【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.117「マイケル・モンロー60歳記念コンサートにHanoi Rocksが一夜限り再集結され出演」
今年6月17日に60歳の誕生日を迎えたマイケル・モンローの60歳記念コンサートが9月23日ヘルシンキのアイスホールで行われました。このコンサートの2週間ほど前に記者会見が行われ、マイケル・モンロー、アンディ・マッコイ、サミ・ヤッファ、ナスティ・スーサイド、ジップ・カジノがそろって登場し、なんとオリジナル・メンバーのHanoi Rocks が出演することが発表になりました!出演することになったいきさつは、ナスティはすでに出演が決まっていて、ジップとは昨年12月スウェーデンでドキュメンタリー映画撮影で会って出演してもらう予定だったところ、アンディからワールドツアー中かもしれないけど時間があったら出演しようか?と話がきて、Hanoi Rocksのオリジナルメンバーがそろうことになる!ってことで決まったとのこと。ほんとは当日のサプライズの予定だったけど、それだと後で知って悔しがるファンがいるんじゃないか?とサミから言われて、そうだなとあらかじめ発表することにしたそうです。その発表の後チケットはあっという間にソールドアウト!加えてマイケルとサミを中心に結成され1994年にアルバム1枚だけリリースしたDemolition 23.の出演も発表になっていました。
80年代前半Hanoi Rocks全盛期、国外バンドのライブなどめったにない地方在住ということもありライブに行く機会はあまりなく、Hanoi Rocksのライブも観たことがありませんでした。90年代初めにフィンランドに移住した当時はネットなどない時代で、フィンランド語もわからなかったため90年代のミュージックシーンはブランク状態でDemolition 23.の存在を知ったのもずいぶん後でした。Hanoi Rocksのリボーン時代は子供が小さく、フィンランドでも地方在住で気軽に遠出をしてライブに行くことができず、今回初めてHanoi Rocksを見る機会がやってきました!正直なところ今になってまさかこんな日がやってくるとは思ってもいませんでした。
ソールドアウトのヘルシンキアイスホール、開演時間になるとマイケルのソロのライブでおなじみのイントロが聴こえてきて、始まる!とどきどきわくわく!最初に登場したのはDemolition 23.!マイケル、サミ、ナスティと今回ドラマーはマイケルのソロのドラマー、カール・ロックフィストが担当。マイケルのソロライブでもおなじみな曲「Nothin's Alright」でこの60歳記念コンサートがスタート!彼らは全5曲演奏で、なんといってもギターをナスティで観て聴けたのは貴重!
次に移る前には「Hammersmith Palais」が流れ、ステージのスクリーンに若かりし頃からのマイケルの画像や映像が次々に映し出され、ロックスターとして築いてきた彼の長いキャリアを感じこのシーンだけでも感動してしまいました!
衣装替えしたマイケルと彼のソロバンド、加えてマイケルの最新アルバムでピアノを弾いているピアニスト、レンニ・カッレ・タイパレがキーボードで登場!ソロのファーストアルバム『Nights Are So Long』のオープニングトラック「She's No Angel」でマイケル・ソロのパート1がスタート!ソロの初期の頃の選曲でファーストとセカンドアルバム『Not Fakin' It』から6曲を披露!
次にバンドメンバーが入れ替わりリボーン時代のHanoi Rocksのギタリスト コステロ・ハウタマキ、ベーシスト ティンパ・ライネ、ドラマー ラク・ラハティネンが登場!そこへキャリアの長いフィンランド人ギタリスト兼シンガー ダヴェ・リンドホルムが紹介され、マイケルのソロアルバム『Whatcha Want』収録曲でダヴェ・リンドホルムのフィンランド語の曲「Puhelinlasku on mun」の英語カヴァーヴァージョン「Telephone Bill's All Mine」を披露!
この後サプライズが!ダヴェがステージを去ったもののコステロ、ティンパ、ラクはそのままステージに残りました。するとマイケルが「母親違いの兄弟」とアンディ・マッコイを紹介するとアンディがステージに登場したではないですか。
オリジナルメンバーのHanoi Rocksの出演は発表になってたけど、あれ?え?え??リボーン時代のメンバーがそろったことになるではありませんか!
マイケルソロ最初の2曲の後、私たちカメラマンは休憩場所としてアイスホッケーでペナルティを受けた選手が引っ込む横のペナルティベンチに案内されたので、しばらくそこで座ってみていたものの、無理無理!こんなん座ってなんかいられない!思わず立ってフロアに移動!このメンバーのリボーン時代リリースされた『Twelve Shots on the Rocks』のアルバムジャケットがスクリーンに映し出され、このアルバムから3曲を披露。まさかのリボーン時代のHanoi Rocksも観れることになるとは!「A Day Late a Dollar Short」は当時MVが流れるTVの音楽チャンネルでヘビロテされていたのをなつかしく思い出しました。
この後30分の休憩が入りました。
休憩の後はまずマイケルがアコギをもって一人で登場するとDemolition 23.の「Deadtime Stories」をアコースティックでしっとりと歌い上げ、その後レンニ・カッレ・タイパレのキーボードが加わりHanoi Rocksの「Fallen Star」に。後で聞いた話によるとこの曲をライブで披露するのは初めてだったそうです。その後キーボードソロで始まったなじみあるイントロはフィンランドの人気女性シンガー イェンニ・ヴァルティアイネンの大ヒット曲「Missä Muruseni On」!妻のヨハンナに捧げると歌い始め、数小節歌ったとこで、シルバーのドレスを着たイェンニが登場し2人でデュエット。この曲10年前に彼の50歳記念コンサートがマイケルの現在の地元トゥルクで開催されたRuisrockフェスで行われた時にも2人でデュエットしていますが、マイケルがフィンランド語の歌詞の曲を歌うのは珍しく印象に残ったデュエットでした。
コンサート後半、最初の3曲がアコースティックセットだったのと対照的にそのあとはいつものロックンロールなステージに!サミ、スティーヴ、カールがステージに再び登場。加えてまずはジンジャー・ワイルドハートが登場!このメンバーでリリースした『Sensory Overdrive』の中から3曲を披露。ジンジャーがステージを降りると今度はBackyard Babiesでも知られるドレゲンが登場!そのメンバーでリリースした『Horns and Halos』から3曲披露。ドレゲンが降りると現在のギタリスト リッチ・ジョーンズが登場し、この日誕生日だったギタリストのスティーヴ・コンテにみんなでハッピーバースディを歌って祝福!
最新の3枚のアルバムからそれぞれ1曲披露!そのあとはジンジャーとドレゲンがステージに戻り、めちゃくちゃ盛り上がる「Dead, Jail or Rock 'n' Roll」でマイケルのソロパートが終了。
最後はいよいよオリジナルメンバーHanoi Rocksの出演。しばらくして聴こえてきたバンド登場前のイントロ、何の曲かわからなかったけどカール・オルフの「O Fortuna」(おお、運命の女神よ)という曲だったようで、この曲がいよいよ始まる!ってクライマックスのドキドキ感をさらに高めてくれた感じがしました。そしてほんとにHanoi Rocksのオリジナルメンバーのマイケル・モンロー、アンディ・マッコイ、サミ・ヤッファ、ナスティ・スーサイド、ジップ・カジノの5人が次々ステージに登場!Hanoi Rocksのファーストアルバム『Bangkok Shocks, Saigon Shakes, Hanoi Rocks』のオープニングトラック「Tragedy」でスタート!「Million Miles Away」のときNastyのギターのプラグが接続されてなくて、イントロがNastyのギターなしになったことを後でマイケルが語っていましたが、そういうハプニングがあるのも生ライブの面白いとこかと思います。全盛期のライブを観たことなかったので昔と比べることはできないけど、普段マイケルのソロやアンディのソロライブで別々にきいていたHanoi Rocksの曲を、2人一緒にステージにたって演奏したのを観れたときは、まさかこんな日がやってくるなんてと感動がこみ上げてきました。
このメンバーで最後に一緒にステージに立ってから40年ぶりってことで、当時のこと、そのあと過ぎていった年月、メンバーにとっても昔からのファンにとっても感慨深い感情が込みあがってきたのではないかと思います。歓声に包まれ8曲を演奏した後ステージを去ったメンバーですが、アンコールに答えて再度登場!マイケルが今回オリジナルメンバーが出演となったいきさつを語ったあと、記念撮影!
最後はその日の出演者たちが全員ステージに登場して「Up Around the Bend」で会場はパーティ気分に包まれ、最高に楽しく盛り上がって終わりました。最後の最後に赤いバラの花を胸に抱え、観客にお辞儀しながらキャットウォークステージの先に歩き出てきたマイケルは涙ぐんでました。次は10年後に!っていっていたので、どうか今後も元気に末長く活動ができますように!
途中の30分の休憩を入れて3時間半だったので、ライブそのものは3時間。マイケルは最初っから最後まで出ていたことになり、この日全37曲歌ったことになります。普段のライブでもそうですが、彼はアコースティックギター、サクソフォンやハーモニカを吹いたり、今回はタンバリンも演奏するなど、後半最初のアコースティック3曲以外はいつものように飛び跳ね元気いっぱいのステージで、とても60歳とは思えません。Hanoi Rocksは再結成ではなく、この日一夜限りの出演ということで、コンサートあとのインタビューでも再結成してツアーする予定はないと語っていましたが、アンディのことを母親の違う兄弟と紹介したり、途中アンディのスピーチがもごもごして聴きずらかったら俺が通訳するよ!ってアンディとの仲もよくなったのかな?という期待を持たせてくれたので、将来またなにかサプライズがあることを祈っておきましょう!この日その場にいられたことはラッキーで、忘れられない一夜となりました!
この日のセットリスト、日本から観に来てた方がゲットされたということで、写真を提供してもらえました。シマあつこ先生のマイケルの似顔絵のスタンプまで押されてあって素敵ですね。
この60歳記念コンサートを1分にまとめたオフィシャル映像が公開になっています。
このコンサートの一部は来年初めごろ公開予定のマイケルのオフィシャルドキュメンタリー映画に収められる予定だそうです。この日会場で売られていてソールドアウトになった60歳記念コンサートのTシャツなどは後日オンラインショップで購入可能だそうですよ。10年後、どうかまた元気なライブが観れますように!
文&ライブ写真:Hiromi Usenius
セットリスト写真:ken_howdoyoufeel2011
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