「Believe me」 Warner Music Japan/ORGANON 2003年09月25日発売 WPCL-10035 1,260(tax in) 1 Believe Me 2 Can't You See? 3 What A Fool Believe 4 Believe Me(less vocal) | ※全ての画像と文章の無断転用を禁止します。 | ――かなりアメフトとかに夢中だったのに歌うきっかけはなんだったんですか? 山本: 高校のときアメフトですごい大怪我してやれなかったとき、バンドのヴォーカルに誘われて歌うことになって。そのときに、レコード会社の人とかがたまたま来ててスカウトされたりしたんですよ。でも、やっぱりアメフト選びましたね(笑)。それで大学卒業後は会社に入って。でもその仕事がかなり忙しくなって、身体をこわしたり、メンタル的にも弱くなって、一時期深~く落ち込んだ時期があったんですよ。会社休んで、医者にも通うようになった時に「こんな状態になった原因をつりあげなさい」って先生に言われてね。そこでいろいろ考えたら、結局自分がやりたいことをやってないで、ごまかしていたことが原因って気づいて。その時に初めて歌ってみようかなって思ったんですけど、逆に何していいのかわからんくなって。 ――追いやられた後に、夢に向かってやり始めるのって逆にプレッシャーになったりとか。 山本: そうなんですよ。今さらね、この歳で何言うとんねん…とか、親にも反対されたり。でも、ある時オーディションのフライヤーを発見して。スティービー・ワンダーに会えて、そこでスティービー・ワンダーバンドのキース・ジョンに歌のレッスンを受ける事ができる…っていうような内容だったんですけど受けたら補欠でうかったんで、アメリカへ行っちゃったんですよ。会社辞めて行ったから、帰ったらこのまま仕事に繋げなあかんみたいにがっついて練習しましたね。その時にいろんな理論を周りから盗みました。 ――そこでの経験はかなり大きかったと思うんですが、歌うことに関して一番影響を受けたところは? 山本: 歌=波動だなって。向こうの人ら、歌ってるとね、背中から声が出てるみたいに、VIBESっていうのか、振動っていうのか、なんていうのか分からないですけど、ビビビッてすごいもんを感じるんですよ。何もかもが本気なんですよ。歌っている黒人の横にいるとなんかしらんけど泣けてきて。そん時に歌=波動なんだなって思いましたね。 ――今作「Believe me」では作詞も自分で手掛けたり、聴こえもずいぶん違った気がしたんですが…。 山本: 「Why Not?」(Fantastic Plastic Machine)で参加したときのファルセットがいいねって言われて、「Almost There」はファルセットでやろうってことになったんですね。でも僕はもともと地声でごりごり歌うR&Bが好きでやりたかったんですよ。だから、技術的にも自分の持っているものを出しやすかったのが今作だったのかな。あと、詞に関しては僕もええ歳やし、ここまでくるまでいろいろあったからなんかがんばっていこうよ的な社会に訴えたいほうが優先してるんですよ。だから今回では、言いたいことが言えたのと、歌いたい方法で歌えたっていうのがストレートに出てたのかも。 ――この曲は別れをストレートに歌っていて悲しい曲なんだけど、なにか力強い前向きな感じが伝わってきました。 山本: 別れがテーマで、それから立ちなおるための勇気とか強さっていう曲ですって簡単に言ってるんですけど。でも実際の中身は、さっき話したように僕が社会人になってかなりどん底までいった時があって、その時にいろいろ考え抜いて、でも死んでしまうくらいやったら、いちかばちかでやったほうがええんちゃうかなって思って。その時の詞なんですけど、歌詞の中にでてくる「明日」っていうのが歌うことだったんですね。今の時代って、目標が定まってないっていうか、先が見えにくくなってると思うんですよ。で、僕もその渦中にいて、明日晴れるなんてどうでもええわ~って思ってたりしたんだけど、そうじゃなくて、僕もいろいろあった結果ここまでこれたし、領平にもできたから、私にもできるかもって思って欲しいっていうのが常にあったんですよね。そういう今までの自分のいろいろなストーリーがあって書かせてもらったんです。そやけど、聴いてくれる人は、恋愛とかに置きかえたり、いろいろ解釈してもらって自分なりに聴いてもらって欲しいですね。 ――サウンド的にもエレクトロニックな音色が印象的ですね。 山本: クラブシーンは意識してるんですよ。もともとそっち出身だから。トラックとしても耳につくもの、新しいおもろいことをやりたいっていうのがあって。“何やろこれ…”っていう、違和感とか、なにか思ってもらって、まず山本領平を知ってもらいたいんですよ。 ――前作に続いてカヴァー曲(ドゥービー・ブラザーズの名曲「What A Fool Believe」)も収録されていますが、原曲と全く違った仕上がりですね。 山本: オモチャ箱じゃないけれど、“この曲をこんなふうに歌ってるよ…”っていうカヴァーをやりたくって。ドゥービー・ブラザーズのこの曲を選んだのは、音域も広くてほんま難しいけど、地声と裏声を一緒に入れられるし、チャレンジしようかなって。トラックのアレンジもオールディーズの曲だから、未来系にしたかったんですよね。僕は今後、音楽ジャンルだけじゃなく、国境とか時代のミクスチャーだったり、とにかくオモロイことはブレンドしようぜっていうのをやっていきたいから、時代のブレンドもできるってことでやらせてもらったんです。 ――そして、チャレンジという点ではm-floの第2弾ヴォーカリストに決まって…、レコーディングはどんな感じでしたか? 山本: みんな帰国子女やインターナショナルスクール出身だったから英語で会話したり、メチャメチャ楽しかったです! 曲のストーリーは恋愛の話でお互い好きなんだけど空回ってしまう…って感じで。melody.とのデュエットだけど、VERBALが途中がんがん入ってきて、クロスオーヴァーしている感じが注目ですね。サビとかも3回くらい変わったり、みんなでワイワイって感じでほんと楽しかったです。でも、もうレコーディングは終わってしまって、淋しい~。 取材・文●イトウトモコ | |