【日本DJ協会 presents Spotlight DJ's】Vol.2「豊洲の人気屋外レストランでDJを起用する理由とは?」
DJといえばナイトクラブのイメージが強いと思われがちだが、近年ではその活躍の場が広がっている。スポーツ会場や企業イベント、そしてレストランなど、様々な場面でDJが求められ、その需要が高まっているなかで、ナイトクラブ以外のシーンで活躍するDJにフォーカスを当て、インタビューを通じて彼らが生み出す魅力に迫ってみよう。
今回は、東京都江東区豊洲に位置するベイサイドビューが楽しめる屋外レストラン「CITABRIA BAY PARK Grill&Bar」のマネージャー佐藤氏と、そこで活躍するDJ KENMAKIに話を伺った。
CITABRIA BAY PARK Grill&Bar
──DJを導入したきっかけは何ですか?
佐藤氏(CITABRIA BAY PARK Grill&Bar マネージャー):コロナ前から屋外レストランとして営業していましたが、コロナ禍では屋外でテイクアウトもできるということで、多くのお客様が来店してくれました。その時、DJ派遣をしている方が営業に来てくれて「この空間にDJを取り入れることでお客様の楽しみがさらに広がる」という提案がありました。また、自粛期間中でナイトクラブが営業できないため、DJたちに活躍の場を提供してほしいという話もありました。それがきっかけでDJを入れるようになりました。「SUNSET MUSIC GARDEN」という打ち出しで開放的な屋外空間でソーシャルディスタンスを保ちながら、DJの音楽や食事を楽しんでもらうスタイルで営業し、多くのお客様にご来店いただきました。
──その時から毎週末DJを入れていたんですか?
佐藤氏:そうですね、金曜日から日曜日にDJを入れていました。今は、基本的には土日に入ってもらっています。時間帯も色々と試しながら、ディナータイムだけでなくお昼にも回していただいたりしています。
──DJを入れることによってどのような変化がありましたか?
佐藤氏(CITABRIA BAY PARK Grill&Bar マネージャー)
佐藤氏:やはり、お店でBGMをかけるのも良いですが、音楽好きな方々にも楽しんでいただけるようにDJを入れています。ただ、クラブのように騒々しい雰囲気にはしておらず、クラブに行くような若い客層だけをターゲットにしているわけではありません。昔クラブで遊んでいたけれど、今は子供ができてそういう場所に行かなくなった方々も、家族を連れて遊びに来られるような空間を目指しています。DJを入れることによって、そういったお客様が楽しめる雰囲気を作ることができたと思いますね。
──DJを入れて良かったと思う時はどんな時ですか?
佐藤氏:良かったと思うのは、飲食だけを楽しむお客様だけでなく、音楽が好きな方々にも来ていただけるようになったことですね。DJがいることで、新しいお客様の層にリーチできていると思います。今まで来なかった人たちが音楽をきっかけにうちのお店を知ってもらい、逆に常連のお客様もDJを楽しんでくれるようになりました。音楽が共通のハブとなり、新たな発見や楽しみを提供できていると感じています。
──さらに、顧客を広げるために、イベントを開催することもありますか?
佐藤氏:イベントはそれほど頻繁にはやっていませんが、コロナビールさんと協力してライブイベントを開催したりしています。その際にも、DJを入れて盛り上げることもありますし、生バンドを呼んでパフォーマンスを行うこともあります。
──DJに選曲の要望などはどのように伝えていますか?
佐藤氏:選曲の要望については、あまり派手にしすぎないことと、クラブのような雰囲気にはしたくないことは伝えています。うちはあくまで飲食店がメインなので、その点がブレないようにするためです。具体的な曲の要望はあまり細かくは伝えず、基本的にはKENMAKIさんにお任せしています。多少のフィードバックはしていますが、お客様からの反応や要望を伝える程度です。
──音量についてはどのようなバランスを意識していますか?
佐藤氏:あまりうるさくしすぎないようにしています。対岸の方から苦情が来ることもあるので、音量の目安としては80デシベル程度です。基本的には食事の邪魔にならないように気をつけて。音楽イベントを行う際は音楽がメインになりますが、普段はレストランとしての雰囲気を優先しています。
──様々なDJが入ってきたと思いますが、良いなと感じるDJはどのような人ですか?
佐藤氏:お客様に愛されているDJですかね。DJ周りのご友人やお家族が来てくれることも多いので、そういったコミュニティを持っていて、自分がプレイする時に呼んでくれる方には、とても感謝しています。本人も含めて楽しんでもらえたら最高です。
◆ ◆ ◆
DJ KENMAKI
──CITABRIA BAYPARKでDJをする際に意識していることは何ですか?
DJ KENMAKI:来場されるお客様の性別や年齢層を常に意識して、それに合わせた選曲を心がけています。例えば、「あのお客様はPOPSが好きそうだな」とイメージしながら、選曲に反映させていますね。
──ここには、お子様連れのファミリーも来店しますが、そういったお客様に向けた選曲で意識していることはありますか?
DJ KENMAKI:ナイトクラブでのDJとは大きく異なるポイントですが、NワードやFワードが含まれる曲は使わないようにしています。
──曲の掛け方もナイトクラブでのプレイ時とは変えていますか?
DJ KENMAKI:そうですね。グルーブ感は常に意識していますが、ミックスせずに曲をそのまま流して繋ぐ場面もありますし、1曲をフルに使ってイントロとアウトロで繋ぐこともあります。ナイトクラブとは違い、激しく盛り上げる感じではなく、ゆっくりと確実に展開しています。BGMであることを一番意識しているので、スクラッチもせず、丁寧に繋いで曲がずっと続くイメージを持ってやっています。
──他にナイトクラブでのDJとの違いはありますか?
DJ KENMAKI:基本的には、その場に合わせた選曲をするという意味では同じですが、ここに来るお客様はナイトクラブのように「騒ぎたい」っていうエナジーを求めて来ているわけではないので、楽しく滞在し、楽しんで飲んでもらうことを考えています。
──CITABRIA BAYPARKでDJを始めた頃に苦労したことはありますか?
DJ KENMAKI:苦労したというわけではありませんが、選曲については色々と試行錯誤して現在の形に行きつきましたね。HIPHOPやHOUSEなども試しながら、お昼にはこの選曲が合うなとか、ディナータイムにはこういう選曲がいいなというイメージが固まっていきました。
──それはお店の方と話し合って固めていったのですか?
DJ KENMAKI:コミュニケーションは取っていましたが、信頼して任せていただいていたので、自分の思うように色々と試させてもらいました。苦労話で言うと、最初の1年は年間を通してDJをしていて、冬はとても寒かったですね(笑)。でも冬の澄んだ空気にJAZZやR&Bがマッチすることを発見できたし、冬時期にやっていた焚き火は雰囲気が最高でした。今では良い思い出です。
──お客様からリクエストをもらうことはありますか?
DJ KENMAKI:リクエストはよくあります。チップを頂いてリクエストされることもあるので、そういう時は、可能な限り応えています。しかし、一部だけを狙うことはせず、全体の雰囲気を考えながらプレイしていますね。
──J-POPのリクエストにも応えることはありますか?
DJ KENMAKI:ありますが、J-POPのリクエストに応えすぎると、それが続いてJ-POP祭りになってしまう時があるので、バランスを考えながら対応しています。全体のお客様を意識して選曲しています。
──この会場でよくかける定番の曲はありますか?
DJ KENMAKI:「Gypsy Woman (Micky More & Andy Tee Remix) - Montefiori Cocktail」と「Smooth Operator - Caio Cenci」ですね。もちろん他にも色々ありますが、この2曲がこの場に非常に合うと感じています。
──夕焼けがとても素敵なこのお店ですが、日が暮れるのに合わせた選曲をすることもありますか?
DJ KENMAKI:夕暮れ時にはAfrobeatsやAmapianoをよくかけます。スマホで日の入り時間をチェックして、その時間に合わせた選曲をしています。例えば、7時が日の入りなら、その前後でサンセットに合う曲をかけ、その後はJAZZ HOUSEやR&Bをかけるなど、大人の雰囲気に持っていきます。
──CITABRIA BAYPARKでDJをしていてやりがいを感じる瞬間はどのような時ですか?
DJ KENMAKI:お客様が帰る時に「DJ良かったです」と声をかけてもらえると素直に嬉しいですね。楽しそうに飲んだり食べたりしている様子や、音楽に合わせて首を振っている姿を見ると嬉しくなります。楽しんでもらって、また来てもらえたら最高です。
──KENMAKIさんはこの店のDJブッキングもお手伝いしていると思いますが、どのようなポイントでDJを選定していますか?
DJ KENMAKI:経験豊富なDJをブッキングするようにしています。色々なお客様が来る場所なので、幅広い選曲ができる人を選んでいます。また、お子さんがいるDJも誘って、家族で楽しめる場にしたいと考えています。子供たちにとって、パパのDJが見れる場になってくれたら嬉しいなと思っていますね。
『CITABRIA BAY PARK Grill&Bar』
東京都江東区豊洲6-4-26
◆公式WEBサイト>
DJ KENMAKI
2002年にCLUB DJとして活動を開始するや瞬く間に関西を中心に脚光を浴びる。国内外問わず、様々なビッグアーティストとの共演は彼にとって大きな経験となり、着実に実力とキャリアを築いていく事になる。そしてそんな状況にも奢る事無く、更なる目標を掲げ2009年に東京へ進出。2009年と2011年にMIXCDを全国展開し、更に新たなファンを獲得する事に成功。大都会のスピーディーかつポリティカルな環境をもってしても彼の勢いは止められず、「今最も成長している都内のDJ」として多くのCLUB関係者の間で注目されている。東京を中心に全国規模で年間250本以上、数多くのCLUBのResident DJをこなす。2011年、2012年には海外アジア台湾でのDJ Playも成功させている。2013年、2014年は徹底的にCLUB Playに特化したSTYLEで現場からの信頼と熱い支持を得る。同年2014年には世界的にも有名なRecord Pool ”DJ CITY JAPAN”のMix Cloud企画の第一弾DJとしてPick UPされ、MixCloud内で”HipHop,Rap部門””TRAP部門”で世界1位を獲得。そのMixの反響も凄まじくMixCloudのOfficial TumblrとTwitterでNewsとしてもPick UPされた。東京へ上京して10年、現在でも東京のTOP DJとして活躍している。
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◆一般社団法人日本DJ協会オフィシャルサイト
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