【日本DJ協会 presents Spotlight DJ's】保育園でDJを起用する理由とは?
2024年10月上旬のこと、「保育園でDJを募集!」というスキマバイトサービス「タイミー」に掲載された一風変わった求人がSNSで話題を集めた。その求人を出したのは保育園だ。
その保育園は毎週金曜日にDJイベントを開催し、子どもたちが音楽を通じて自由に楽しむ場を提供しており、園児が音楽に触れる新たな試みとして、このユニークな取り組みが各メディアにも取り上げられ、大きな反響を呼ぶこととなった。
ナイトクラブ以外で活躍するDJにスポットを当てる企画として、今回は保育園でDJイベントを開催している西新ぶんか保育園(福岡市早良区)の園長・猪原勝敬氏にインタビューを実施した。なぜ保育園にDJを導入しようと思ったのか。子どもたちや保護者の反応は? そして音楽を通した教育の意義について、語ってもらった。
西新ぶんか保育園
──どうして保育園でDJイベントをやろうと思ったんですか?
猪原勝敬園長:7年前に他の園で一度行ったことがあり、その時はすごく好評だったので、今働いている園でもぜひやってみたいと思い、機材をお借りして開催しました。私、迷ったらまずやってみようという性格で、「まずはやってみて、違うなと思う所があったら後で変えればいい」と思って始めてみたら、まさか2回目で話題になって驚きましたね。
──定期的に開催されているんですか?
猪原勝敬園長:はい、今は毎週金曜日にこのイベント専属のDJさんが来てくれて、子どもたちもすごく楽しんでいます。毎週金曜日の恒例行事として定着しつつありますね。うちの保育園では、子どもたちに働く大人の姿を見せたいという思いで、園外保育で美術館や博物館などに連れて行き、いろんな職業を知ってもらう機会を設けています。今回のDJイベントもその一環で、「DJという職業があるんだよ」と感じてもらえたらと思って始めたんです。
──そして保育園でDJ募集をおこなったんですね。
西新ぶんか保育園の園長・猪原勝敬氏
猪原勝敬園長:最近は忙しくてクラブに行けず、DJの知り合いも少なくなってしまって。それで、タイミーを使って募集してみることにしました。本当は保育士でDJもやっている方にお願いしたかったんですが、なかなか見つからず、一般のDJさんを募集したら「子どもたちの前でDJしたい」という沢山の応募を頂いたんですね。
──DJに対し、子どもたちはどんな反応を?
猪原勝敬園長:音楽がかかると自然に身体が動き出すみたいで、知っている曲ならなおさら楽しそうに踊ります。以前、子どもたちをフェスに連れて行ったことがあるんですが、知らない曲でも自由に踊っていて、音楽ってすごいなと感じましたね。知っている曲、知らない曲に関係なく音楽があると自然と楽しんでしまうようです。大人になると照れが出てしまうことが多いですが、子どもたちはとても素直に反応しますね。
──保護者や先生たちはどんな反応でしたか?
猪原勝敬園長:最初は保護者に内緒で始めましたが、記事が出て保護者の方が見た時、「うちの子どもがこんなに楽しんでいるとは」と驚かれました。先生方も最初は戸惑っていましたが、だんだん慣れてきて一緒に踊るようになり、園全体で音楽を楽しんでいる姿が見られるのはとても嬉しいですね。
──入ってもらうDJには、選曲についてどのようにお願いしているんですか?
猪原勝敬園長:特に細かい指定はしていなくて、「子どもたちが好きな曲をかけてください」とお願いしています。なんでも流せば子どもたちは自然に身体が動きますから(笑)。ただ、ダンサーも一緒に来てくれる時があるので、その時はダンサーが本気で踊れる曲を1曲、事前に共有してもらうようにしています。
──ジャンルはどうですか?ダンスミュージックやブラックミュージックもかけたりしますか?
猪原勝敬園長:はい、いろんなジャンルをかけてもらっています。実は個人的に、歌謡曲も流すイベントもやりたいなと思っているんです(笑)。
──過激な歌詞の楽曲については気をつけてもらうこともありますか?
猪原勝敬園長:そうですね。保育園ですから、皆さん気を遣ってくれているようです。とはいえ、子どもたちは内容がわからずに聞き流してくれる部分もありますが、日本語の歌詞で過激な言葉が出てくる場合は避けるようお願いしています。過激な歌詞がそのまま真似されるのはよくないですからね。
──教育における音楽の役割についてどう考えていますか?
猪原勝敬園長:音楽の役割ですか?特に深く考えたことはありませんが、「なくてはならないもの」だと思っています。子どもたちは音楽が流れると自然に身体が動き出しますよね。もし音楽が必要なければ、こんなふうに動くこともないはずですから。だから、音楽って人の生活の中で当たり前に存在してきたものなんだろうなと思っています。だからこそ、音楽を通じて照れをなくして、みんなが自由に踊れる環境を作れたら幸せだなと思うんです。でも、今の教育では「人と違うことは良くない」という風潮があって、個性が押さえられてしまうことも多い。でも社会に出たら「個性を求められる」という矛盾があるので、できるだけそのギャップを埋められたらと感じています。音楽は、そうした個性を自由に表現できる環境づくりに役立つと信じています。「No Music, No Life」って言葉がありますよね。Tower Recordsのキャッチコピーですが、本当にその通りだと思いますね。
西新ぶんか保育園
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猪原勝敬Podcast
◆一般社団法人日本DJ協会オフィシャルサイト
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