真琴つばさ「雪の降る日に聞きたい10曲」/【連載】トベタ・バジュンのミュージック・コンシェルジュ
毎回素敵なコンシェルジュをお迎えし、オススメの10曲のプレイリストを紹介していく「トベタ・バジュンのミュージック・コンシェルジュ」では、「音・音楽へのこだわり」を紐解きながら、今の音楽シーンを見つめ最新の音楽事情を探っていく連載コーナーだ。
本企画第11回目のコンシェルジュにお迎えしたのは、11月23日に「眠れない夜はあなたのそばにいたい」を発表した真琴つばさだ。このアルバムは新納慎也、三枝伸太郎が作詞作曲を担当した2曲の新曲と、10曲の名曲カバーで構成されている。このアルバムを引っ提げて2017年2月13日にライブを開催する真琴つばさに「雪の降る日に聞きたい10曲」をセレクトしてもらった。
●真琴つばさ「雪の降る日に聞きたい10曲」
(1)ベット・ミドラー「The ROSE」
(2)桑田佳祐「白い恋人達」
(3)吉田拓郎「外は白い雪の夜」
(4)中島美嘉「雪の華」
(5)ビング・クロスビー「ホワイト・クリスマス」
(6)イルカ「なごり雪」
(7)石川さゆり「津軽海峡冬景色」
(8)真琴つばさ「Winter dust~夢と切なさの間で~」
(9)パトリシア・カース「Les chansons commencent」
(10)Kenny G「Sentimental」
◆ ◆ ◆
(1)ベット・ミドラー「The ROSE」
これ大好きなんです。前奏からヤラれますよね。たった2音だけ、同じ音が続くだけなのにどんどん入っていくすごさ。最初にひとりが歌って、次にハモりが入って、3番がコーラスになっていくのが雪の降り方に似てるな、と。最後は雪が積もりながらも花が咲いてくる。3番の最後の方がまたひとりに戻っていくんですよ。
(2)桑田佳祐「白い恋人達」
PVでは街中でピアノを弾いて雪が降ってくる…あれ大好きなんです。桑田さんの良さが出てますよね。クリスマスの曲ってしっとり系が多いけど、しっとりもせず、カンカンに明るくもなく、でも滑らか。そこが好きです。
(3)吉田拓郎「外は白い雪の夜」
30周年の記念トークライブX-TALK(クロストーク)で、ダイヤモンド☆ユカイさんと「何か一緒に歌おう」ということになって、この曲をリクエストしていただいたんです。すごく良い歌だなって。吉田拓郎さんの曲で好きな曲が結構あるんですけど、これも吉田拓郎さんの曲であることを後で知りました。
(4)中島美嘉「雪の華」
これもX-TALKで、吉野圭吾さんというミュージカル界の方にゲストで来ていただいた時にリクエストをお願いしたら「「雪の華」を一緒に歌いたい」と。「ごめんなさい、私、多分高すぎて出ないかも」って言ったら「普段聴けない声が聴きたいんです」って言われて。キーを下げてサビのメロは男性が歌い、私がハモりました。普段と違う「雪の華」でした。
(5)ビング・クロスビー「ホワイト・クリスマス」
宝塚90周年の時かな…NHKラジオで11時間ぶっ通しで宝塚の90周年を祝ったんです。(自分が)司会で、、タカラジェンヌやOGの方で、数小節ずつ「ホワイト・クリスマス」を歌ったんです。みんな忙しいから一回しか録らなかった。本当にその場だけの放送でした。
(6)イルカ「なごり雪」
これも30thの記念トークで、ゲストに同い年ということでスピリチュアルカウンセラーの江原(啓之)さんに来ていただいて。「なごり雪」を歌ってらっしゃった思い出があって「一緒に歌って下さい」と。一緒に歌って「これ良い歌だなあ」と思いました。
(7)石川さゆり「津軽海峡冬景色」
本当に名曲だと思います。津軽海峡に行った人は少ないと思うし、上野発の夜行列車に乗った人も少ないし、連絡船に乗った人も今はいないのに、みんなが想像できるってすごい。「天城越え」も良かったんですけど雪は降ってこないので(笑)、この曲にしました。みんな共感性で歌に入っていくけど、全く共感がないのに空想で共感できる歌ってないんじゃないかな。
(8)真琴つばさ「Winter dust~夢と切なさの間で~」
とても素敵な曲なんです。切なくなるような。
(9)パトリシア・カース「レ・シャンソン・コマンス(歌が始まる)」
パトリシア・カースさんが好きで、良く聴きます。実は「唇に歌を」を日本詞にしてディナーショーで歌ったことがあるんです。その前にも「マドモアゼル・シャントゥ・ブルース」とか歌ったことがあります。
(10)Kenny G「Sentimental」
宝塚時代にハマりましてねえ。彼って夕暮れが似合うんですよ。夕暮れのサックスとかしびれるなあって。あまりにも好き過ぎて、日本詞付けちゃった。
◆ ◆ ◆
――ニューアルバム『眠れない夜にあなたのそばにいたい』のリリースおめでとうございます。忙しい中、どのくらいの期間で出来上がったんですか?
真琴つばさ:半年ぐらいかなあ。話が立ち上がってから一年近かったです。
――このアルバムをひと言で表現すると、どんなアルバムに仕上がっているのでしょうか?
真琴つばさ:テーマは「低音の響きであなたを温めたい」。めっちゃ低音ですよ。男性キーより低く歌っているものもあります。低温体質って事じゃないですよ(笑)。まあそうなんだけど。
――やはり男役的なイメージを投入して?
真琴つばさ:元は高かったんです。女役にならないかという程に。で、17年かけて低くしたんですね。宝塚出身者って辞めてから声を高く戻していくんですけど、低く掘り下げていったんです。そしたらどんどん下が(出るようになって)。
――歌手としての真琴つばさは、宝塚時代からの延長線上にあるのですか?
真琴つばさ:延長ではあるんですけど、外の世界…といったらおかしいんですが、一般的な音楽に触れたときに「これだけ違うんだ」と思いました。
――宝塚で歌ってきた歌とポピュラーミュージックは「違う」と。
真琴つばさ:すごく違いました。歌うときの距離感が違うんです。2000人をイメージしたものなんですけど、みなさんが親しまれているポピュラーな音楽って、もっと近いんですよね。歌い方もそうだけど、気分的なものが。どうしても10人まで行くのが大変。2000人から10人に減らすっていうところで。
――宝塚のステージとは違うんですね。
真琴つばさ:違いますね。私、いまだにステージで暗闇スポットのほうが安心するんです。テレビの対談番組なんかで歌ったりするんだけど、明るいままなんですよ。どこ見て良いか分かんなくなっちゃう。あれは不思議だな~。
――宝塚のステージのほうが馴染んでいるんでしょうか。
真琴つばさ:一番アガったのが結婚式のスピーチ。壇上にはいない、スポットはない、みんなの顔は見える。「うわ~!」って、手が震えて。
――テレビ番組とかバラエティは?
真琴つばさ:それは喋るだけで、何も演じることがない。このままなので(アガらない)。
――アルバムでは「Desert Rose」が目玉だと思うんですけど、プロデュースが新納慎也さん。新納さんとの出会いとプロデュースに至るまでの経緯を教えていただけますか?
真琴つばさ:新納さんとは、もう10年以上前から知り合いで、今年シャンソンのコンサートがあったときにゲスト出演していただいたんです。新納さんは宝塚の方に詞を書いていたりしていて、「この人は天才的だ」と。で、是非とも今回は作曲もというお願いをしたんですけど、いつのまにやら大河ドラマで人気がバーっと上がってきたんです。だから私、あげまんかもしれない(笑)。
――この曲を初めて聴いたときの印象は?
真琴つばさ:女心をすごくよく捉えてるなあ…、と。あと、私の雰囲気で、人に誤解されそうなところをよく捉えていて。
――アルバムには10曲のカバーがありますが、エピソードはありますか?
真琴つばさ:「案山子」は自分のリクエストなんです。自分が宝塚に入ったときの父親の気持ちがよくわかった。これってさだ(まさし)さんのは都会に働きに出た弟に対するお兄さんの歌なんですけど。
――思春期のころは、どれくらい音楽と触れ合っていたんですか?
真琴つばさ:あまりレコードを聴く機会がなくて、ラジオから流れてくるものを聴いてました。宝塚を通じてジャズとかシャンソンとか海外のものは自然に入ってきましたね。中高校の頃は、友達がベイ・シティ・ローラーズがすごく好きで(笑)。
――2017年2月13日には、ヤマハのホールでコンサートの開催が決定していますね。
真琴つばさ:このCDは年齢を重ねた方が共感してくれる歌が多いんですね。その方々にとっては、CDのシリアルナンバーを使ってオンラインで予約するのがとっても難しいと思うんです。これを読んでいるみなさんのお父様やお母様の中にもそういう方がいらっしゃると思うんです。プレゼントしたらどうでしょうかねえ(笑)。
――つばささんは、普段部屋とか移動中に音楽は聴きますか?
真琴つばさ:実はほぼ聴かないです。何故かというと聴くと仕事モードになるんですよ。なので仕事のときに色んな物を聴いてストックして。ディナーショーで曲を聴くときに「本当に色んな曲を知ってらっしゃいますね」って言うほどに、曲リストと曲を持っていて。一応あるんです。普段、絶えず要るって言うものではなく、私の戦友みたいな存在ですね。
――お風呂で聴くとか、リラックスして聴くこともない?
真琴つばさ:音楽を聴くとリラックスができない!なぜかしら。カフェで音楽が流れても「すみません。これなんて曲?」ってなります。
――リラックスするときは無音? 自然のさえずりとか?
真琴つばさ:リラックスする瞬間は本当に少ないんですけど、お風呂に入ったときに「はぁ~」という感じで。
――映画を観たり本を読んだりというリラックスは?
真琴つばさ:映画も本も一生懸命になっちゃって、終わる頃にはすごく疲れるの。
――今後の展望はどういう予定ですか?
真琴つばさ:声がコンプレックス…なんですが、コンプレックスってイコール個性なので、もうちょっと個性ということを実感できる様になりたい。
――歌手として極めていく?
真琴つばさ:でも舞台もやりたいし、色々やりたい。そういう意味ではバラエティ的なんですけど。ひとつの道には耐えられないの。じっとしてるのがダメなんですよ。2016年は歌だけの機会が多かったので、歌の前にストーリーをつけてから歌う。それがひとつの物語になるようなことをやって行きたい。例えば落語みたいなのを海外版で話してもいいですよね…どうしたらいいか相談中なんです。
――女優もやるし、バラエティ番組にも出るし?
真琴つばさ:そうですね。あとは想像力かな。「人と違うアイデアを出しますよね」ってよく言っていただくので、それが上手く形になっていけばな、と。この(頭の)中に色々沢山あるんですよ。
――ネットでも活躍してくれますか?
真琴つばさ:ひとつあるんです。曲紹介で声を活かした何かができないかな、と。(立川)志の輔さんの落語が好きなんですけど、YouTubeでは画面が変わらないまま声が流れるんです。ある意味好きなときに聴けるラジオなわけです。曲紹介を(自分の声で)喋ったりできたらいいな。夜に向いてる声なので、それが活かせるように。
――ベルベットボイスですからね。
真琴つばさ:ベルベットボイス。逆撫でありのベルベットボイス。
――ありがとうございました。
インタビュー:トベタ・バジュン
真琴つばさ『眠れない夜にあなたのそばにいたい』
【通常盤】(CD)VICL-64680 3,000円(税別)
【生産限定盤】(CD+DVD)VIZL-1084 4,700円(税別)
1.眠れない夜に -Opening-
2.私は泣いています
3.いっそセレナーデ
4.わかれうた
5.悲しみは駈け足でやってくる
6.それぞれのテーブル(Tables Separees)
7.気絶するほど悩ましい
8.ビリー(Billy)
9.TRUE LOVE
10.案山子
11.酒と泪と男と女
12.Desert Rose
13.眠れない夜に -Ending-
限定盤DVD
・Music Video「Desert Rose」
・Making PV: Recording 「わかれうた」
・Making PV: Photo Session 「気絶するほど悩ましい」
◆真琴つばさオフィシャルサイト
◆【連載】トベタ・バジュンのミュージック・コンシェルジュまとめ
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