【インタビュー】デス・エンジェル「ジャンルに関係なく、良い曲は良い曲」
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アメリカ西海岸ベイエリアを拠点とするスラッシュ・メタル・バンド、デス・エンジェルのスタジオ・アルバム『ジ・イーヴル・ディヴァイド』が5月27日に発売となった。アルバム制作について語ってくれたメイン・ソングライターであるロブ・キャブスタニー(G)のインタビュー前編に引き続き、後編をお届けする。
◆デス・エンジェル画像
――新作では素晴らしいギター・ワークが聴けますが、あなたが好きなギタリストのトップ3を挙げるとすると? 時代やジャンルを問わず。
ロブ・キャブスタニー:おお!う~ん、これは難しいぞ(笑)。色々な理由で好きなギタリストがいるから。リード・ギタリスト、リズム・ギターとして好きとか、あるいはソングライターとして好きなギタリストとか…。それによって異なるね。
――ギター・ヒーローを挙げるとすると?
ロブ・キャブスタニー:だったら迷わず、まずはランディ・ローズ。彼は最初からずっと変わらず俺のギター・ヒーローだった。彼がいたからこそ俺はギターをプレイしているんで、真っ先に挙げなければならない。彼には物凄く夢中になって、それでギターを手にしたわけだからさ。そして今日まで彼への思いは変わらず、今でも俺のフェイヴァリット・ギタリストだ。ソロもソングライティングもリズムも、すべてにおいて俺の最も好きなギタリストだ。悲しいかなアルバムは2枚しかないが(註:ランディの関わったオジー・オズボーンの2枚のスタジオ・アルバムを指している)。でも、その2枚だけで俺のフェイヴァリットになっている。
それから2人目にはウリ・ロートを挙げたい。彼のスコーピオンズでのプレイには俺は大興奮する。もう信じられないようなプレイをしている。俺にとって彼のあのプレイはジミ・ヘンドリックスの洗練されたヴァージョンだ。彼のプレイはヘンドリックスのプレイを聴く前から聴いていた。こんなことを言ったら大勢の人に殺されるだろうけど、ジミ・ヘンドリックスはウリ・ロートのちょっと雑なヴァージョンだ。ハハハ。勿論、ジミが革新者でありオリジナルだったのは重々承知している。でも、こればかりはどうにもならない。俺はウリ・ロートの方をより頻繁に聴いていて、彼のプレイがとにかく好きだ。
もう1人は…どうしよう、困ったな。挙げたい人が沢山いる(笑)。そうだな、好きな作品数が凄く多いと言うことでジミー・ペイジを挙げたい。
――マイケル・シェンカーを挙げるかと思っていました。
ロブ・キャブスタニー:うううう…(笑)、でも彼はウリ・ロートに近いタイプのギタリストだから。確かに俺はマイケル・シェンカーも大好きだ。でもUFOやMSGよりもレッド・ツェッペリンの方をより頻繁に聴いているんでね…。レッド・ツェッペリンは、どの作品も全て大好きだ。ジミー・ペイジは決して巧妙なソロ・プレイヤーではなく、どちらかと言うと雑なタイプのプレイヤーだ。でも、あれだけ多彩なサウンドを生み出す彼のあの創造性の凄さや、アコースティック・ギターとエレクトリック・ギターの使い方やフィーリング、それからソングライティングやリフ等々、総てが素晴らしい。彼がレッド・ツェッペリンのために創造し生み出したものは何もかもがとてつもなく凄い。プレイの完璧さとかそういう理由で彼を挙げたのではなく、レッド・ツェッペリン・サウンドや彼らが生み出したものに対して敬意の思いを込めて彼を挙げたいね。
――ソングライターとして注目している人、「良い曲を書くバンドだな」と思う人達はいますか?
ロブ・キャブスタニー:新旧問わず?
――はい。
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ロブ・キャブスタニー:それは沢山挙げられる。まずはジェイムズ・ヘットフィールド。特に彼らの最初の3枚目、4枚目は素晴らしいと思う。特にヴォーカル・メロディ、それを乗せる音楽とリフが素晴らしい。『RIDE THE LIGHTNING』『MASTER OF THE PUPPETS』『KILL ‘EM ALL』は本当に凄いアルバムだ。特に『RIDE THE LIGHTNING』と『MASTER OF THE PUPPETS』は何とも言えない。スラッシュの最高傑作だ。最初から最後まで、音楽とヴォーカルと総てを合わせたソングライティングは冴えまくっている。それからロック全体で考えた時、また挙げなければならないのはジミー・ペイジだ。彼こそがレッド・ツェッペリンのメイン・ソングライターだからさ。それからエルトン・ジョン。ソングライターとして俺が最も尊敬している人物の1人だ。正確に言うと、エルトン・ジョンとバーニー・トーピンのコンビだね。2人合わせて本当に素晴らしいソングライティング・チームだ。それからブライン・メイとフレディ・マーキュリーのコンビネーションも。驚くべき最強のチームだ。クイーンの曲の多くを書いたメイン・ソングライターはこの2人だからさ。それからスティーヴィー・ワンダーもまた圧巻のソングライターだ。それからプリンスもまた俺を興奮させる驚異的なソングライターでありミュージシャンだ。
とまあ、好きな人を挙げたらどんどん出て来てキリがないが、もう1人、これはモダン・ロックであり俺達のやっているジャンルではないが、俺が最近強く感銘を受けているソングライターはジョシュ・オムだ。クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジの彼だけど、素晴らしいミュージシャンでありソングライターだ。それからデイヴ・グロールも素晴らしい作品を書くアーティストだ。それからシアトルの同胞としてクリス・コーネル、それからジェリー・カントレルとレイン・ステイリー、それからカート・コバーンも挙げたい。みんな素晴らしい曲を書く人達だ。それからミューズのマット・ベラミーも気に入っている。ミューズは俺にとって現代版クイーンと初期U2を足したような存在だ。彼らの名前が出たついでに言うと、初期のU2の作品も凄く好きだ。俺には“メタルでない”という理由で好きな音楽が沢山あるよ(笑)。でもジャンルに関係なく、良い曲は良い曲だから。
――今気に入っているギタリスト、注目しているギタリストはいますか?
ロブ・キャブスタニー:そうだなあ、今のか…。俺にとって“新しいもの”は他のみんなにとってはそう新しくもないものだったりするから(笑)。俺が例えば「彼は最近出て来た奴だよな」と言っても、「いやいや、かなり前からいるよ」と平気で言われたりする(笑)。でも、1970年代に活躍した人達に比べれば、俺にとって彼らは新しい(笑)。でも、とにかく、ギタリストとして最近気に入っているのはカーカスのビル・スティアーだ。彼は本当に素晴らしいギタリストだ。それからマストドンのギター・ワークも最高に良い。それから、これはあまりメタルではないが、ミューズのマットは凄く好きだ。彼のギターの使い方が、どこかちょっとクイーンのブライアン・メイを彷彿とさせる。ロウであると同時に洗練された、非常に個性的なサウンドでプレイするギタリストだ。過度にシュレッドせず、適切な場所で適切なことをする。
音楽的に影響を受けるタイプのギタリスト、気に入ったり夢中になったりするのは、オリジナリティ溢れるエモーショナルで表現豊かなサウンド、そういうサウンドを生み出すギタリストなんだけど、新しいものの多くは技術面では非常に驚異的なものが多い。俺には絶対にプレイできないようなタイプだ。俺よりずっと上手い人は沢山いる。しかし、そこに優れた曲がなければ、俺はどうに入り込めない。そのプレイが素晴らしくても、それだけでは俺は夢中になれない。ヴォーカルも何もかもが揃っているような曲でないと、俺は好きにはなれないんだ。何もかもが揃っている上で、ギターが素晴らしいと、そこで初めて俺はグッとくる。ギターだけでなく曲自体が良くなければならない。ギタリストがギターをひたすらプレイしているのを聴くだけでは俺には物足りない。俺は夢中にはなれない。そうそう、友達でもあるロドリーゴ・イ・ガブリエーラも大好きだ。彼らのアコースティック・ギターは本当に素晴らしいと思うしインスパイアもされている。でも彼らも別に“最近の人達”ではないしね。(笑)
――2014年にはデス・エンジェルとして日本の<LOUD PARK>に出演しましたね。
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ロブ・キャブスタニー:そう、ようやく<LOUD PARK>に出られたね!いつもはクラブチッタの<THRASH DOMINATION>に出演している。しかしクラブ・ショウ、ヘッドライナー・クラブ・ショウは長年やっていない。その理由は俺にはわからない。3年に一度だけショウを1回だけとか、そういうことではなく、俺は本当はもっとやりたいんだ。<THRASH DOMINATION>は物凄く楽しいよ。大好きな場所だ。でも俺はもっとやりたい。クラブチッタで1回やって、その後2年行くことがなかったりするのではなく、もっと頻繁にプレイしたい。日本では充分プレイできていない。だからこのアルバムでできると良いんだが…。
――<THRASH DOMINATION>もあなた方にとって重要な、思い入れの強いフェスティヴァルですよね? これまで何度か出演していますが。日本の色々なタイプのフェスティヴァルに出たいと思いますか?
ロブ・キャブスタニー:ああ、勿論さ。でも、今年出演するとしたら、そろそろブッキングされているだろう。その気配がないところを見ると、このアルバムで今年フェスティヴァルに出るということはないだろう。でも、とあるビッグ・バンドとのツアーは9月から始まる。その後、何だかんだで来年まで続くだろうから、フェスティヴァルに出演するのはその後になるだろう。来年は物凄く忙しい1年になるんじゃないかな。俺も他のメンバーもみんなフェスティヴァルでプレイするのが大好きだから、本当は日本へもさっさと行きたいところなんだが、色々な理由や現状、タイミングやプランニングがあるし、ひとつひとつしっかりと戦略をもって計画立ててやらないといけない。とにかく、まずはアルバムをリリースし、その反応をしばらく様子見して、みんなにも慣れてもらって、という具合にして、しばらくそういう期間を設けないといけない。そしてみんなが“hungry for DEATH METAL”という状態になってから(笑)、そこから全てが本格的に動き始める。
取材・文:奥野高久/BURRN!
Photos by Stephanie Cabral
【メンバー】
マーク・オセグエダ(ヴォーカル)
ロブ・キャヴェスタニィ(ギター)
テッド・アギュラー(ギター)
ウィル・キャロル(ドラムス)
デミアン・シッソン(ベース)
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デス・エンジェル『ジ・イーヴル・ディヴァイド』
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1.ザ・モス
2.コーズ・フォー・アラーム
3.ロスト
4.ファーザー・オブ・ライズ
5.ヘル・トゥ・ペイ
6.イット・キャント・ビー・ディス
7.ヘイトレッド・ユナイテッド、ユナイテッド・ヘイト
8.ブレイクアウェイ
9.ジ・エレクトリック・セル
10.レット・ザ・ピーシズ・フォール
11.ウェイストランド※ボーナストラック
【ボーナスDVD収録予定内容】*日本語字幕付き『ホワット・ウィ・ドゥ』メイキング映像
◆デス・エンジェル『ジ・イーヴル・ディヴァイド』
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