『DEEP RIVER』 東芝EMI 発売中 TOCT-24819 3,059(tax in) 1 SAKURAドロップス 2 traveling 3 幸せになろう 4 Deep River 5 Letters 6 プレイ・ボール 7 東京NIGHT 8 A.S.A.P. 9 嘘みたいなI Love You 10 FINAL DISTANCE 11 Bridge (Interlude) 12 光 | | ← 『UH3+』のオリジナル・メガフォンを5名様にプレゼント。 応募はプレゼントページにてどうぞ! | | | 2002年6月にリリースしたアルバム『DEEP RIVER』がロングヒットを続けている中、9月6日に「私、嫁ぎました」という予想もつかなかったニュースをHP上から告白した、Hikkiこと宇多田ヒカル。 その日のうちにビッグニュースとなり日本中をアッと驚かせたが、Hikkiにとって人生の大きな節目を迎えた後のリリースとなるのが、クリップ集の第3弾『UTADA HIKARU SINGLE CLIP COLLECTION + VOL.3』だ。 この通称『UH3+』は、Hikkiの一生のパートナーとなった紀里谷和明氏が全ての作品でディレクションを務めていて、「FINAL DISTANCE」から「SAKURAドロップス」までの4曲のシングル曲はもちろん、最新アルバムのタイトル曲「Deep River」が今作のためだけに撮りおろし収録されている。 5本のクリップのうち、各楽曲ごとに大きな2つの表現がある。ひとつは3部作とも言われている「FINAL DISTANCE」「travelling」「SAKURAドロップス」は絵本に出てくるような架空の世界、そしてもうひとつは「光」そして「Deep River」は日常の生活や人間の源をたどるような自然の姿が表現されており、そのコントラストが印象的だ。 3部作について紀里谷氏は、「「FINAL DISTANCE」「traveling」では対のコントラストという部分がすごく多くてそのパラドックス、矛盾みたいなところがすごく僕の中で大きかったんだけど、やっぱり「SAKURAドロップス」に関してはそれがないですよね。一つの完成形というか、それに対しての答えのような、ま、僕の提案ですけどね。矛盾を使ったほうが表現しやすいんですよ。だからそういう意味では「SAKURAドロップス」はなんのテンションもないというか、単なるユートピアのヴィジョンを表現させるということで難しかったですよ」とその進化について語っている。 各楽曲ごとにそれぞれ全く違ったクリップが作られているのだが、それらの難しいテーマにも関わらず、想像を遥かに超える展開でその楽曲が持つ世界観を膨らましている。考え、デザインされたそのストーリーに対し、Hikkiは奥深い表情や大胆な演技を見せつけ、改めてその天性のアーティスト性に驚かされる。全てのクリップでは鮮やかな色が使われており、想像もつかない景色と細部に渡って極限のものが描かれているのだ。 そして何といっても印象的だったのは自然体のHikkiの姿。今作にはそれぞれのメイキング過程も収録されているのだが、笑顔を見せる場面が本当に多く、スタッフとリラックスした雰囲気で話す場面、しぐさ、ダンスのリハ……本当に楽しんで、そして一丸となってクリップを作っている感じがよくわかる。しかし、本番のカメラがまわるときには会場にピ~ンと空気が張り詰め、瞬きもしないその真剣な眼差しは、さすがに目を見張るほどのプロの姿がそこにはある。監督もスタッフもベストなメンバーが揃い、Hikkiを中心にモノを作る、表現する、伝えるということの情熱がひしひしと伝わってくる。 紀里谷氏は最後の「Deep River」の完成前にこう語る。「ずっと"普通である"ってことがいいことだって思えなかった。でもなんか"普通であるってことがすごくいいことなんだな"っていうことをこの歳になって初めてやっとわかり始めたっていうか(笑)。それは宇多田ヒカルとの出会いはすごく大きかったですよ」 アーティストとしてのHikkiの魅力・才能を今作で改めて認識させられると共に、シンガーとして今度はどういった歌を出してくるのか・・・、非常に期待の膨らむ作品のリリースだ。 文●バークス(02/09/26) | |