フェイセズ、37年ぶりの日本のステージ
“伝説”がこれほど気持ち良かったときが、かつてあっただろうか。1970年代前半に活躍したブリティッシュ・ロック・バンド、フェイセズが再結成、フジ・ロック・フェスティバルへの参戦が実現した。1974年2月の来日公演以来、37年ぶりの日本のステージに相応しい大舞台である。
◆フェイセズ画像
「5回こっきりのワールド・ツアーだ」と語るのは、現在ザ・ローリング・ストーンズの一員でもあるロニー・ウッド(ギター)。これが復活ツアーの最終日となる。
「地震の影響?気にならなかったな。君たちが招いてくれたから、ちょっと顔を出すことにしたのさ」と、バックステージで語っていたロニー。その一言からは、どんな状況下でも観客を思いきり楽しませる、プロのロッカーの心意気が伝わってくる。
ロニーと共にストーンズのツアーに同行したことのあるイアン・マクレガン(キーボード)、ザ・フーのメンバーでもあったケニー・ジョーンズ(ドラムス)というオリジナル・メンバー3人に加え、2010年にシンプリー・レッドでの活動にピリオドを打ったミック・ハックネル(ヴォーカル)、そしてセックス・ピストルズのグレン・マトロック(ベース)という、異論の余地なく豪華なラインアップ。野外フェスティバルを巨大なパブにしてしまうロック・バンドがいるとしたら、その名前は“フェイセズ”に決まっているだろう。
「ジュディズ・ファーム」「リアル・グッド・タイム」「シリコン・グロウン」と往年のフェイセズ・ナンバーを次々と披露していく彼らだが、その演奏は、単に過去を懐かしむのではなく、現在進行形のロック・バンドとして本気で取り組んでいる。ロニーのギターはガッと内臓に食い込み、イアンのホンキー・トンク・ピアノは曲にピッタリとハマったものだ。
また、ミック・ハックネルの歌声も、骨のあるロックなものだ。数々のフェイセズ・クラシックスを見事に歌いこなした彼は、ポール・マッカートニーの「恋することのもどかしさ」やエタ・ジェイムズの「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」でも強烈なインパクトを残したのだった。また、ロニーの息子ジェシーも頼りになる相棒ギタリストとして参加(彼はまた、2010年ロンドンで行なわれたロニーのロンドンでのソロ・ライヴでベースをプレイしている)。まだ若い彼だが、自らのバンド、ブラック・スワン・エフェクトでも活動しており、今後音楽シーンにおいてその名前を目にする機会は増えていくだろう。
新シンガーのミックに負けじと、観衆も声を限りに歌い続ける。「こないだノエル・ギャラガーと会ったら、いかにフェイセズから影響を受けたか、熱く語ってくれたよ」とロニーは笑っていたが、彼らのファンの年齢層は、幅広く奥深い。メイン・ステージであるグリーン・ステージは老いも若きも一体となり、「ウー・ラ・ラ」のサビの合唱が、大自然の中に響きわたった。また、ロニーのソロ・コーナーで奏でられた「ヘイ・モナ」ではボ・ディドリー・ビートの手拍子が入るなど、日本のファンのあまりに“わかっている”反応には、メンバー達も目を丸くして驚いていたほどだ。
それに対する返礼か、バンドはアンコールでサプライズを用意していた。「今日ここに来ることが出来なかったロニー・レイン、そしてスティーヴ・マリオットに捧げる」という前置きをして、フェイセズの前身バンドであるスモール・フェイセズの「ティン・ソルジャー」「オール・オア・ナッシング」をプレイ。若くしてこの世を去った旧友たちを偲ぶ演奏は、大きな歓声をもって迎えられた。
そうして最後のクライマックスは「ステイ・ウィズ・ミー」。あいにく3日間とも雨に祟られた2011年のフジ・ロックだったが、土曜の夜を締めくくった約1時間半のステージは、全身から湯気が立つ熱いものだった。
写真:有賀幹夫
<FACESフジロックフェスティバル>@グリーンステージ
2011年7月30日(土)
1.Miss Judy’s Farm
2.Had Me A Real Good Time
3.Silicone Grown
4.Ooh La La
5.Maybe I’m Amazed
6.Flying
7.Debris
8.Plynth
9.Cindy Incidentally
10.Losing You
11.Too Bad
12.I’d Rather Go Blind
13.Pool Hall Richard
encore1
14.Tin Soldier
15.All Or Nothing
encore2
16.Stay With Me
◆BARKS洋楽チャンネル
◆フェイセズ画像
「5回こっきりのワールド・ツアーだ」と語るのは、現在ザ・ローリング・ストーンズの一員でもあるロニー・ウッド(ギター)。これが復活ツアーの最終日となる。
「地震の影響?気にならなかったな。君たちが招いてくれたから、ちょっと顔を出すことにしたのさ」と、バックステージで語っていたロニー。その一言からは、どんな状況下でも観客を思いきり楽しませる、プロのロッカーの心意気が伝わってくる。
ロニーと共にストーンズのツアーに同行したことのあるイアン・マクレガン(キーボード)、ザ・フーのメンバーでもあったケニー・ジョーンズ(ドラムス)というオリジナル・メンバー3人に加え、2010年にシンプリー・レッドでの活動にピリオドを打ったミック・ハックネル(ヴォーカル)、そしてセックス・ピストルズのグレン・マトロック(ベース)という、異論の余地なく豪華なラインアップ。野外フェスティバルを巨大なパブにしてしまうロック・バンドがいるとしたら、その名前は“フェイセズ”に決まっているだろう。
「ジュディズ・ファーム」「リアル・グッド・タイム」「シリコン・グロウン」と往年のフェイセズ・ナンバーを次々と披露していく彼らだが、その演奏は、単に過去を懐かしむのではなく、現在進行形のロック・バンドとして本気で取り組んでいる。ロニーのギターはガッと内臓に食い込み、イアンのホンキー・トンク・ピアノは曲にピッタリとハマったものだ。
また、ミック・ハックネルの歌声も、骨のあるロックなものだ。数々のフェイセズ・クラシックスを見事に歌いこなした彼は、ポール・マッカートニーの「恋することのもどかしさ」やエタ・ジェイムズの「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」でも強烈なインパクトを残したのだった。また、ロニーの息子ジェシーも頼りになる相棒ギタリストとして参加(彼はまた、2010年ロンドンで行なわれたロニーのロンドンでのソロ・ライヴでベースをプレイしている)。まだ若い彼だが、自らのバンド、ブラック・スワン・エフェクトでも活動しており、今後音楽シーンにおいてその名前を目にする機会は増えていくだろう。
新シンガーのミックに負けじと、観衆も声を限りに歌い続ける。「こないだノエル・ギャラガーと会ったら、いかにフェイセズから影響を受けたか、熱く語ってくれたよ」とロニーは笑っていたが、彼らのファンの年齢層は、幅広く奥深い。メイン・ステージであるグリーン・ステージは老いも若きも一体となり、「ウー・ラ・ラ」のサビの合唱が、大自然の中に響きわたった。また、ロニーのソロ・コーナーで奏でられた「ヘイ・モナ」ではボ・ディドリー・ビートの手拍子が入るなど、日本のファンのあまりに“わかっている”反応には、メンバー達も目を丸くして驚いていたほどだ。
それに対する返礼か、バンドはアンコールでサプライズを用意していた。「今日ここに来ることが出来なかったロニー・レイン、そしてスティーヴ・マリオットに捧げる」という前置きをして、フェイセズの前身バンドであるスモール・フェイセズの「ティン・ソルジャー」「オール・オア・ナッシング」をプレイ。若くしてこの世を去った旧友たちを偲ぶ演奏は、大きな歓声をもって迎えられた。
そうして最後のクライマックスは「ステイ・ウィズ・ミー」。あいにく3日間とも雨に祟られた2011年のフジ・ロックだったが、土曜の夜を締めくくった約1時間半のステージは、全身から湯気が立つ熱いものだった。
写真:有賀幹夫
<FACESフジロックフェスティバル>@グリーンステージ
2011年7月30日(土)
1.Miss Judy’s Farm
2.Had Me A Real Good Time
3.Silicone Grown
4.Ooh La La
5.Maybe I’m Amazed
6.Flying
7.Debris
8.Plynth
9.Cindy Incidentally
10.Losing You
11.Too Bad
12.I’d Rather Go Blind
13.Pool Hall Richard
encore1
14.Tin Soldier
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◆BARKS洋楽チャンネル
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