| ──まずはこのタイミングで2つのタイアップがついて、シングルがリカットされるという率直な感想は?
笹川美和:どうしてなぜに今? というのはありましたね(笑)。2曲続けて突然だったのでちょっと驚きました。
──発売からちょっと経ってしまいましたが、アルバム『事実』を作り終えた手ごたえはどのように感じていますか?
笹川:仕事の面でもそうだし、私生活の面でもいろいろ区切りとなる一枚だったんですよ。メジャー・デビューもそうだし、学校を卒業したこともそうだし、ちょうど(恋愛の面でも)アルバムの出るころにすっぱり私の中で終わったものがあったりして。
──1月に横浜・赤レンガで行なった初ワンマン・ライヴでの手ごたえは?
笹川:ライヴは“大嫌い”といってもいいぐらい苦手だったんですけど、初めて楽しいと思えたライヴでした。人前で歌うの好きじゃないんですよ。けっこう自分をさらけ出した曲を書いてるので、さらにそれを人前で見せるのが恥ずかしくて。でも今回はファンの皆さんも暖かかったし、バンドも増えたりして、楽しかったですね。
──現在も出身地の新潟在住ということで、音楽活動には不便なところもあると思いますが、あえて新潟に住む理由とは?
笹川:すごい田舎に住んでるので都会に慣れられないってのもあるし、あとは東京に住んじゃうと仕事とプライベートが分けにくい。今は東京にいるときは仕事、新潟にいるときはプライベートって、明確に分けられるんですよ。あとは家族と別れたくないってのもありますね。
──実家で創作活動もされているわけですが、普段はどんな生活をされてるんですか?
笹川:すごく出不精なんで、ほとんど家にいますね。起きて、ご飯食べて、ピアノ弾いたり、テレビ見たりして、夕飯食べてお風呂入って寝る、みたいな。テレビはWOWOWと『ジャスト』(お昼のワイドショー)とかよく見ますね。『チアーズ』とか『キューティ・ブロンド』が海外のティーンエイジものと、あとは日本映画が好きなんですよ。『写楽』とか。あとは本も読みますね。推理ものが好きなんですけど、読み始めると止まらなくなるんで、作曲期間中は読まないようにします。最近ハマったのは『魔女の血をひく娘』っていう、魔女狩りに遭った人の日記をもとにした小説なんですけど、すごい怖いですよ。
──映画をたくさん見たり、本をたくさん読まれたりしているということですが、そうしたものからインスピレーションを受けて自分の作品に反映されるということはありますか?
笹川:曲は自分自身の経験を基にしているのでそういうことはないんですけど、芥川龍之介とか夏目漱石とか、そういった昔の人の作品から、漢字や言葉の雰囲気をヒントにして、曲名を付けたりというのはありますね。
──新潟出身で新潟在住ということが、笹川美和の音楽性に影響を与えていると思いますか?
笹川:新潟じゃないと絶対書けないってわけじゃないんですけど、自然に囲まれて、地元にいるからやれてるって部分はあると思いますね。
──そうした環境に囲まれていることで、たとえば笹川さんの曲はスローからミディアムの曲が多いですけど、そうした点にも影響してるんでしょうか?
笹川:そうかもしれないですね。私はピアノで作曲してるんで、もともとアップ・テンポな曲に向かないって面もあるんですけど。あとは自分の中で癖というか、スローからちょっと速いぐらいの曲が多いんですよね。
──普段はどんな音楽を聴くのですか?
笹川:音楽自体あまり聴かないんですけど、弟が買ってきたのをよく聴きますね。弟は2人いるんですけど、けっこう好みが両極端で。下の弟はケツメイシさんとかRIP SLYMEさん、ORANGE RANGEさんとか。上の弟は洋楽が好きで、R&Bをよく聴いてますね。
──デビューのきっかけがモスバーガーのクリスマス・ソング・コンテストということですが、そもそもこのコンテストに応募しようと思ったきっかけは?
笹川:母と一緒にモスバーガーに行ったんですよ。そのときに母が募集を見つけて。夏休みだったんですけど私が出不精なんで、“暇そうだから作ってみれば?”なんて冗談ぽく。賞金30万円にも惹かれたんですけど(笑)、まさか受賞すると思ってなかったのでかなり軽い気持ちで応募しました。
──ヴォーカリストとしての自分はどう思います? 声とかかなり独特だと思うのですが。
笹川:あんまり好きじゃない。かわいくないですよね。野太いというか。もう慣れましたけどね。歌に関してはやっぱり自分でも独特だと思ってて、コブシが入ってるとかよく言われるんですよ。自分では入れているつもりはないんですけど。あとは、“沖縄出身ですか”なんて聞かれたこともあります。“こうやって歌おう”とか意識してることはとくにないですよ。ヴォイトレも受けたことないし。
──今後の目標はありますか?
笹川:一歩成長した曲を書くことですね。前と同じじゃないものを。
取材・文●編集部 |
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