求されていることもわかったし、こっちからいろいろなパターンが提示できて。スタジオに入ってすぐに録って、その音を聴きながら、“いいねー”って話が止まらない(笑)。
ASH:当時僕がやっていたバンドは、メンバー個々が別プロジェクトも動かしていて、悪く言えば寄せ集めのような集合体だったんですよ。アメリカ・テキサス州のフェスから、そのバンドに出演依頼をもらったんですけど、どうしてもベーシストのスケジュールが調整できなくて。サポートベースのオーディションをしてみたけど、たとえば上手い先輩ベーシストだったとしても、ヴァイブスが合わないし、なにかが足りない。
──ボーカリストにとっては、リズム面でもピッチ面でもベースの存在が重要ですからね。
ASH:ステージ上でのケミストリーも期待するしね。そこで頭に浮かんだのがレフティだったんですよ。ベーシストとしての彼とはセッションしたことなかったし、ライブすら観たことがなかった。でも確信があったんです。存在感のカッコよさも音楽的なポテンシャルの高さも知っていたけど、なによりも音楽制作に集中しているときのレフティの狂気。普段はクールなイメージかもしれないけど、ステージに立ったときの彼はモンスターになるであろうことが想像できた。で、誘ったんです、「一緒にテキサスへ行こうぜ」って(笑)。
レフティ:そのために初めてパスポートを取ったし、初めてのトランジットも経験したし、ASHのバンドに初めての参加だし、初めての海外ライブだし。すべてが初体験だったんですけど、それによって視界が大きく広がった。そこから僕も海外志向が強くなったんです。
ASH:テキサスでの宿泊先も同部屋だったから、一気に心の距離が縮まったというのもあるんですよね。そのとき以降ですから、お互いタメ口で話すようになったのは。ライブはもちろん成功したんだけど、その後のオフステージにもエピソードがあってね。ある現地人が日本人を舐めてる節があって、飲みの席で俺達にケンカをふっかけてきたんですよ。僕は「日本人舐めんじゃねえぞ!」って先に部屋に帰ったんだけど(笑)、レフティは「飲み比べしようぜ!」っていうケンカの仕方をしたという(笑)。
レフティ:ははは! さんざん飲んで朝方ホテルに戻ったら、ベッドで寝てたASHが起き上がって「勝ってきた?」って(笑)。
ASH:朝方から昼前までずっと2人でしゃべったよね。テキサスのライブでは3000人くらいの前でできたんですけど、そこで実感したのは“世界は広い”ということで。3000人という数に一喜一憂してる自分が小さいと思えたし、“もうムリな気がする。世界に追いつけないかもしれない”っていう現実が横たわっていたんですよ。ボーカリストとかフロントマンとしての資質を含めてね。
──ASHのネガティヴ発言もめずらしい。
ASH:たしかにそういう話はメディアではしないですね。仲間うちでも唯一、彼くらいにしかしないかも。仲間であると同時に、ライバルでもありますから。そのときに“音楽をやめる”って決断をレフティに話したら、「止めないけど、オレは寂しいね」と言ってくれたのが、どうにも引っかかってね。「もったいない」とか「続けるべき」っていうことは誰にでも言うことができるけど、「寂しい」って言われて、“そういう気持ちにさせちゃうんだ”と思ったんですよね。そこで改めて、“やめる”と“続ける”を並べて、続けることを選択できた。だから、ある意味では僕のキーマンですよ。そういう夜を経て、僕はソロを立ち上げることになるんです。
レフティ:そのときのASHの話は決してマイナスに振り切ったものではなく、クレバーでリアルな話だったんですよ。ここからのキャリアとか未来に向けた話だったから。
──テキサスでの経験が精神的な絆を深めたという。
レフティ:その通りですね。お互いに苦渋をなめてきたし、泥水をすすってきたから共感する部分もあったと思う。
ASH:実際、あのときに話したことは今につながってるんですよ。
──ASHがソロデビューするまでの期間も2人は親密だったんですか?
ASH:レフティは、そこからレフティーモンスターとしての活動を本格的に始めたし、僕はソロの準備に入ったので、少し距離を置くことになるんですけど、空白期間を経て運命的な再会があったんです。
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