【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.5「へヴィ・クリスマス」
今年もクリスマスが近づいてきましたが、クリスマスソングというと賛美歌のようなクラシックなものから、80年代に大ヒットして毎年クリスマスシーズンにはどこかでながれてくるワム!の「Last Christmas」のようなポップなものまでありますが、フィンランドにはメタルなクリスマスソングがあります。
◆Raskasta Joulua画像
フィンランドはメタル王国とよく耳にしますが、実際田舎に住んでるとラジオで受信できる一般のラジオ局からはめったにメタルは流れません。メタルが好きそうな格好の人もこの町内ではめったに見かけません。余談になりますが、息子の通っていた中学と併設してある高校に昨年ドイツからいかにもメタル好きそうな男の子が交換留学生でやってきたのですが、息子の話では中学、高校あわせてもメタル好きな生徒は1人しか思い浮かばないと。メタル王国なはずなのに交換留学生拍子抜けでがっかりしただろうなぁと言ってました。というわけで普段はなぜにメタル王国と言われるのかがわからないのですが、メタルなクリスマスソングがあるぐらいなのでやっぱりメタル王国なのでしょうかね。
北欧メタルファンの方にはへヴィ・クリスマスこと<Raskasta Joulua(ラスカスタ・ヨウルア)>すでにおなじみだと思いますが、フィンランドメタル界の人気ボーカリスト4人で結成されたノーザン・キングスや来日もしたことのあるアリ・コイヴネンのバンドのギタリストなどでも知られるエルッカ・コルホネンが2004年にメタルなクリスマスソングのライブをヘルシンキのバーで行ったのがこのヘヴィ・クリスマスのそもそもの始まりとなったのであります。
最初のライブは技術的にもうまくいかず、シンガーは歌詞を忘れたりなど最悪。最初で最後になると思ったものの、翌年ツアーエージェントの方からの励ましを受け再度やってみることに。それがいつの間にか恒例になり<Raskasta Joulua>ツアーに発展。ボーカルは自分のバンドのライブがあったりするのでいつも同じ人というわけにいかず、だんだんと新しいボーカルが加入、都合のあうライブに参加するといった形式に。そして昨年はクリスマスソングをこのメタルシンガー達が歌ったアルバム『Raskasta Joulua』を発売。このアルバムは2万枚以上の売り上げでプラチナディスクを獲得。そして一番最初の大失敗だったライブから10年経った今年大々的に10周年ツアーを行い、今回ヘルシンキの会場はなんとアイスホールに!フィンランドの室内のコンサート会場ではたぶんこのアイスホールが2番目にでかいんじゃないかと思います。国内のちょっとぐらい人気のあるバンドではなかなかライブができない大きさの会場なのであります。そんな大きな会場でヘヴィなクリスマスライブが開催されるフィンランドはやっぱりメタル王国なのでしょうね。このアイスホールでのライブはネットTVでストリーミングもされ、お茶の間でも一足早く一風変わったヘヴィ・クリスマスを楽しむことができました。
今年の<Raskasta Joulua> アーティスト達の顔ぶれは以下の通り。
ボーカル:
エリーゼ・リード(Elize Ryd/スウェーデン)
マルコ・ヒエタラ(Marco Hietala)
トニー・カッコ(Tony Kakko)
ヤルッコ・アホラ(Jarkko Ahola)
JP・レッパルオト(JP Leppäluoto)
アンッティ・ライリオ(Antti Railio)
アリ・コイヴネン(Ari Koivunen)
ヴィッレ・トゥオミ(Ville Tuomi)
アントニィ・パルヴィアイネン(Antony Parviainen)
パシ・ランタネン(Pasi Rantanen)
トンミ・トゥプレ・サルメラ(Tommi ”Tuple” Salmela)
キンモ・ブロム(Kimmo Blom)
ギター&アレンジ:エルッカ・コルホネン(Erkka Korhonen)
ギター:トゥオマス・ワイノラ(Tuomas Wäinölä)
ベース:エルッキ・シルヴェンノイネン(Erkki Silvennoinen)
ドラム:ミルカ・ランタネン(Mirka Rantanen)
キーボード:ヴィリ・オッリラ(Vili Ollila)
先月発売になった昨年のライブDVD付のアルバム『Raskasta joulua 2』もすでにプラチナディスクを獲得しているほどの人気。今年はさらに英語バージョンのアルバム『Ragnarok Juletide』も発売されていて、2015年はへヴィ・クリスマスの国外進出も予定されているようです。まずは北欧とドイツ、そのあと南ヨーロッパあたり。そのうち日本にも上陸するでしょうかね?
さてフィンランドの芸能ニュースによりますと、今年のヘルシンキアイスホールでのライブの最後に、この<Raskasta Joulua>の生みの親でもあるギタリストのエルッカ・コルホネンは観客の中のどこかにいる彼女にむかってプロポーズ。彼女の返事は…イエス!だったようで、ハッピーエンドに終わり、めでたし、めでたし。
それでは皆さん楽しいクリスマスを。Hyvää Joulua!(メリークリスマス!)
文:Hiro
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