ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ、素晴らしい処女飛行に拍手
ここ日本でもオリコン洋楽ランキング1位を獲得したセルフ・タイトルのファースト・アルバム『ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ』が、今週全英アルバム・チャートでも堂々の初登場1位を達成。祝賀の追い風を受け、アイルランド、ダブリンで果たしたノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ初ライヴ離陸に続き、10月26日マンチェスターで里帰り公演を迎えた元オアシスのノエル・ギャラガー。テスト飛行とも言える一連のソロ・デビュー・ツアーは、会場もアリーナではなくホール規模。プラチナ・チケットを手にしたラッキーなマンチェ達も、「俺達のヒーロー」を間近で観る滅多にない機会に、興奮と歓喜で場内の温度をぐんぐん上げている。
◆ノエル・ギャラガー画像
“ノーエル、ノーエルゥゥ…!”のコールが浮かんでは消える中、午後8時58分に客電が落ち、サイケデリックなフォルムのバンド・ロゴ電飾がステージの背景いっぱいに浮かび上がる。長袖シャツにジーンズ+ブーツ姿のノエルを先頭に、バンドが入場。「言わずもがな」という感じで、無言のままオアシス2曲の先制パンチ「(It's Good)To Be Free」「Mucky Fingers」がドロップされ、観客もたまらず双手を上げ絶叫で応じる。ファースト・ソロ・アルバムの冒頭を飾る「Everybody's On The Run」で本格的にギアが入り、エピックなせり上がりに合わせ、サビ・コーラスの熱い大合唱が巻き起こる。サッカー試合を思わせる空気とサポートぶり、そしてお客の優に9割は男性と、まさにマンチェスターのロックである。
その中心にいながら、不思議なくらいノエル当人は心もとなげに映った。それは、彼の軽く猫背な演奏時の姿勢、そしてスリムに引き締まって若々しさを増した佇まい(遠目には、90年代の彼とそんなに変わらない。驚異的!)のせいもあったかもしれない。が、百戦錬磨のあのノエルですら、リアムのカリスマが作り出す強力な磁場に長い間防御されてきた後で、万人の注視と愛と熱気の矢面に立たされるのには、まだ多少違和感があるようなのだ。
しかし、この晩披露された優れた楽曲群と音楽的なレンジの広さ、演奏のダイナミクスは、そんなハンデを補って余りあるものだった。コンパクトに凝縮されたポップ・ソングぞろいのハイ・フライング・バーズのアルバムはジューク・ボックスにちょっと似ているが、アンコールも含めて計20曲/90分のセットもまた、ブリティッシュ・ビート、哀感に満ちたバラード、ヘヴィなサイケ、グルーヴ・ロック…と多彩。ノエルのアコギにキーボード&ドラムを伴ったスタイル(「Don't Look Back In Anger」の西海岸のレイドバック感覚~ジャズのトーンは特に秀逸だった)を始め、9つのオアシス楽曲にも繊細なツヤと息吹とが与えられていた。オアシスというバンドのスケール感、パワーやマジックをリアム/ビーディ・アイが引き継いだとしたら、兄ノエルはその音楽的なコアとソウルとを体現し続ける道を選んだのだと思う。
もう少し自由に余韻を残してほしかった「(I Wanna Live In A Dream In My) Record Machine」など、バンドとのインタラクションに少々課題もあったかもしれない。しかしそれは今後時間が解決していくだろうし、何より、「いい歌」をいいライヴ・サウンドといい演奏(=最高の形)で聴き手に届けることに専念する、バンド・マンとしての原点に立ち返ったノエルのポジティヴィティはフレッシュだった。素晴らしい処女飛行に拍手を。
坂本麻里子
ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ
2011年10月26日@マンチェスターO2 Apollo
1.(It's Good) To Be Free トゥ・ビー・フリー
2.Mucky Fingers マッキー・フィンガーズ
3.Everybody's On the Run * エヴリバディズ・オン・ザ・ラン
4.Dream On * ドリーム・オン
5.If I Had A Gun... * イフ・アイ・ハッド・ア・ガン
6.The Good Rebel * ザ・グッド・レベル
7.The Death of You and Me * ザ・デス・オブ・ユー・アンド・ミー
8.New Song( aka Freaky Teeth) 新曲 AKA...フリーキー・ティース
9.Wonderwall (Acoustic) ワンダーウォール (アコースティック)
10.Supersonic (Acoustic) スーパーソニック (アコースティック)
11.(I Wanna Live In A Dream In My) Record Machine*(アイ・ウォナ・リヴ・イン・ア・ドリーム・イン・マイ)レコード・マシーン
12.AKA....What A Life! * AKA…ホワット・ア・ライフ!
13.Talk Tonight トーク・トゥナイト
14.Soldier Boys and Jesus Freaks * ソルジャー・ボーイズ・アンド・ジーザス・フリークス
15.AKA...Broken Arrow* AKA…ブロークン・アロー
16.Half The World Away ハーフ・ザ・ワールド・アウェイ
17.(Stranded On) The Wrong Beach * ストランディッド・オン)ザ・ロング・ビーチ
アンコール曲
18. Don't Look Back In Anger (Acoustic) ドント・ルック・バック・イン・アンガー(Acoustic)
19.The Importance of Being Idle インポータンス・オブビーイング・アイドル
20.Little By Little リトル・バイ・リトル
* はアルバム「ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ」より
<ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ来日公演>
2012年1月16日(月)&17日(火)
@TOKYO DOME CITY HALL(旧:JCB HALL)
Open18:00/Start19:00
¥7,000(前売り・1Fスタンディング・2F&3F指定席/ドリンク代別途
Info: 03-3444-6751(SMASH)
http://smash-jpn.com/index.php
◆ノエル・ギャラガー・オフィシャルサイト
◆ノエル・ギャラガー画像
“ノーエル、ノーエルゥゥ…!”のコールが浮かんでは消える中、午後8時58分に客電が落ち、サイケデリックなフォルムのバンド・ロゴ電飾がステージの背景いっぱいに浮かび上がる。長袖シャツにジーンズ+ブーツ姿のノエルを先頭に、バンドが入場。「言わずもがな」という感じで、無言のままオアシス2曲の先制パンチ「(It's Good)To Be Free」「Mucky Fingers」がドロップされ、観客もたまらず双手を上げ絶叫で応じる。ファースト・ソロ・アルバムの冒頭を飾る「Everybody's On The Run」で本格的にギアが入り、エピックなせり上がりに合わせ、サビ・コーラスの熱い大合唱が巻き起こる。サッカー試合を思わせる空気とサポートぶり、そしてお客の優に9割は男性と、まさにマンチェスターのロックである。
その中心にいながら、不思議なくらいノエル当人は心もとなげに映った。それは、彼の軽く猫背な演奏時の姿勢、そしてスリムに引き締まって若々しさを増した佇まい(遠目には、90年代の彼とそんなに変わらない。驚異的!)のせいもあったかもしれない。が、百戦錬磨のあのノエルですら、リアムのカリスマが作り出す強力な磁場に長い間防御されてきた後で、万人の注視と愛と熱気の矢面に立たされるのには、まだ多少違和感があるようなのだ。
しかし、この晩披露された優れた楽曲群と音楽的なレンジの広さ、演奏のダイナミクスは、そんなハンデを補って余りあるものだった。コンパクトに凝縮されたポップ・ソングぞろいのハイ・フライング・バーズのアルバムはジューク・ボックスにちょっと似ているが、アンコールも含めて計20曲/90分のセットもまた、ブリティッシュ・ビート、哀感に満ちたバラード、ヘヴィなサイケ、グルーヴ・ロック…と多彩。ノエルのアコギにキーボード&ドラムを伴ったスタイル(「Don't Look Back In Anger」の西海岸のレイドバック感覚~ジャズのトーンは特に秀逸だった)を始め、9つのオアシス楽曲にも繊細なツヤと息吹とが与えられていた。オアシスというバンドのスケール感、パワーやマジックをリアム/ビーディ・アイが引き継いだとしたら、兄ノエルはその音楽的なコアとソウルとを体現し続ける道を選んだのだと思う。
もう少し自由に余韻を残してほしかった「(I Wanna Live In A Dream In My) Record Machine」など、バンドとのインタラクションに少々課題もあったかもしれない。しかしそれは今後時間が解決していくだろうし、何より、「いい歌」をいいライヴ・サウンドといい演奏(=最高の形)で聴き手に届けることに専念する、バンド・マンとしての原点に立ち返ったノエルのポジティヴィティはフレッシュだった。素晴らしい処女飛行に拍手を。
坂本麻里子
ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ
2011年10月26日@マンチェスターO2 Apollo
1.(It's Good) To Be Free トゥ・ビー・フリー
2.Mucky Fingers マッキー・フィンガーズ
3.Everybody's On the Run * エヴリバディズ・オン・ザ・ラン
4.Dream On * ドリーム・オン
5.If I Had A Gun... * イフ・アイ・ハッド・ア・ガン
6.The Good Rebel * ザ・グッド・レベル
7.The Death of You and Me * ザ・デス・オブ・ユー・アンド・ミー
8.New Song( aka Freaky Teeth) 新曲 AKA...フリーキー・ティース
9.Wonderwall (Acoustic) ワンダーウォール (アコースティック)
10.Supersonic (Acoustic) スーパーソニック (アコースティック)
11.(I Wanna Live In A Dream In My) Record Machine*(アイ・ウォナ・リヴ・イン・ア・ドリーム・イン・マイ)レコード・マシーン
12.AKA....What A Life! * AKA…ホワット・ア・ライフ!
13.Talk Tonight トーク・トゥナイト
14.Soldier Boys and Jesus Freaks * ソルジャー・ボーイズ・アンド・ジーザス・フリークス
15.AKA...Broken Arrow* AKA…ブロークン・アロー
16.Half The World Away ハーフ・ザ・ワールド・アウェイ
17.(Stranded On) The Wrong Beach * ストランディッド・オン)ザ・ロング・ビーチ
アンコール曲
18. Don't Look Back In Anger (Acoustic) ドント・ルック・バック・イン・アンガー(Acoustic)
19.The Importance of Being Idle インポータンス・オブビーイング・アイドル
20.Little By Little リトル・バイ・リトル
* はアルバム「ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ」より
<ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ来日公演>
2012年1月16日(月)&17日(火)
@TOKYO DOME CITY HALL(旧:JCB HALL)
Open18:00/Start19:00
¥7,000(前売り・1Fスタンディング・2F&3F指定席/ドリンク代別途
Info: 03-3444-6751(SMASH)
http://smash-jpn.com/index.php
◆ノエル・ギャラガー・オフィシャルサイト
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