MELL、徹底的に音にこだわりぬいた躊躇なき1stソロアルバム『MELLSCOPE』特集

元々私って中途半端なものが嫌いなんですね。やるなら極端な方がいいと思っていて。

――待望の1stアルバム、遂に完成しましたね！

MELL：はい！　もう本当に、感激しています。I'veでデビューをしてから今日に至るまでに、私は10年という月日を要したわけなんですね。“ソロアルバムを出す”という夢を抱いてからだったら、もっともっと長い月日が流れています。一番幸せだと思うのは、このアルバムを生み出した自分の気持ちが、いま本当に晴れやかで幸せであるということですね。聴く人によっては好き嫌いもあるアルバムだとは思うんですよ。でも、私の中では一字一句、一音一声、魂を込めて表現したので、1stとしては本当に愛しいアルバムになりました。

――確かにこの『MELLSCOPE』は、ものすごく強いメッセージ性と、言葉の情報量が詰まった作品です。ある意味では、とても重い作品だなと感じました。

MELL：重いですよねー（笑）。これ、毎日聴くのははきついんじゃないかな（笑）？

――でも、ただ単に耳触りが良い音楽からは生まれない、本当に強烈なフックと中毒性がこのアルバムにはあります。

MELL：ありがとうございます。今回やっぱり考えたのは、ファンの方と一緒に歩んだ10年間だという部分なんですよ。要するに、ファンのみなさんも一緒に歳を取っているということですよね。その思いをすべて、「The first finale in me」の歌詞の中に盛り込んでいるのですが、古いファンの人は、変化してきたI'veをずっと見てきているわけですよね。「美しく生きたい」で私がデビューしたことを知っているファンは、まさか「Red fraction」みたいな曲を歌うことになるなんて、当時は思わないじゃないですか？

――「FLY TO THE TOP」とか、当時は確かに清純派っぽい曲が多かったですからね。

MELL：改めて思いますけど、「Red fraction」というのが、大きな過失みたいな転機（笑）？あれ以来、私の作品に関わってくれるスタッフの意識が“MELLさんだったら好きなことやっちゃうか！”という気持ちに変化したのかな？と。でもそれは嬉しい事で、私も元々、中途半端な感じより、やるなら極端なぐらいで丁度いいと思うタイプなのでこのスタンスは維持したいです。今回もより自分に対して作為的にならずに、“はい！　どうぞ見て下さい！”という気持ちで取り組みました。

――その結果、メッセージ性が強く打ち出されたというのは面白いですね。今回I'veのデビュー曲にあたる「美しく生きたい」をセルフカバーされたのも、今のMELLさんを提示するという、ファンへのメッセージを感じたのですが。

MELL：そうですね。今回マイナーコードにして、かなりキーを落として歌っているんですよ。大人になった「美しく生きたい」です。私が美しく生きてきたかはわからないけど、切なさというか、痛みを抱えた暗さは入れたかったんですよね。自分の思いだけで頑張るという若さから、人の痛みも抱えたよ、そうしたら自分の痛みも軽くなったよ、って。それが私の10年、「美しく生きたい」の10年ですよね。

――興味深いお話です。このアルバム・タイトル、『MELLSCOPE』の由来についてもお聞きしたいのですが。

MELL：これはですね、プロデューサーの高瀬（一矢）さんに相談して決めようと思って、電話したんです。そうしたら“『MELL』というのが付くタイトルにしたい。なんか無い？”って言うんですよ。“MELLがついて有名な、誰も忘れないような言葉ないかなー、メル・ギブソンとか”って。

――（笑）。

MELL：私には「めるめるめ～るめ」とかしか思い浮かばなくて。これは一度聴いたら忘れないよね？　とか言っていて。

――忘れないです、確かに（笑）。

MELL：電話しながらノートにドンドン書いていったのですが、その中に『MELLSCOPE』という言葉が出てきたんです。これは、高瀬さんから出た言葉です。“SCOPE”というのはカレイドスコープとかテレスコープみたいに、展望とか覗くという意味がありますよね。“SCOPE”だけだと領域、範囲、範疇という意味があって、これにMELLを併せたら、“MELLの目から見えた領域”や“MELLが捉えた物事の本質を見透かす”という意味合いも盛り込めていいんじゃないかな？って。簡潔だし、言葉の響きも良いので、満場一致で決まりましたね。

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