【ライヴレポート】DaizyStripper、11周年記念公演が“最幸”「俺たちは光でありたい」

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DaizyStripperが6月5日に東京・マイナビBLITZ赤坂で活動11周年記念ワンマンライヴを行った。この日は<KISS THE FUTURE~Perfect Request Live~>という公演タイトルからもわかるとおり、単純に11年間の活動を振り返るのではなく、これまでリリースしてきたすべての楽曲の中から、ファン投票によって選出された曲を一気に演奏してしまおうというもの。それだけに、会場内はライヴが始まる前から熱気に包まれていた。

◆DaizyStripper 画像

開演時間と同時に客電が消え、ステージを覆う真っ赤な幕にスポットライトがあたる。それはまるで、ライヴというよりショーが始まるようにも見えた。すると、幕の間からタキシード姿の男性が顔をのぞかせる。その男性とは、ラジオのパーソナリティーとしてもお馴染みの、DJ浅井博章氏。本日の進行役を務めるという。


「本日、DaizyStripperは11才の誕生日を迎えることができました」との挨拶から、今夜のライヴはメンバーからトレゾアへ感謝の気持ちを込めてリクエスト投票で選ばれた上位16曲を、16位の曲から1位の曲まで順番に演奏していくことが発表された。「普段のライヴではまず考えられないような曲順や流れが随所に出てくるかと思います」と注意喚起をしてフロアの笑いを誘う。「皆さんは自分がリクエストした曲が何位に入っているのか、いつ披露されるのか、ドキドキワクワクしながらセットリストを予想し今日のライヴを存分に楽しんでいただきたいと思います。では皆さん、ライヴを楽しむ準備はできていますか?」という煽りにフロアからは大きな拍手が。

「というわけで、16位からお送りするわけですが、いきなり予想を裏切る曲から始まると思いますので、ご期待いただきたいと思います。DaizyStripper 11th Anniversary<KISS THE FUTURE~Perfect Request Live~>、No.16 「Bremen」!!」──浅井博章

ライヴのスタートが高らかに告げられると、曲のイントロが響く。ミディアムなテンポに乗せて“「また会いましょう」 花びら誓い 僕らは奏でていく”と伸びやかに広がる歌声。そのとき幕が開いた。アクセントに黒のラインが入った白地のスーツスタイルに身を包んだ5人の姿がそこにはあった。1曲目が「Bremen」という斬新なオープニングもさることながら、新衣装での登場という、我々の予想を次々と裏切る展開にまず驚かされる。“DaizyStripper”と大きく描かれたお立ち台に飛び乗り、相変わらずのハイトーンボイスで「会いたかったぞー!」と叫ぶ夕霧(Vo)。


「11年、これからも愛してます」とトレゾアに感謝の気持ちを挟んだあとには、「罪な罰」と「白蝶乱舞~White Butterfly~」を演奏していく。前者はキャッチーな部分を含みながら全体を通して威嚇するような空気感が漂わせており、まゆ(G)のエモーショナルな音色が曲を一層引き立てる。眉間を寄せながらギターを奏でる姿は“顔で弾く”という表現がぴたりとハマるほど情感豊かだった。また後者では、まゆと同じ下手側に位置するRei(B)のベース・ソロに目を奪われる。繊細な指先から作り出される分厚い音は楽曲の根本をしっかりと支えていく。指弾きによるピッキングは表情豊か、そのサウンドが聴く者の耳と心に1音1音を深く刻む。

このあとは浅井氏が登壇し、楽曲解説を行うというラジオ風な作りでトレゾアを飽きさせることなくライヴが進んでいく。「BLACK DROPPer」が13位にランクインを果たすと、「飛ばしていこうか東京! 最強の11年、一緒に作ろうか!」と扇りを見せる。すると、フロアはたちまち戦闘体勢に。



ドラムセットを新調した風弥~Kazami~(D)は荒くれた馬の手綱を操るかのように大胆な手つきと足さばき。彼はドラム兼ピアノ、さらにはほとんどの楽曲の作曲をこなすというマルチプイヤーでもあるのだが、こうしてドラムを叩いている姿を見ていると、やはり本職はこれだなと改めて納得してしまう。それだけ説得力のあるドラムプレイを見せてくれた。なお(G)に至っては、愛らしい風貌からは想像もつかないぐらい、“暴れ曲”と呼ばれる楽曲で人格が豹変していく。「BLACK DROPPer」のときがまさにそうであり、この日は近くにあったマイクスタンドを曲中に高々と掲げたかと思えば、勢いよく後ろに向かって放り出すという自由気ままなスタイルを貫いた。こうした個性溢れる楽器陣に囲まれてもひるまないのが夕霧だ。彼の特徴はロックでもバラードでも、変幻自在に歌いこなせるところ。次に演奏された「切望のフリージア」では、持ち味である高音を活かして歌い上げていった。

この日のステージは、ファンからのリクエスト投票をカウントアップ形式で演奏していくというお題を設けたことで、DaizyStripperの楽曲の良さを改めて感じることになった。それが如実にわかったのは「36.5°C」でのこと。ここでは、風弥~Kazami~の鍵盤演奏に合わせ、弦楽器と今にも泣きそうな歌声が曲を豊かに彩る。加えて、背景にあたった光の粒が宝石のようにも見え、視覚的にも楽しませてくれた。



トレゾアからのたくさん拍手の中、再度浅井氏が演奏された楽曲を振り返る。そのなかで「リクエストの上位をカウントアップしていくという、自分たちで曲順を決められない状況というのはどうなんですか?」と夕霧に話を振ると、「非常にやりにくい。寝起きでステージみたいな感じ(笑)」と素直な気持ちを綴る。また、「初期の頃の楽曲が多く入っているのは個人的に嬉しい」とも語った。

だからといって、このあとに過去曲を演奏するのではなく、「ラビットファンタジーパレード」が入ってきたのは面白い。この曲はシングル「4GET ME NOT」のカップリング曲として収録されていたのだが、前回ツアーでは披露されることがなかったのだ。それだけに聴けることを楽しみにしていたトレゾアは多い。また、この曲を作る際、作曲者の風弥~Kazami~は「最高の曲ができた」と自画自賛していたそうだが、そこにサウンドプロデュースを手掛けたKen(L’Arc-en-Ciel)のアドバイスが加わったことで、今までにないDaizyStripperの世界観を提示することができた。初披露となるこの夜はマーチングバンドを呼び込み、パレード感を強めて演奏していった。さらに、ステージ後ろに球体のオブジェを配置したことや夕霧の吹くホイッスルの音色も手伝って、音源だけでは伝わりきらなかった幸福感がライヴではより全面に出ていたように思う。おかげで、曲を聴き進めるうちに夢の国にいるような錯覚を覚えた。



曲が終わり、マーチングバンドが去ると、「DEAR MY SIRIUS」「LIVE or DIE」「SHINE」が並べられていった。「DEAR MY SIRIUS」では冒頭部分でトレゾアが歌詞を口ずさむのをステージ上からジッと眺める夕霧。後のMCでわかったことなのだが、このとき彼は「歌詞がポーンと飛んでしまっていた」という。しかし、それも生の良さ。ライヴだからこそのヒトコマであり、レアな一面を見ることができたのではないだろうか。こうして、あっというまにライヴは前半戦が終わり、ここからは後半戦に突入。

後半戦の1曲目に選ばれたのは、「ダンデライオン」。DaizyStripperの始まりの曲であり、今聴いてもまったく色褪せていない。むしろ輝きは年々増している。その後に続いた「Brilliant Days.」も相乗効果で活かされているように感じられた。一転して、「自慰的ショータイム」では、なおがアンプの上に置いてあったペットボトルを鷲掴みにし、中に入っていた水を頭からかぶるというロックなところを見せつけるパフォーマンスも。



振り返ると、結成当初、DaizyStripperは周りの大人たちから“優等生”と言われていた。ライヴの運びが圧倒的だった。何でもこなせてしまう彼らに対する褒め言葉だったのだが、ロックバンドであるDaizyStripperは、その言葉を嫌った。“右を向けと言われても左を向くぐらいの精神でいたい”──そうしたロックな気持ちだけで11年間戦ってきた。だからこそ、「自慰的ショータイム」のような魂を解放できる曲は優等生でなくていい。そして、こうしていつまでも初心を忘れることなく、音楽を通して尖ることができるのは、応援してくれるトレゾアがいてこそ。それだけに、続く「トレゾア」ではすべての想いを旋律に乗せて歌い上げていった。「ジュリエットのナイフ」は、昔からの人気曲とあって、この日、初めて彼らのワンマンに来たという子たちも存分に楽しめたのではないだろうか。

11年間、どの曲もトレゾアと一緒に成長してきた。それゆえ、リクエスト投票第1位に選ばれた「色彩ヴィヴィッド」が演奏されると、金テープ舞う中、満場一致と言わんばかりの表情でフロアは笑みを浮かべて聴いていたのだった。


アンコールでは、「ずっとやりたかった」というKISS RECRDSというレーベルを立ち上げたことが報告。さらに、KISS RECRDS第1弾作品として、ミニ・アルバム『シン世カイ』を7月25日にリリースし、それに伴って全国ツアーを廻ることも発表された。またリード曲「コスモス」がこの日、いち早く披露されるなど、うれしいことが続いていく。なお、この曲は「4GET ME NOT」に引き続き、Ken(L’Arc~en~Ciel)がサウンドプロデュースを務めているとのこと。またしても迸る化学反応が生まれたようだ。これまでのDaizyStripperには珍しい、ファンクミュージックの雰囲気も盛り込まれており、音の隅々から大地のエネルギーを感じさせる楽曲に仕上がっていた。

また、彼らはしばしば、“最高”という言葉を“最幸”と置き換えて表現する。「BIRTHDAY SONG」「decade」「STAY GOLD」の3曲は、最幸という表現以外が見つからないほど、素晴らしく幸せな光景を作り出してくれた。リクエストによるライヴというこれまでにない主旨の下で行われた今回のワンマンライヴは、いろいろなことに臆することなくチャレンジしてきたDaizyStripperだったからこそ成立したように思う。



「これからも俺たちがお前たちのこと幸せにしてやるから、しっかりと付いてこいよ!」と12年目に向けて希望をたくした夕霧。その後はメンバー全員が手をつないだままジャンプをして、この日のライヴが締め括られた。最後、ステージからはける際に夕霧はこう残した。「世の中は闇だらけだけど俺たちは光でありたいと思ってます!」。

闇を切り裂き光の先に見えるもの、それこそが彼らとトレゾアにとっての新世界なのだろう。12年目に広がる景色とは──。まずは、ミニ・アルバム『シン世カイ』に期待したい。

取材・文◎水谷エリ

■MINI ALBUM『シン世カイ』

2018年7月25日(水)リリース
【A-TYPE(CD+DVD)】KISS-001 ¥ 3,685(税別)
CD:全11曲(6曲バンドによるシン曲+5曲アコースティック)
DVD:「コスモス」Lyric Movie / MAKING [A]
【B-TYPE(CD+DVD)】KISS-002 ¥ 3,200(税別)
CD:全6曲(6曲バンドによるシン曲)
DVD:「コスモス」Lyric Movie / MAKING [B]
【C-TYPE(CD)】KISS-003 ¥ 3,200(税別)
CD:全11曲(6曲バンドによるシン曲+5曲アコースティック)
【D-TYPE(CD)】 KISS-004 ¥ 2,800(税別)
CD:全6曲(6曲バンドによるシン曲)
▼収録曲【A-TYPE】【C-TYPE】共通 CD全11曲
01.コスモス
02.TIME CRUISE
03.CALLING U
04.TOXIC PEOPLE
05.CHLOE
06.innocence
07.Adam
08.罪な罰
09.BLACK DROPPer
10.STARGAZER
11.MY WAY
▼収録曲【B-TYPE】【D-TYPE】共通 CD全6曲
01.コスモス
02.TIME CRUISE
03.CALLING U
04.TOXIC PEOPLE
05.CHLOE
06.innocence

■<DaizyStripper Acoustic Live & Chaotic Live 2Days Tour「エトス兎パトスの、シン世カイ」 >

07月28日(土)札幌COLONY Acoustic Live
07月29日(日)札幌COLONY Chaotic Live
08月04日(土)岡山IMAGE Acoustic Live
08月05日(日)岡山IMAGE Chaotic Live
08月11日(土)仙台MACANA Acoustic Live
08月12日(日)仙台MACANA Chaotic Live
08月18日(土)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE Acoustic Live
08月19日(日)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE Chaotic Live
08月25日(土)長野 LIVE HOUSE J Acoustic Live
08月26日(日)長野 LIVE HOUSE J Chaotic Live
09月01日(土)大阪MUSE Acoustic Live
09月02日(日)大阪MUSE Chaotic Live
09月08日(土)福岡DRUM Be-1 Acoustic Live
09月09日(日)福岡DRUM Be-1 Chaotic Live
09月15日(土)名古屋Electric Lady Land Acoustic Live【風弥~Kazami~BIRTHDAY】
09月16日(日)名古屋Electric Lady Land Chaotic Live
09月19日(水)渋谷WWW-X Acoustic Live
09月20日(木)渋谷WWW-X Chaotic Live【TOUR FINAL】

◆DaizyStripper オフィシャルサイト
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