【インタビュー】蒼井翔太、自身を解放した<DETONATOR>ツアー映像作品発売「ここから10年先に続いていく、ひとつの光が見えた」

ポスト

6月26日にライブBlu-ray<蒼井翔太 LIVE 2024 WONDER lab. DETONATOR>がリリースされる。

◆ライブ映像

1月〜2月に大阪、愛知、東京の全国3か所で行われたライブツアー<蒼井翔太 LIVE 2024 WONDER lab. DETONATOR>。そのファイナルとなった2月25日のTOKYO DOME CITY HALLの公演と、ドキュメンタリーが収められた本作。今回はライブBlu-rayのリリースを機に、ツアーについて振り返りながら、蒼井翔太が大切にしている“想い”を語ってもらった。

関連記事:【ライブレポート】蒼井翔太、求める声と応える声が“DETONATOR”に

   ◆   ◆   ◆

◼︎セットリストのテーマは“爆速”

──ひさびさの声出しが解禁となったツアーでしたが、まずは制作段階で大切にしようと思ったことやコンセプトを教えてください。

蒼井翔太:今回のツアーは、昨年発売された3rdアルバムの『DETONATOR』を引っ提げてのツアーだったので、そこでアルバムタイトル通り“爆発的”な声出しをするためにまずは僕自身を解放したいと考えました。コロナ禍で声を出せない時期が長く続いたこともあり、ライブでの声の出し方やテンションの上げ方が思い出せなかったり、中にはライブで声を出すこと自体が初めてという方もいたと思うんです。だから、みんなの目の前に立つ自分が解放的になって、声を出すパワーを示して行ければいいなと思っていました。

──実際に生の歓声やコール&レスポンスを聞いてみていかがでしたか?

蒼井翔太:今回はバンドセットでのライブだったんですけど、1曲目の「Freestyle Lover」は、開幕でバンドメンバーが1人ずつ増えていって、それにしたがって音が増えていくという演出にしました。そうやって徐々にテンションを上げていったので、僕が出てくる時には、みんなの気持ちがすでに出来上がっていたんです。初日からそんな感じだったので、ステージに上がってみんなの声を聞いたときは、「ここからまた始まるんだな」と感じましたね。「解放させるぞ!」って思っていたのに、逆に、みんなの声で自分もさらに解放させてもらいました。



──相乗効果だったんですね。

蒼井翔太:そうですね。僕は毎回ライブが終わった後に、次に活かすために確認用の映像を見るのですが、初日の映像を見て驚いたんですよ。自分はこんなに暴れていたんだな、と。ファンのみんなに乗せてもらったような感じでしたね。

──ファンの間では「神セトリ」なんていう声も上がっていましたが、今回のセットリストはどのようなポイントを意識したのでしょうか?

蒼井翔太:“爆速”です。毎回ライブのオープニングMCでも言わせていただいてるんですが、僕のライブは始まったらあっという間に終わるんです(笑)。だから1秒1秒を逃さず、大切に過ごそうねって話をするんですよ。今回のライブは、まずは『DETONATOR』のリード曲「Freestyle Lover」から、2曲目の「Eclipse」につながる流れを再現しようというところから始まりました。そうしたら、みんなが鳥肌を立ててくれるだろうなって。きっとこのライブに向けてずっとアルバムを聴いてくれていたと思うから、頭はアルバム通りの曲順で始めたいな、と。さらには曲順だけじゃなく、曲と曲の間をどれだけ開けるか、もしくは縮めるか、というのもいろいろ話し合いましたね。たとえば、「Existence」との最後の音と「SMILE SMILE SMILE」の始まりの音が同じなので、ここを綺麗に重ねて、間髪入れずに繋いでいきたいといったような意見も出しました。フルコーラスでのメドレーのようなイメージですね。「次はこの曲なんだ!」っていう驚きをみんなに感じていただきたかったので、サプライズするくらいの気持ちで、セットリストを組んでいきました。曲終わりで一旦止まって拍手したい気持ちもあると思うのですが、それよりもみんなが感じている心のビートや楽しみを優先したいと思ったんです。


──今回のツアーでは3パターンの衣装を着ていましたが、それぞれのコンセプトを教えてください。

蒼井翔太:オープニングで着た衣装のテーマは“ニュートラル”です。これまでさまざまなライブでコンセプチュアルな衣装をデザインさせていただいたり、幻想的な衣装を着たりしていました。でも今回は、自分の解放をイメージしたくて、ニュートラルな衣装で歌ってみたかったんです。ツアーのグッズ撮影でも着たオリジナルのセットアップなんですが、ストレッチが効いたデニム生地で動きやすかったので「これならダンスも大丈夫だな」と思って選びました。

──ハードな感じでとてもかっこよかったです。次はネクタイとショートパンツの衣装でした。

蒼井翔太:“スクールロック”をイメージしました。そして、今回絶対に着けたかったのがソックスガーター! 今回の衣装に絶対合うと思ったので、取り入れました。ファンのみんなにも喜んでもらえたんじゃないかなと思っています。このブロックの楽曲は、ロックが基調になっていて、甘めなんだけれども少し激しさもあるような感じですね。そして3つ目のブロックはダンサブルな曲が中心ということもあり、衣装はサイバーな雰囲気がありつつ、太もも部分のチラリズムで男性的なセクシーさも見せたいと思って作っていただきました。オーロラっぽい生地を使っているので光の当たる角度でキラキラして見えるんですよ。



──どれも素敵でした。また、今回はバンドとダンサーを率いた大所帯でのツアーだったのも特徴ですよね。コミュニケーションで心掛けていることがあったら教えてください。

蒼井翔太:新しく参加するメンバーが多かったので、まずは自分から心を開いて、このライブでどんな表現をしたいのかということを、包み隠さず遠慮なく言うように心掛けていました。やっぱり、中心に立つ人間が何をやりたいのかということがわからないと、いろいろ成立しないと思うんですよ。だからライブでどんなことがやりたいのかをしっかり伝えて、それにみんなが乗ってくれるようにお話ししました。

──ライブのMCパートでは蒼井さんの印象を語ってもらっていましたが、それを聞いていかがでしたか?

蒼井翔太:まだ遠慮してるな〜って思いましたね(笑)。ただ、改めてみんなが僕に対してどう感じているのかを聞けたのは、とてもありがたかったです。自分では特に意識していないことを言われることもあったので「こんな風に見えているんだ」という驚きもありました。

──そうなんですね。MCパートがとてもアットホームな雰囲気だったので、すごくいいチームでツアーをしているんだなと感じました。

蒼井翔太:そうですね。今回はダンサブルな曲が続いたので、リハーサルでも休憩を入れてはいるんですけれども、休憩があればあるほど僕はみんなに話しかけに行っちゃうんですよ。だからほんとはちゃんと休憩できてないのかもしれないんですけど(笑)、そうやってコミュニケーションをとっているので、初めて参加するメンバーがいても、お互いに心は開けていると思います。

──ダンスといえば、今回もかなり踊っていますけれども、お気に入りの振り付けや、逆にこれは難しかったというものはありますか?

蒼井翔太:ダンスに関しては、新しい楽曲の振り付けは絶対に1時間以内に覚えるようにしているんです。いまのところ1時間で必ず覚えられていますね。ちっちゃい頃からテレビの前で踊っていた人間なのでダンスがすごく楽しくて、毎回新しい振り付けがどうなるのかワクワクしてるくらい。だから難しかった曲というのは特になかったですね。お気に入りは新曲の「J-E-A-L-O-U-S」かな。振り付けが斬新だったというのもあるんですけれども、みんなとのコール&レスポンスを中心に作り上げた楽曲だったので、初日の完成度に、歌詞が飛んじゃうんじゃないかってくらい驚いたんですよ。YouTubeにコール&レスポンスのレクチャー動画をアップしていたのですが、きっと何度も見てくださっていたんでしょうね。ステージって、ショーとして一方的に見せるという面もあるとは思うのですが、お客さんの思いや声があって成立する楽曲っていうのもあると思っているので。「J-E-A-L-O-U-S」は、なんなら歌うのをやめて、みんなの声を聴いていたいくらいでしたもん(笑)。めちゃくちゃ痺れましたね。


──たしかに、コール&レスポンスで完成したような印象でした。そして、今回は「Alright」でバトントワリングにも挑戦していましたね。

蒼井翔太:「Alright」はいわゆる応援歌なんですが、僕のなかで応援歌といえばマーチングっていうイメージがありました。2017年の<蒼井翔太 LIVE 2017 WONDER lab. -prism->では大きなフラッグを使ったパフォーマンスをしたんですが、今回はフラッシュアイディアで「バトンをやりたい!」っていうのが浮かんできたんです。バトントワリングにはずっと憧れがありつつも、学生時代はバトンに触れたことがなくて。だからバトンを使ったパフォーマンスをすると決まった後は、自分でバトンを買ってきて、独学で回し方を覚えました。約1ヶ月間、毎日練習していましたね。バトンを上に投げすぎて天井にぶつけてしまったり(笑)、練習のしすぎで指の皮が剥けたりしたこともありました。しばらくして、バトンに滑り止めのグリップテープを巻いてもいいということを知ったので、そこからはテープを巻いたバトンで練習しましたね。

──全部自分で調べたんですね。凄すぎます……。スクールミュージカルのような演出も、蒼井さんのアイディアだったのでしょうか?

蒼井翔太:はい。机とか椅子とかを使って、ちょっとお行儀悪いんですけど(笑)机の上に立ったりして。スクールロックっぽい衣装を着ていることだし、みんなでミュージカル風のショーがやれたらいいなと思って提案しました。その前に歌った「Harmony」はMVを学校で撮影させていただきましたし、「Harmony」も「Tone」も、学校の箏曲部を舞台にした「この音とまれ!」というアニメ作品の楽曲だったので、いろいろな“スクール”の要素が重なっているブロックでしたね。

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報