Anchangからコメント映像 | ▲ 「ヘヴィメタル・サウンドと 『こち亀』両さんをイメージして書いた 歌詞なのダス(笑)」 上記画像を | | ――8月の武道館でのSEX MACHINEGUNS(以下、マシンガンズ)のサヨナラライヴ、すごかったですね。 Anchang:あれはお客さんがすごかったですね。僕としては気持ちよく、逆に楽ができたっていうカンジです。僕ら自身は特別意識してなくて特別なことはしてないのに、ファンがラストだからっていうことで盛り上がってくれたし、普段は来ない人も最後だからということで来てくれたり。マシンガンズのスタイル的には、どこででも限界までやるから同じなんですけどね。それ以上を要求されてもできないし、それ以下のことは絶対にやらないし。解散コンサートだから特別なことをやるってわけではなかったです。 ――第三期でマシンガンズが一区切りついたということで、ちょっと過去を振り返ってほしいのですが、'98年にデビューしてからの5年間はどうでしたか? Anchang:時代の流れに乗ってるとも思ってなかったし、ラッキーだなって思いながらやってました。こんなハードな音でオリコンにチャートインしたら笑えるよな、っていうのが僕らのテーマだったんですよ。もちろんメジャーレーベルの中にいるからある程度は順位なんかを気にしないわけでもないけど、その中でどれだけのことができるのかっていうのが大きかったですね。気がついたら5年も経っていて、その間にラジオやテレビにも出られて、自分自身「へぇー」って思うっていうのが正直なところですね。 ――音に関しての迷いはなかったんですか? Anchang:なかったですね。それは曲を作る上で「狙って作らない」っていう僕らが大事にしていた部分なんです。作るだけ作って、使えるものを判断してもらうっていう方式です。そういう意味では健康的な作り方ですね。もうちょっとこうした方が聴きやすいとか、ラジオのためにはもうちょっと短くとかは、会社に言われたんじゃなくて僕らの方が逆に気を使ってやってました(笑)。ま、多少は言われたけど無視してました。 ――第三期で区切りをつけた理由は? Anchang:大きい理由があるとしたら、皆がマシンガンズ以外のことができないっていうことなんです。ソロ活動のためにバンドを止めることもできないし、休みたいと思っても休むこともできない。だから“健康的な意味”でフラストレーションがそれぞれのメンバーの中に溜まってきてたんじゃないかな。みんな真面目なんで、すごくセックスマシンガンズ・スタイルを守ってくれるんですよ。だから「オレは違うよ」とは言わない。だからといって、他のこともやってみたいという気持ちが出てこないわけじゃない。でも、全員がソロでやるということは会社的にはできない。ということで、「じゃ、それぞれでやってみればいいじゃん」てなったということなんです。この部分ではセックスマシンガンズに執着する必要はないと思いました。これは逆に言うと「お前は一生セックスマシンガンズでいろ」と言うのと同じじゃないですか。それは僕にはできない。 ――発展的に解消したわけですね。 Anchang:元々は、僕もそうなんですが、自分でバンドを作りたいなんてことを言う連中ではなかったんです。だから、逆に言うと僕としては嬉しいんです。「そういうことを言うようになったんだ。すごいな」って。何も知識がないのにやりたいって言うのはワガママだと思うんです。でもそれなりのものを身につけた後だから、むしろやるべきだと。今を逃したら、ずっとマシンガンズとして段々萎んでいくのを待つだけですから。 ――今回のシングル「語れ!涙!」は単数形のセックスマシンガン名義ですが、やはりこの名前を残していこうという考えですか? Anchang:最初に(「こち亀」のテーマ曲にという)話がマシンガンズに来てたので、これはマシンガンズっぽく作りたいなと思って、セックスマシンガンズが演奏していると言ってもいいようなイメージで作りました。ex.SEXMACHINEGUNS-Anchangっていうのも煩わしいから、“S”を取っておけば単独だっていうのがわかりやすいかなと。ちょっと安易ですかね。 ――「セックスマシンガンズってのはオレのことなんだよ!」っていうメッセージかと。 Anchang:(笑)そんなにカッコいいことじゃないんですよ。 ――メンバーとは違うミュージシャンとの共演だったわけですが、レコーディングはどうだったんですか。 Anchang:THE ALFEEのサポートをやっている長谷川さんにドラムを叩いてもらったんですが、すごかったですね。感動するくらい上手くてびっくりしました。豪快に見えてものすごく正確なんですよ。2テイクくらいで終わりました。ビビりましたね。そこに僕のギターを入れると変なノリが出ちゃってせっかくの正確なドラムが台無しで、僕だけ何回も録り直しました。僕はバンドでしかやったことがないから、メンバーの癖に合わせて作っちゃうわけです。今回、スタジオミュージシャンの極めて忠実なリズムに合わせてみて「オレって下手なんだ。バンドで誤魔化してたんだな」って痛いほどわかりました。楽しかったんですがヘコみました。アレンジャーについてもらったことも含めて初めての体験でした。 ――カップリング曲「渚のポリスマン」のリズムやカッティングは今までのAnchangにはないプレイですね。 Anchang:僕はむしろそういうのもやってみたかったんです。シェリル・クロウのCDを持って行って「これみたいにやりたい」って言ったんですが、これがすごい苦労したんです。甘かったですね、本当に痛い目に会いました。ナメてました。ヘヴィメタルばっかりやってると“ジャーン”とか”ジャカジャカジャカ”っていうのはオレにまかせろっていうくらい自信あるんですが、簡単そうなコードとかが案外弾けないんですよ。まずコードがうまく押さえられない。アレンジャーの人に、音が当たるからコードの押さえ方を変えるように言われても「どれどれ?」ってカンジで。僕はヘヴィメタルに7thはいらねえやって言ってたタイプなんで。 ――ニューアルバムの進み具合はどうですか? Anchang:このシングルとは全然違う方向です。アメリカンチャートに入るようなロックです。ヒップホップはないんですけどね。僕、実はグランジとかオルタナが大好きなんですよ。ものすごいヘヴィメタル・マニアだと思われてますけど、'80~'90年代以降のヘヴィメタルって全然わからないんですよ。だから今度のアルバムはギターソロのない曲とかもあります。そして今風のサウンドにしてみたいんで音の編集にPro-toolsも初めて使いました。 ――それは楽しい作業なんですか? Anchang:楽しいですね。今まではバンドだから、僕的にはやってはいけないことだったんです。ズレててもいいから生っぽいのを目指してたんですけど、今回はせっかくのソロ作品なんで、こういうのをやらなきゃと思って。好きなんですよ、リンプ・ビズキットとかリンキンパークとか。そういうのやってみたくって。僕、家で作曲ソフトなどで曲を作る時もスクラッチとかギンギンに入れるんですよ。「楽しいなコレ」とか言って。データだけスタジオに持って行って、エンジニアの人に「豪華な音に代えてくださいって(笑)。 ――家にいる時って、シーケンサーとかで曲を作っている時間とギターを弾いている時間ではどちらが長いんですか? Anchang:どっちもゼロに等しいですね(笑)。どちらかというとシーケンサーに打ち込んでいる時間の方が長いかな。必要に駆られないとやらないんで、ギターの弦なんか錆びまくってますよ。弾かないから弦が錆びて、錆びてるから触りたくないっていう。だから僕ギターがヘタなんですよ。25歳くらいから全く弾かなくなりました。PANTHERはご飯を食べる時でもギターを放さないっていうタイプ。PANTHERがマシンガンズに入った時「コイツが弾いてくれるからいいや」って思いましたもん。だから僕は間違っても気にしないヒューマンなギター、PANTHERはシーケンシャルな正確なギターって分けてました。でもレコーディングの時期になると、さすがにヤバイと思ってこっそり練習するんですけどね(笑)。 ――ズバリ一番のセールスポイントは? Anchang:“こんな曲も作れるんだ”ってところですかね。正直なところではサウンドですね。マシンガンズは'80年代サウンド、ソロアルバムは今時の若い人にも良い音で聴けるんじゃないかな。'80年代派のアナログ好きな人にはちょっと違うかもしれない。とにかく、すごい音してますよ。ライヴでできねえよってカンジです(笑)。 ――ライヴはどのような形態で? Anchang:Anchang & ○○じゃなくて、ちゃんとしたバンドを作りたいんですよ。レコードとライヴは別モノだと思ってるんで、バンドで消化してライヴをやりたいですね。それでザ★メンテナンスというバンドを作ってあるんです。メンバーはシャケ親方(G)、トランポひろちゃん(Dr)、サーモンなおちゃん(B)、そして僕トラウトあんちゃんです。コスチュームは全員ツナギ。メンテナンスだから。スリップノットみたいなもんですね。このバンドで12月中には軽くツアーをやる予定です。ただし、これは第四期セックスマシンガンズとは別のものですからね。マシンガンズは'04年中にはやりたいと思っています。 取材・文●森本 智 | |