| ──今回のマキシ・シングル「ひとり」ですが、これは今までライヴで披露されていた曲ですね。
村上てつや: これはアルバムの『Soul Serenade』用に作っておきながら最終的には収録されずにいたストック曲で。でも周りのスタッフも含めて、そのうちシングルとして発表しようと決めていたものだったんです。だからレコーディングは去年の5月くらいに行なわれていたし、ツアーのアンコールでも披露されていたので、今回ついに満を辞して、という…。ファンの間では知らない人はいない曲ですね。
──21世紀初のシングルという意味でも、こういったアカペラ・ナンバーがこのタイミングで出てきたのはちょっと意外だったんですが。
黒沢薫: みなさん、そうおっしゃるんですよ。21世紀一発目で、何か意味があるのかって。……ないんですよ(笑)。
村上: アカペラは僕らの中では今までもずっとやってきたことだし、今回このシングルをリリースするのも、たまたまこのタイミングになったっていうことで。悩んで話し合って“やっぱり俺たちはアカペラ”だよねっていう会議は、全然なかったですよ(笑)。
──でもアカペラでのシングルを出すのは、これが初めてになりますよね。そういう意味では、今までの気持ちと違ったところはありませんか?
安岡優: そうですね、特には…。
村上: ただ、こういう曲をシングルで出すっていうことは客観的に見たらやっぱり凄いことなんですよね。だから、せっかくそういう機会が巡ってきたし、チャンスを掴んだわけですから、ただ流行りの洋楽をカヴァーするのではなくて、僕らなりのオリジナルの曲でアカペラのヒット曲が出せればいいなっていうのはありましたね。
北山陽一: うん、アカペラのシングルを出して世に問うってことは、(日本の音楽 シーンにとって)凄い大きなことだろうなとは思ったんですけど、僕らにとってそれはいつのタイミングになるかってことまでは考えてなかったし、それを虎視眈々と狙ってたわけでもなくて。でも、偶然でも“21世紀最初の”とかの冠詞が付きやすい時期にリリースできたのは、それはそれで良かったのかなって思います。
酒井雄二: 日本においてアカペラでシングルっていうのは“どうなの?”って容易に言われがちな空気ってありますよね。でもそれはやっぱり新しいから、珍しいからなんだと思うんです。だからこその成功例を打ち出さなきゃいけないっていう使命感は、もしかしたらあるかも。
──ある種チャレンジ的な要素もあると。…カップリングの「東京スヰート」についてはどうでしょう?
酒井: これはですね、私的なことなんですが、僕らのマネージャーの披露宴で歌われて会場の涙を誘った曲ですね(笑)もしくはソウル・ミュージックへの畏敬の念を村上てつやが表わした曲というか…。
村上: これは1曲目がアカペラで、ハモるという意味ではヴォーカル・グループの究極の形で…。
安岡: で、この「東京スヰート」は全く別のアプローチでのヴォーカル・グループとしての究極の形になってます。
黒沢: やっぱりヴォーカル・グループは全員がヴォーカルですから、この曲の中で個々がヴォーカリストとしていろんなアプローチをしてますね。だから最後の方は色んな人が色んなことを言ってたり5つの声が絡み合って一つの曲ができあがっている。そんなところを聴いてほしいですね。
──対極した2曲ですよね。で、さらに3曲目には遂に「永遠に…」の unplugged live versionが収録されることになりました。
安岡: ゴス・プロジェクトの署名で決定した曲ですね。これはそもそもラジオでのON AIR用としてだけに、これとはまた別のピアノ・ヴァージョンを作ってたんですけど、それを聴いたさまざまな方から反響の声があがっていたんです。それを聴きつけたスタッフのアドバイスもあって、もう一度しっとりとしたアレンジに組み立て直して「永遠に」を録り直したんです。それが「永遠に unplugged live version」。その時点では、リリースするつもりは全くなかったものなんです。
──それをロンチで紹介した。それがゴス・プロジェクト2001の始まりでしたね。これは凄い騒ぎでしたよ。ロンチのサーバーも落ちましたから(泣)。
村上: 予想以上でしたね。今回のことで聴いてくれる人たちの気持ちが凄く伝わってきたし。このプロジェクトに参加してくれた人の気持ちを考えると、この曲も強烈ですよね。この3曲って、もしかしたらアルバム1枚ぶんくらい重みのあるシングルかも。
酒井: 相当の濃度があるよねー。もう渇いたら白く塩を吹いちゃう、みたいなね。
一同: (笑)。 |
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