【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.15「アダム・ランバート 小児病院建設のためのチャリティコンサートLive Aid 出演!」
Live Aidと聞くとアフリカ難民救済のため1985年7月ロンドンとアメリカで世界に向けて行われたチャリティコンサートを思い出し、自分もTVの前で観たのがなつかしく思い出されます。それほど大規模ではありませんが、小児病院建設の資金を募るチャリティコンサート Live Aidが6月6日ヘルシンキのオリンピックスタジアムで開催されました。今ヘルシンキにある小児病院は1940年代に建設され古い建物に加え狭いため両親の付き添いが難しいなど不便な面があり、今の時代に合う小児病院が必要とのことで、2017年新小児病院完成を目標にその新しい小児病院建設のための募金活動が2013年2月からスタートしました。
◆ Live Aid画像
このプロジェクトに向けてNightwishのフロントマンTuomas Holopainen (トゥオマス・ホロパイネン)が作曲、Tuomasとフィンランドの人気ラッパーCheek(チーク)、ミュージッシャンでもありプロデューサーでもあるSimo "Jurek" Reunamäki(シモ"ユレク"レウナマキ)が作詞し、フィンランドの人気アーティスト達が多数出演してテーマ曲「Lohtu」が出来上がりました。「Lohtu」という言葉には慰めとか気が休まる、励ましといった意味があります。そしてこのテーマ曲に出演したミュージッシャン達がヘルシンキのオリンピックスタジアムに集まりチャリティコンサートLive Aidが開催されました。さらに開催直前になりフィンランドでは6月12日(日本発売は7月1日)にニューアルバム「The Original High」を発売するアメリカの人気シンガーAdam Lambert(アダム・ランバート)の出演が発表になりました。Adamはフィンランドでのインタビューの中で2~3年前にボストンの小児病院を訪問したことがあり心を動かされ、このチャリティコンサートのことを聞きすぐに出演を決めたと語っていました。個人的にも彼は大好きなシンガーなのでこのLive Aid出演はとてもうれしかった。5時間という長時間だったので家でゆっくりTVの前で見ようと思っていたのですが、Adamが出演ということで会場まで観に行くことに。
Live Aid当日午前中は晴れのさわやかなお天気でしたが、天気予報どおり午後から曇り空に。そしてヘルシンキに向かう途中やばい!ついに雨が降り出したではありませんか。開場15時、コンサートは17時から22時まで予定されていて、とりあえず余裕みて15時30分ぐらいに会場入り。ステージ前にお値段高いゴールドエリアがあり、その後ろにフェンスで仕切られ一般エリアがあり、小雨が降る中どちらも2列ほど場所をとってる人達がいました。ステージに近づいてみると、、、うひゃ、ステージがめちゃ高い!しかもステージの前に幅広い花道が突き出ていて、あまり前に出すぎるとステージが全く見えない状態。背が低いとこういう時損ですね(泣)。なので特に前に陣取る必要もなく屋根のあるところで雨宿り。開始が近づくと人もだんだん増えてきました。
このLive AidチャリティコンサートはラジオとTVで生中継され、ネットを通じてストリーミングもされたので、世界中のAdam Lambertファンがまだかまだかと観ていたことかと思います。Adam Lambertの他に発表されてた出演アーティスト達は以下の通り。フィンランド通の方知ってるアーティストが何人いるか探してみてください。
Chisu(キス)、Elastinen(エラスティネン)、Jari Sillanpää(ヤリ・シッランパー)、Jenni Vartiainen(イェンニ・ヴァルティアイネン)、Jesse Kaikuranta(イェッセ・カイクランタ)、Johanna Kurkela(ヨハンナ・クルケラ)、Jorma Uotinen,(ヨルマ・ウオティネン)、Juha Tapio(ユハ・タピオ)、Lauri Tähkä(ラウリ・タフカ)Lilli Paasikivi(リッリ・パーシキヴィ)、Matti Salminen(マッチ・サルミネン)、Pekka Kuusisto(ペッカ・クーシスト)、Peter Franzén(ペテル・フランゼェン)、Mikko Leppilampi(ミッコ・レッピランピ)、Riki Sorsa(リキ・ソルサ)、Sunrise Avenue(サンライズ・アヴェニュー)、Samuli Edelmann(サムリ・エーデルマン)、Mira Luoti(ミラ・ルオティ)、Brädi(ブラディ)、 Toni Wirtanen(トニ・ウィルタネン)。サプライズとしてスキャンダルのない品行方正なフィンランドのジャスティン・ビーバーみたいなティーンのアイドルRobin(ロビン)も登場!出演者皆さん持ち歌は1曲ぐらいで、小児病院にお世話になったことのある子供達やご両親達が励まされた曲をデュエットして歌ったり、ジャンルもいろいろでTVの30分のニュースタイムには会場ではシンフォニックオーケストラの演奏や、オペラ歌手、バレエなどのパフォーマンスもありました。
フィンランドにはイスケルマという日本の演歌/歌謡曲にあたるジャンルがあり、このジャンルにあたるJesse KaikurantaとJohanna KurkelaがデュエットしたMetallicaのカヴァー曲「Nothing Else Matters」は意外性もありすごくよかった。ちなみにJohannaはNightwishのTuomasの彼女であります。出演者の中にはこのコンサートの後自分が出演するフェスに向かったり、フェス会場から直接かけつけたアーティストもいたそうです。NightwishのTuomasや超人気ラッパーCheekなどスケジュールの都合上どうしても出演ができなかったアーティスト達からはビデオメッセージが届いてました。司会はフィンランドではいろいろな番組でおなじみの顔Heikki Paasonen(ヘイッキ・パーソネン)とこのプロジェクト支持協会代表取締役でもあり、この春運輸通信大臣に就任したAnne Berner(アンネ・ベルネル)。大臣がチャリティコンサートの司会というのも面白いですね。フィンランドは寒い国というのもあってかアイスホッケーが人気。アイスホッケーの選手がスタジアムの端っこでサイン会をしてたり、アイスホッケーのレジェンドでTami(タミ)という愛称で親しまれているJuhani Tamminen(ユハニ・タンミネン)はアイスホッケーの選手達のサインが入ったジャケットを番組中にオークションに出品!このジャケットは5千ユーロ(約69万円)で売れたそうです。
この日の午後は雨がふったりやんだりでTシャツに皮ジャケット、首にくるくるストール巻いてても夏とは思えない寒さ。途中から雨はやんでいたものの途中でまたポツポツ降ってきた。しまっていたカッパをとりだしてかぶり、正面の少し下がった位置で待機してると後ろや横の方から突然大歓声が!横にいた人が私達が見えない誰かが登場したんだなといってましたが、ステージが高すぎてほんとに何も見えない(汗)。あの歓声はもしかして、、、と思っていたらAdam Lambertの新曲「Ghost Town」のイントロが流れてきたではありませんか!え?え?見えない!あわてて少し後ろに下がったら頭だけが何とか見えました(笑)!この曲を生で披露するのは今回で3回目とコンサート前のインタビューで答えていたので、顔しか観れなかったけど(笑)生で聴けた自分はとってもラッキーでした。
最後はこのプロジェクトのテーマ曲「Lohtu」をフィンランドのLive Aid出演アーティスト達がステージに勢ぞろいして歌っている姿を観たらなんだかうるうると感動してしまいました。コンサート放送中にはTVで募金を募り、Live Aidのチケットの売り上げと放送中に集まった募金の総額は2,076,507ユーロ(約2億8千8百万円)に及ぶそうです。出演者達はもちろん出演料なしの出演、会場で働いてた人もすべてボランティア。立派なステージはスウェーデンから届き、それをボランティアで運送したのはフィンランドの小さな運送会社。ステージの組み立て、照明、音響等すべてボランティアで行われたそうです。フィンランドは夏とはいえ寒い日も普通にあって、この日はお天気悪くてほんとに寒かったですが、心がほんわり温まるコンサートでした。病院の建設はすでに始まっています。予定通り完成して子供たちが今よりよい環境で治療をうけることができるようになりますように。
文:Hiromi Usenius
写真:Hiromi & Kalle Usenius
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