| ロッカフェラ・ファミリー(※注1)と、プロディジー(モブ・ディープ)を中心としたクイーンズ・ブリッジ周辺の連中(※注2)との間でのビーフが、そもそもの発端。(ファンクマスター・フレックスの番組でロッカフェラ・クルーがクイーンズ勢をディスったのが先か…?!?!)
そこへロッカフェラのトップであるジェイZが顔を突っ込んでから、バトルが本格的になってきた。ロッカフェラ勢を”オカマ野郎”とコケにしたプロディジーの昔の写真を、ジェイZがライヴ中にステージの巨大スクリーンに映し出し、笑いものにするっつー意地の悪い攻撃をかましたのだ。
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【 1 ROUND 】
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| ▲コロムビアからリリースされたNASの新作『STILLMATIC』アナログ盤。CDでは11月の後半、ソニーより発売予定。 |
ジェイZが放った今年の夏アンセム「IZZO(H.O.V.A.)」(※注3)。それに対してクイーンズ・ブリッジから、地区を代表するMC、ナスが遂に参戦。エリックBアンド・ラキムのクラシック「Paid In Full(Cold Cut Remix)」のトラック上でラップする、その名も「Stillmatic」(a.k.a. 「H.O.M.O.」)でジェイZのことを”シスコ(SISQO)のラップ版”と一笑し、さらに「フ・シュニッケンズ(※注4)のようにラップしてた野郎、オレがお前のブループリントをデザインしてやる」とコケに。そしてフックでは「Izzo(H.O.V.A.)」のフレーズをパロって「H-to-the-izz-O、M-to-the-izz-O?」(ホモじゃねーの?)とやり込めて、ロッカフェラ勢までもディスしまくり。
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【 2 ROUND 】
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| ▲こちらはJAY-Z最新作『The Blueprint』。ビルボード3週連続1位獲得!!! |
それに怒ったジェイZは先頃リリースされたアルバム『The Blueprint』の収録曲「Takeover」の中で、"エスカバー(ナスのファミリー・ネーム)家のクズ"とこれまた徹底抗戦の構えで、ナスのキャリアをバカにしまくったリリックを披露。『The BluePrint』がビルボードで3週連続一位を獲得したこともあって、風向きは少しずつジェイZの方へ傾きつつあった。
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【 3 ROUND 】
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そこへ再びプロディジーが登場。ドゥーワップ(※注5)のミックス・テープに収録されているフリースタイルでジェイZへ向けてまたもやディス。2001年、年末リリース予定のモブ・ディープのアルバムでも何曲かロッカフェラへの攻撃を準備しているとか。ナスも新曲「Salute Me」で再び反撃を開始する。
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【 4 ROUND 】
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クイーンズ・ブリッジ勢へ向け、KRSワンと組んで、クイーンズ VSブロンクス時代(※注6)のクラシック、ブギ・ダウン・プロダクション(B.D.P.)の曲「The Bridge Is Over」のリメイクをやる、という噂もあったジェイZ。どうやらこれは噂で終わりそうだが、KRSワン以上に強い味方がジェイZサイドに付く。
それはあのマイケル・ジャクソン!
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| ▲マイケル10年ぶりのアルバム」『INVINCIBLE』。こちらの先行シングルにJAY-Zリミックスが収録。 |
イベント<HOT 97 Summer Jam>でジェイZのステージへマイケルが登場。また、マイケルが10年ぶりにリリースしたオリジナル・アルバム『INVINCIBLE』の先行カット・シングル「You Rock My World」のリミックスにジェイZが参加、と急接近のふたり。なんとジェイZは次のアルバム用の新曲(※注7)で、マイケルがフューチャリングした曲(!)を準備していることを示唆。
「オマエはマイケルをサンプリングしてたけど、オレの曲にはマイケル本人が参加するぜ!」(※注8)
と、トドメの一撃を喰らわしたとか…。
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【 FINAL ROUND ??】
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N.Y.同時多発テロにより、"KING OF NEW YORK"であるヒップホップ界を代表する2人、ナスとジェイZも歩み寄るかと思いきや、全くその様子はなし。バトルの終焉もいつになるか解らないけれど、この手のバトルには眉唾モンが多いってのも事実。
アルバムを出したばかりのジェイZと、年末にアルバム・リリースを控えてるナス(&モブ・ディープ)の、壮大なプロモーション・バトルと見る向きもある。
以前、ジェイZは1stアルバム『Reasonable Doubt』の収録曲「Dead President」の中で、ナスの曲「Represent」の声を使用し、また「Ain’t No Nigga」では後にナスのクルー、ファームのメンバーとなるブルックリンをリプレゼントしたフォクシー・ブラウンと共演したこともある(※注9)。
また「Stillmatic」でロッカフェラ・クルーとともに攻撃されたコーメガ(※注10)は、「Realmatic」なるアンサーを準備しているようだが、先日リリースされた彼のアルバム『THE REALNESS』にはモブ・ディープが参加していたりもする。
ある意味、ヒップホップもエンターテインメントのひとつ。プロレスみたくショウアップすることでシーンを盛り上げ、そこからまた名曲が生まれてくれれば、今回のバトルも前述のクイーンズVSブロンクスのように伝説の名勝負となるだろう。しかし、かつての東西関係のようなバトル(※注11)になるのだけは避けて欲しいと願う。
文●升本 徹
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