【ライヴレポート】DaizyStripper、ツアーファイナルで「幸せを生み出せる場所です」

DaizyStripper完全復活のシングル「ARREST」をひっさげて行われた東名阪ツアー＜ARREST TOUR＞が4月29日、赤坂BLITZでファイナルを迎えた。

◆DaizyStripper 画像

満員のフロアの大歓声に迎えられ、まず姿を表したのは風弥。ドラムセットに座って力強いリズムを叩き出し、続いて登場したReiが太いベースの音でこれに応戦。まゆ＆なおとギター陣がひとりずつ加わって、4人の楽器隊によるDaizyStripperの音のピースが揃ったところで、最後にヴォーカリストの夕霧が登場するというオープニング。

スモークが派手に焚かれる中、一発目のナンバーはいきなり「ARREST」だ。バンドに戻ってきたまゆへの想いを込め、5人のイニシャルを歌詞に刻んだこの曲はDaizyStripperの決意表明でもあり、バンド史上最速のアッパーチューンだ。音源よりさらにヘヴィで骨太になった「ARREST」が目の前で鳴らされた。4人で活動していた時期のライヴのキラーチューン「GIRL HUNT」では夕霧がまゆにマイクを向けたりと前半から自由奔放なパフォーマンスが繰り広げられ、オーディエンスも横モッシュ＆ハンドクラップで盛り上がる。

夕霧がギターを弾きながら歌い、風弥もヴォーカルをとる「Shooting Star」はトリプルギターの中、キャッチーなメロディと夕霧のハイトーンヴォーカルが音圧を抜けて響いてくる心地よさ。DaizyStripperの武器のひとつ、まゆとなおのツインリードも息がピッタリで、Reiが「会いたかったぞ！　行くぞ!!」と煽り、場内の空気をさらにアゲていく。

「今日はみんな、暴れるつもりで来たのが顔に書いてあるからな！」

夕霧が煽った後で「春は変質者が出る季節だからな。気付いてるかわからないけど、今、オマエらの目の前にも変質者が5人揃ってる」と会場を笑わせ、「俺たちと理想の世界を作ろうぜ!!」とストレートなロックチューン「理想」へ。初期のナンバーや、めったに演奏されてこなかった曲も盛りこまれた今回のライヴは、さまざまなハードルを乗り越えて、結成8年目に突入したDaizyStripperの現在進行形そのものであった。

ボトムをガッチリ支える風弥とReiのリズムセクション。アメリカでの武者修行を経て帰還したまゆと、まゆ不在のポジションをひとりで引き受けたなおが鳴らすツインギター。4人のDaizyStripperの不安を抱えながらもフロントマンとしてオーディエンスを牽引してきた夕霧のタフなヴォーカル。全員が経験値と攻撃力を上げた上で鳴らされる新旧織り混ぜてのセットリストは彼らを見続けてきた人にとっても新鮮に頼もしく響いたのではないだろうか。中盤ではバンド史上、ステージで演奏するのが2度目だという切なくも美しいラヴバラード「白蝶乱舞～The Last Scene~」も披露された。

MCでは復活を告知した2014年8月の赤坂BLITZの思い出に言及。当日、まゆは姿を表すことはなかったが、最後にスクリーンに映し出された5人のシルエットの向こうには本当にまゆも立っていたというエピソードが明かされた。

夕霧は「コイツがバンドに帰ってこられたのも、「ARREST」が生まれたのもみんなのおかげです」と感謝の言葉を述べ、まゆも「あのとき聞こえたBLITZでのみんなの声が今でも自分を励ましてくれるんです。今も演奏しながら幸せだなって。そういう気持ちをみんなで共有できるDaizyStripperは“幸せ”を生み出せる場所なんです」と伝えた。そして、なおからは「俺からもまゆにプレゼントがあるんだよね」と突然のサプライズが。「物じゃないので発表します！　6月29日に渋谷のライブハウスREXでまゆがソロライヴをします。ブッキングしておいたから」と、やんちゃななおらしいドッキリ企画（？）が発表された。まったくもって寝耳に水だったまゆは、「ドキドキとワクワクが半分ぐらいずつです」と笑顔で動揺していたが、1分先が想像できない展開がDaizyStripperらしい。

まゆ同様、ドキドキしているオーディエンスに向かって夕霧が「イヤなことも全部俺たちが忘れさせてやるから」と叫んだ後半戦はその言葉どおり、みんなの理性が吹き飛ぶ熱量マックスのライヴに。怖いもの知らずのロックスピリッツが炸裂した「G.Z.S.K.K-完全復活version-」では前へ前へとオーディエンスが押し寄せ、Reiが熱いベースソロを決め、赤坂BLITZは狂乱の空間へと化していく。

「明日じゃねーぞ、明日じゃねーぞ！　今日だぞ!!」と煽り、ギターを置いたなおが頭からペットボトルの水をかぶり、シャウトしたと思いきや、夕霧がフロアに飛びこむ。これが本能全開のヘヴィチューン「BLACK DROPPer」で繰り広げられる景色だ。まゆもマイクを通して絶叫し、風弥がドラムから離れ、センターで「今日は全員、跳んでもらうからな！」と叫ぶと夕霧が代わりにドラムを叩き、オーディエンスに水を撒きまくっていたなおは、マイクをギターの弦にこすりつけてノイズを鳴らす。完全燃焼の勢いなため、普通ならここで本編終了だが、Daizyのエネルギーはまだまだ余っている。

この後、夕霧はDaizyStripperについて「逆境に立ったときに真の力を発揮するバンドだ」と熱く語り、「10周年ライヴの日には必ず来てほしい」と乗り超えたからこその未来を宣言。本編ラストは春の陽ざしが降り注ぐような希望に満ちたナンバー「STAY GOLD」で締められた。

5人がステージを去るやいなや、アンコールの声が会場に響き、スクリーンに映し出されたのは新曲「DEAR MY SIRIUS」のミュージックビデオだった。開放感にあふれたポップなメロディと“白”で統一されたフレッシュな映像に場内が沸く中、曲が終わらない内にメンバーがMVと同じ真っ白な衣装を着て、ステージに登場し、音源に先がけて「DEAR MY SIRIUS」を演奏。この日、いちばんのプレゼントが愛を込めて贈られた。

夕霧は「攻撃的なDaizyStripperから毒が抜けた感じの曲」と表現し、5月20日にミニアルバム『SIRIUS』が発売されることや7月から全国30箇所のツアーを行なうことを報告。「みんなに感謝の気持ちを込めて作った曲を聴いてください」と、さらに披露された新曲「SMILE WORLD」は夕霧のヴォーカルと風弥のピアノ、ストリングスがフィーチャーされたメロディが光る温かいバラードだった。ラストナンバーは「LIVE OR DIE」で再び炸裂。それでも彼らを呼ぶ声は大きくなる一方で、ダブルアンコールが実現した。風弥のツーバス連打も痛快な「ARREST」が再び演奏され、熱い熱いツアーファイナルを悔いなしの暴れっぷりで締めくくった。

取材・文◎山本弘子

■東名阪ツアー＜ARREST TOUR＞
2015年4月29日＠赤坂BLITZセットリスト
01.ARREST
02.GIRL HUNT
03.Shooting Star
04.理想
05.ジュリエットのナイフ
06.罪な罰
07.Derringer
08.last note
09.白蝶乱舞～The Last Scene~
10.Another Sky
11.G.Z.S.K.K-完全復活version-
12.キューソネコカミ
13.BLACK DROPPer
14.decade
15.STAY GOLD
encore
en1.DEAR MY SIRIUS
en2.SMILE WORLD
en3.Bremen
en4.LIVE or DIE
w.encore
en5.ARREST




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◆DaizyStripper オフィシャルサイト