【連載コラム】a flood of circle『THE WILD BUNNY DIARIES』1本目=佐々木亮介、「じゃが無しの肉じゃが」

▶＜Tour WILD BUNNY BLUES＞ 1本目
▶2024年11月28日(木) 千葉LOOK
▶書き手：佐々木亮介(Vo, G)

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“ライブが終わってから次の日ライブまでに書く”という予定で始めたんですが、最初のライブの次の日がもうライブということと、それより煮物(じゃが無しの肉じゃが：肉を炒め、人参と玉葱を炒め、水を入れて、醤油砂糖みりん酒、白滝を加え煮込み、いんげんを別に茹でておき、煮終わったらいんげんを混ぜる。じゃが無しはじゃがが手元になかった為)を煮るということを優先した結果、もう今は次のライブの30分前ということですので、こんなことしてる場合ではないのではないか、と感じています。

やはり煮物を作るバンドマンというのは、今日で終わっても良いという覚悟とは程遠いヌルい場所で音楽をやっていることの証だなと染み染み思います。
及び腰と言いますか。
大変恥ずかしいんですが。
煮物でも煮てないとやってらんない、という部分も心のどこかにあります。

ブログをやる理由は主にツアーのチケットの売れ行きが芳しくないからで、これによって多少なりとも誰かに興味を持ってもらえたら、その稀有な人にチケットを買う気を起こさせることができるんじゃないか。可能性はいつもゼロじゃない、やってみなきゃわからない。正直これまでそう言ってやってきたことで、特に何か素敵なことが起こった経験はないけれども、というような藁にもすがる気持ちからのことなのです。

では果たしてこの文章でそのような効果を期待できるのか？
いやできない。
ただし一生懸命やる気はあるんです、嘘じゃないです。
ただ38年生きているので、こういう人もいることも、こいうことが許せないという人がいることも知っております。
ツアーブログと銘打ってるのだから、しっかり真面目に昨日の出来事を書きたまえと。

しかし自分のようなバンドマンが昨日の出来事を感動的にエモーショナルに、時折おかしさを狙った上滑りの文章を書いて発表するより、煮物のレシピの方がマシなのではないかと思った、というのもまた本音です。
自分は何も発明できずにここまできましたので、まだマシなのではないか、という苦渋の選択をし続けたまたま今日に至る訳です。

じゃあ肉じゃが無しの話でチケットが売れるのか。
これは難しいところです。

昨日のライブは一生懸命やりました。
あと15分で次のライブが始まります。
一生懸命やります。

──佐々木亮介

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