マイケル・モンロー、母国にて日本救援チャリティ公演実施へ
東北地方太平洋沖地震が残した爪痕の甚大さにより、被災地以外の日常にもさまざまな影響が生じている現在の日本。音楽の世界を例にとれば、各公演の開催見送りや3月下旬にリリースが予定されていた各社新譜の発売延期、各音楽誌の発売日変更などが相次いでいる。加えて、誤解を恐れずに言えば、そうした震災被害に関連する話題以外についてはストレートに記事にすることを躊躇わざるを得ないような空気が、インターネットの世界にもいまだに少なからず充満している。が、不謹慎だと責められるのを承知で言えば、被災地の皆さんも含め、誰もが深刻な数値が上昇するだけのニュースや慰めの言葉ばかりを欲しているわけではないはずだし、大好きな音楽にまつわる情報やその作り手たちの言葉が、ある種の励みになる部分というのも絶対にあるに違いない。そう信じて、筆者は本日から平常通り、いや、むしろこれまで以上に積極的に、この場を通じて多様なアーティストたちの声やニュースを届けることに努めていきたいと考えている。そして、自分自身がこうした意図で執筆した記事に対して支払われる原稿料については、後日、まとめて被災地への義援金として寄付にまわしたいと考えている。
◆マイケル・モンロー画像
さて、今回はマイケル・モンローについて書かせていただく。まず最新情報だが、この3月27日、フィンランドはヘルシンキにある伝説的クラブ、タバスティアにて、マイケル自身の呼びかけによってチャリティ・コンサートが開催されることになった。言うまでもなく大震災に見舞われた日本の復興支援を目的とするもので、彼以外にも数多くの現地人気アーティストたちが出演し、公演当日の収益金やマーチャンダイズ売り上げは、フィンランドの赤十字社を通じて被災者たちに届けられることになる。ハノイ・ロックスのデビュー当時からずっとこの国とは浅からぬ縁にあるマイケルは、今回の件について次のように語っている。
「俺たちは今回起こったことについて、とてもショックを受けている。とても恐ろしいことだし、大変なことだ。こういうときにロック・ミュージックにできる最高のことは、こうした状況に対してポジティヴな影響を与えることだと思う」
マイケルはこのライヴを実践するためにフィンランド国内の有力アーティストたちに声をかけて協力を請うのみならず、現地の放送局も巻き込みながら、公演の模様をストリーミング中継する手筈を整えているという。そのバイタリティと行動の早さには、本当に頭が下がる思いがする。この件に関する情報は、マイケルの作品の日本での発売元であるビクターの情報サイトでも逐一更新されることになるはずなので是非チェックしてみて欲しい。
そのマイケル・モンローにとっての新たな出発点となるニュー・アルバムが、ここ日本でも3月16日にリリースされている。『センサリー・オーヴァードライヴ』と題されたこの作品は、ハノイ・ロックスの解散を経た彼にとっての最新ソロ作品ということになるが、その内容を踏まえれば「マイケル・モンローという名前の新バンド」によるデビュー作だと解釈したほうが自然だろう。ハノイ・ロックス時代からの盟友であるサミ・ヤッファ(B)、ザ・ワイルドハーツのジンジャー(G)をはじめ、スティーヴ・コンテ(G)、カール・ロックフィスト(Dr)という参加メンバーたちの顔ぶれは、2010年夏<サマーソニック10>でのハイパーなライヴ・パフォーマンスで日本のオーディエンスを圧倒したときからまったく変わっていない。アルバムに収録されている楽曲群についても、「全員で一緒に作る」ことを基本としながら作られている。しかもソングライターとして定評のあるジンジャーが単身で書き上げた楽曲も提供されており、あくまで直球型の攻撃的ロックンロール作品でありながら、楽曲面の充実ぶりが際立った1枚に仕上がっている。
マイケルの眼球にファスナーが仕掛けられたアートワークも衝撃的だが、『センサリー・オーヴァードライヴ』という表題のクールさもそれにひけをとらない。マイケルはこのタイトルについて、アルバム完成直後に行なわれたオフィシャル・インタビューのなかで次のように語っている。
「このタイトル自体は、実はサミの提案によるものなんだ。正直に言えば、べつにそんなにも深い意味があるわけじゃない。正確な意味は“知覚的な過熱状態”というか……ま、辞書で調べてくれ(笑)。それ以上説明しろと言われても困るな。意味そのものよりも雰囲気が大事なんだ。アートワークも含めて、映画の『時計じかけのオレンジ』っぽいだろ? そういう感じにしたかったんだ」
また、今作での楽曲面の充実について指摘すると、マイケルは「狙いながら幅を広げたというよりも、本当にいい曲だと思えるものだけを集めて、このアルバムに相応しいと思えるものを選んだだけのことだ」と語りつつも、次のように成功要因を分析している。
「曲の作り手がバンド内に複数いて、その組み合わせが変わることによって幅が出る。他の誰かが持ち込んできたものに俺自身も刺激を受けることになるしね。そもそも俺はコラボレーションというものが大好きで、これまでにもいろんな人たちと組んでやってきた人間だ。今のメンバーたちとの共同作業もすごく充実しているよ。俺らしいハードにロックする部分というのは失いたくないけど、それでも自然に幅は広げいきたいし、同時にアルバムを作る以上は一貫性も大事だ。今回は、いい意味での多様性がバランス良くカタチにできたんじゃないかな」
そして、この作品を引っさげての来日公演が早くも6月に決定。しかも今回はハードコア・スーパースターとのカップリングという非常に画期的な形式でのツアーとなる。公演日程は以下の通りだ。
2011年6月1日(水)大阪・なんばHatch
2011年6月2日(木)名古屋・DIAMOND HALL
2011年6月3日(金)東京・新木場STUDIO COAST
ところでこの『センサリー・オーヴァードライヴ』と時期を同じくして、復活後のハノイ・ロックスでマイケルとアンディ・マッコイの脇を固めてきたコニー・ブルームが率いるエレクトリック・ボーイズの再臨第1弾アルバム『アンド・ゼム・ボーイズ・ダン・スワング』もリリースされている。そのコニーの言葉も、ごく近いうちにお届けするつもりなので楽しみにしていて欲しい。そして、ポジティヴなエネルギーに満ちた音楽作品が、皆さんにとっての明日への活力になることを筆者自身も願っている。
増田勇一
◆ビクター・サイト
◆クリエイティブマン・サイト
◆東北地方太平洋沖地震にまつわる音楽・アーティスト関連情報ページ
◆マイケル・モンロー画像
さて、今回はマイケル・モンローについて書かせていただく。まず最新情報だが、この3月27日、フィンランドはヘルシンキにある伝説的クラブ、タバスティアにて、マイケル自身の呼びかけによってチャリティ・コンサートが開催されることになった。言うまでもなく大震災に見舞われた日本の復興支援を目的とするもので、彼以外にも数多くの現地人気アーティストたちが出演し、公演当日の収益金やマーチャンダイズ売り上げは、フィンランドの赤十字社を通じて被災者たちに届けられることになる。ハノイ・ロックスのデビュー当時からずっとこの国とは浅からぬ縁にあるマイケルは、今回の件について次のように語っている。
「俺たちは今回起こったことについて、とてもショックを受けている。とても恐ろしいことだし、大変なことだ。こういうときにロック・ミュージックにできる最高のことは、こうした状況に対してポジティヴな影響を与えることだと思う」
マイケルはこのライヴを実践するためにフィンランド国内の有力アーティストたちに声をかけて協力を請うのみならず、現地の放送局も巻き込みながら、公演の模様をストリーミング中継する手筈を整えているという。そのバイタリティと行動の早さには、本当に頭が下がる思いがする。この件に関する情報は、マイケルの作品の日本での発売元であるビクターの情報サイトでも逐一更新されることになるはずなので是非チェックしてみて欲しい。
そのマイケル・モンローにとっての新たな出発点となるニュー・アルバムが、ここ日本でも3月16日にリリースされている。『センサリー・オーヴァードライヴ』と題されたこの作品は、ハノイ・ロックスの解散を経た彼にとっての最新ソロ作品ということになるが、その内容を踏まえれば「マイケル・モンローという名前の新バンド」によるデビュー作だと解釈したほうが自然だろう。ハノイ・ロックス時代からの盟友であるサミ・ヤッファ(B)、ザ・ワイルドハーツのジンジャー(G)をはじめ、スティーヴ・コンテ(G)、カール・ロックフィスト(Dr)という参加メンバーたちの顔ぶれは、2010年夏<サマーソニック10>でのハイパーなライヴ・パフォーマンスで日本のオーディエンスを圧倒したときからまったく変わっていない。アルバムに収録されている楽曲群についても、「全員で一緒に作る」ことを基本としながら作られている。しかもソングライターとして定評のあるジンジャーが単身で書き上げた楽曲も提供されており、あくまで直球型の攻撃的ロックンロール作品でありながら、楽曲面の充実ぶりが際立った1枚に仕上がっている。
マイケルの眼球にファスナーが仕掛けられたアートワークも衝撃的だが、『センサリー・オーヴァードライヴ』という表題のクールさもそれにひけをとらない。マイケルはこのタイトルについて、アルバム完成直後に行なわれたオフィシャル・インタビューのなかで次のように語っている。
「このタイトル自体は、実はサミの提案によるものなんだ。正直に言えば、べつにそんなにも深い意味があるわけじゃない。正確な意味は“知覚的な過熱状態”というか……ま、辞書で調べてくれ(笑)。それ以上説明しろと言われても困るな。意味そのものよりも雰囲気が大事なんだ。アートワークも含めて、映画の『時計じかけのオレンジ』っぽいだろ? そういう感じにしたかったんだ」
また、今作での楽曲面の充実について指摘すると、マイケルは「狙いながら幅を広げたというよりも、本当にいい曲だと思えるものだけを集めて、このアルバムに相応しいと思えるものを選んだだけのことだ」と語りつつも、次のように成功要因を分析している。
「曲の作り手がバンド内に複数いて、その組み合わせが変わることによって幅が出る。他の誰かが持ち込んできたものに俺自身も刺激を受けることになるしね。そもそも俺はコラボレーションというものが大好きで、これまでにもいろんな人たちと組んでやってきた人間だ。今のメンバーたちとの共同作業もすごく充実しているよ。俺らしいハードにロックする部分というのは失いたくないけど、それでも自然に幅は広げいきたいし、同時にアルバムを作る以上は一貫性も大事だ。今回は、いい意味での多様性がバランス良くカタチにできたんじゃないかな」
そして、この作品を引っさげての来日公演が早くも6月に決定。しかも今回はハードコア・スーパースターとのカップリングという非常に画期的な形式でのツアーとなる。公演日程は以下の通りだ。
2011年6月1日(水)大阪・なんばHatch
2011年6月2日(木)名古屋・DIAMOND HALL
2011年6月3日(金)東京・新木場STUDIO COAST
ところでこの『センサリー・オーヴァードライヴ』と時期を同じくして、復活後のハノイ・ロックスでマイケルとアンディ・マッコイの脇を固めてきたコニー・ブルームが率いるエレクトリック・ボーイズの再臨第1弾アルバム『アンド・ゼム・ボーイズ・ダン・スワング』もリリースされている。そのコニーの言葉も、ごく近いうちにお届けするつもりなので楽しみにしていて欲しい。そして、ポジティヴなエネルギーに満ちた音楽作品が、皆さんにとっての明日への活力になることを筆者自身も願っている。
増田勇一
◆ビクター・サイト
◆クリエイティブマン・サイト
◆東北地方太平洋沖地震にまつわる音楽・アーティスト関連情報ページ
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