ニックやハウィーのソロ活動で来日も行ない、ハウィーはBoAとのコラボレーションで<a-nation '03>にも出演するなど、各メンバーの活躍こそ伝わるものの、グループとしては実質活動休止状態であった、バックストリート・ボーイズ。
A.J.のアルコール依存症と鬱病、バックストリート・ボーイズとはかなり音楽性が異なっていたニックのソロ活動、そして新作の発売延期などが重なり、一時は解散の噂すら流れていた。バックストリート・ボーイズの後発であるインシンクでさえ、ジャスティン・ティンバーレイクのソロでの活躍が中心でグループは休止状態。そう、彼らが第一線から身を引いていたここ2、3年の音楽シーンはボーイズ・グループが盛り上がっているとは言い難い状況だった。
目まぐるしく変わるシーンの中で、今現在のバックストリート・ボーイズがどれ程の存在感を示してくれるのか? 期待と不安の入り混じった気持ちで、今回の来日公演を見守っていた人は多いに違いない。しかし、フタを開ければ代々木第一体育館は5DAYSがソールド・アウトと圧倒的な人気を見せつけた。
満員となった代々木第一体育館には、デビュー時からをリアルタイムで見ていた20代後半から30代のファンだけでなく、女子中高生といった最近彼らを知ったであろう若いファンの姿も目立った。また、娘の持っていたCDやDVDで彼らを知り、いつしかファンになってしまった母親というパターンで、親子連れのファンが多かったのも特徴と言えるだろう。
そんな感じで女性を中心にしつつも、“彼氏”や“夫”“父”という立場で来ているのか、男性ファンの姿も決して少なくはない。やはり、あれだけのセールス数は同性の支持もなければ出ないに違いない。彼らが、ここ日本でも幅広い年代、ファン層に支持されていることが分かる。
そして、開演時刻をほんのちょっと過ぎたころ、客電が落ちると、彼らのキャリアを振り返るビデオ上映が始まりいよいよコンサートがスタート。この時点ではメンバーはまだステージに上がっていなかったが、メンバーがスクリーンにアップになるだけで大歓声が上がる。そして、ビデオ上映でオーディエンスの興奮がピークに達したところで、いよいよメンバーがステージに登場。会場全体から響き渡るような歓声の中、A.J.のメイン・ヴォーカルで「THE CALL」を歌い始める。膝の調子が芳しくなく、バックステージでは足を引きずるように歩いていた彼だが、ステージではそんな様子は微塵も見せない。キビキビとしたダンス、情感あるヴォーカルで魅せてくれる。
歌い終えたところで、ハウィーが「コンニチハ、ゴキゲンイカガ、ジャパン」と挨拶すると満員の代々木第一体育館は大歓声で迎えた。前半の山場はなんといっても「SHAPE OF MY HEART」。会場全体での大合唱となった。この後、再びビデオが流れ(冒頭のビデオよりはやや年代が下っている)、「THE ONE」と続ける。さらに、「I WANT IT THAT WAY」ではサビの<Tell me why~♪>をマイクをオーディエンスに向けての大合唱となった。新曲も交えつつ、ステージはメンバー、オーディエンスともにエキサイトしたまま進行し、アンコールのラストは今の彼らにまさにドンピシャな曲、「BACKSTREET'S BACK」で締めくくる。活動再開の喜びという感情をそのままダンスとヴォーカルにぶつけるステージの素晴らしさもさることながら、ビートに合わせて色とりどりのサイリウムがスタンド全体できらめく様子はまるで星空のようで、圧巻のラストだった。
BACKSTREET BOYS 2004/9/30@代々木第一体育館 SET LIST
01. THE CALL 02. MY BEAUTIFUL WOMAN 03. MORE THAN THAT 04. CLIMBING THE WALLS 05. SHAPE OF MY HEART 06. THE ONE 07. I WANT IT THAT WAY 08. SHOW ME THE MEANING 09. SHOUT 10. LARGER THAN LIFE 11. ALL I HAVE TO GIVE 12. AS LONG AS YOU LOVE ME 13. I'LL NEVER BREAK YOUR HEART 14. POSTER GIRL 15. QUIT PLAYING GAMES 【Encore】 16. DROWNING 17. BACKSTREET'S BACK |
実質的なライヴ時間は1時間ちょっとと、待ちに待った熱烈なファンには物足りなかったかもしれない。しかし、その分ヒット曲、人気曲を中心にタイトにまとめられており、全体の組み立て、バランスは悪くなかった。何より、彼らのコーラスワーク、ヴォーカル、ダンスのレベルの高さは、日本でいう“アイドル・グループ”の水準を軽く超えたもので、時間の短さ、ステージ演出の地味さを補って余りあるものであった。
3曲披露された新曲も、最新のサウンドをいち早く取り入れながらもバックストリート・ボーイズらしさを失っておらず、来年発売の新作アルバムにも期待が持てそうなステージだった。
取材・文●編集部 ■関連記事 Backstreet's Back! 来日会見レポート!&会見映像はこちら
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