蒼井翔太、“コラージュ”のようなライブ「未来に繋げていきましょう」
蒼井翔太のワンマンライブ<蒼井翔太 LIVE 2024 WONDER lab. Collage>が、12月28日に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催された。
12月にリリースしたばかりの最新ミニアルバム『Collage』を引っ提げ、昼夜2公演が行われた今回のライブ。昼公演は“-UNDER world-”、夜公演は“-DREAM land-”と題し、それぞれ異なる内容のセットリストでカラーの違うステージを展開。2公演で延べ37曲、多種多様な曲調、変幻自在の歌声、さまざまな表情の蒼井翔太が楽しめる、まさに“コラージュ”のようなライブとなった。
◆ライブ写真
昼公演“[-UNDER world-]”は、物々しい雰囲気の男性ナレーションが英語で“自由気ままな小悪魔”の到来を告げるオープニング映像からスタート。そして一面黒で統一されたダークなステージに、全身黒のタイトな衣装を纏った蒼井が降臨すると、ミニアルバム『Collage』より葉月(lynch.)が楽曲提供したラウドロック「FALL」で激しくライブの幕を開ける。ラストは鮮烈極まりないロングハイトーンで決めると、そこから「楽しむ準備はできていますか!」と客席に向けて檄を飛ばし、オペラ風歌唱も圧巻の「PSYCHO:LOGY」でさらにギアを上げ、重厚感と疾走感を併せ持った「Eclipse」へ。ステージを気ままに動きながら投げキッスをプレゼントしたりと、のっけから小悪魔モード全開だ。
そしてファンに向けて「体と心をホットにする楽曲をお届けしたいと思います」と伝えると、ダンサーと共に「Bet On You」「Checkmate」を続けて披露。強い意志の宿った歌声と切れ味鋭いダンスが彼のヒロイックな一面を浮かび上がらせる。バンド&ダンサーの紹介コーナーを経て、セクシャルなレザー衣装に着替えた蒼井は、ヘッドセットマイクを装着してよりダイナミックなダンスと共に魅せた「Da La La」、懐かしくもグルーヴィーな「Magic Of Love」を連続でパフォーマンス。ファンもペンライトや身を揺らしながらノリノリで楽しむ。
MCでミニアルバム『Collage』ではいろんなジャンルの楽曲に挑戦したことに触れると、その中から自身が作詞したバラード「そのままで」を披露。失恋の心情を描いた歌詞と切々とした歌声が会場に染みわたっていく。続けて女王蜂のアヴちゃんが提供した哀愁溢れる「8th HEAVEN」を感情たっぷりに歌い上げると、そこから一転、心が燃え上がるようなアップチューン「BAD END」へ。緩急自在のセットリストでファンを虜にしていく。
「ライブの時間が本来の自分に戻れる場所と言っても過言ではないです」と、ファンと共に作り上げる時間に対する想いを改めて言葉にした蒼井は、「まだまだ皆さんのお声を拝借する楽曲がたくさんありまして」と期待を高め、ここからラストまで一気に駆け抜けていく。まずは和の要素が香るロックチューン「零」で会場のボルテージを一気に引き上げると、激しさと艶やかさが同居した「秘密のクチヅケ」では観客から盛大なコールを引き出す。そして煌めくようなハイトーンボイスがさく裂した「絶世スターゲイト」で新世界への扉を開くと、『Collage』よりボカロPのえいぷが提供した「ハイドアンドシーク」でかつてなくハイテンションな姿を見せる。ラストは「皆さんのお声を拝借!」と前口上を述べて情熱的な和ロック「MURASAKI」。間奏では花吹雪が降り注ぐなか赤い番傘を手に舞うパフォーマンスでも魅せてライブ本編を結んだ。
「しょーたん」コールを受けてのアンコール1曲目は、蒼井自身が作詞・作曲した「Existence」。バンドの生演奏も加わったパワフルなEDMでオーディエンスを熱狂させると、そこから流れるように疾走感溢れるデジタルロック「UNLIMITED」に繋げ、ファンと掛け合いながら気持ちを合わせて一体になっていく。さらにその後のMCで嬉しいプレゼント。FCイベント「A☆happy lab. Cover Party 2025 ~Anison Collection~」の開催決定をお知らせして会場は歓喜に包まれる。開催日は2025年6月29日、会場は神奈川・カルッツかわさきホール。2022年に行われたFCイベントではファン投票の集計結果を受けて歌唱曲が決められたが、今回はアニメソングがテーマということなので続報を楽しみに待ちたい。
自身が夏の生まれ(誕生日は8月11日)ということもあり、「いつか夏にもライブができたら」と来年以降の抱負を語った蒼井は、ファンに「もっと歌いたいでしょ?」と呼び掛けて昼公演ラストの楽曲「J-E-A-L-O-U-S」を披露。ファンのコール&レスポンスもばっちり、蒼井はときおり客席に向けて流し目を送りながらアグレッシブな歌唱とダンスで会場から大歓声を引き出し、ラストは「来年もよろしくー!」と笑顔いっぱいで伝えて締め括った。
夜公演の“-DREAM land-”は、女性のナレーションが英語で「今宵とびきり無邪気な天使が舞い降ります」とアナウンス。その言葉通り、ステージが明るくなると、そこには背中に天使の羽が生えた蒼井翔太の姿が。ダンサーを従えた彼が1曲目に披露したのは「Magic Of Love」。昼公演でも歌われたが、先ほどとは逆に白をベースにしたステージ、蒼井もジャージ風の衣装に赤いハットとメガネを合わせたポップな装いということもあってかファンタジックな雰囲気に。歌詞にある通りの“現実を忘れるイリュージョン”のようなステージが繰り広げられる。羽を脱ぎ去って「今日は最後まで楽しんでいってくださいね!」とにこやかに挨拶した蒼井は、片思いの切ない気持ちが綴られたラブソング「Stay With Me!!」を届け、続く「Harmony」では爽快な歌声が横浜に舞う。
MCで天使になったことを振り返りつつ、「天使はかわいかったり、ふわふわしているだけじゃないんですよね。かっこいい天使もいるでしょ?」と語って、自分らしく在ることの大切さを歌った「Freestyle Lover」を情熱的に歌唱。そこからポジティブなメッセージを備えたアップチューン「SMILE SMILE SMILE」でファンを笑顔のユートピアに誘う。続くバンド&ダンサーの紹介パートをはさんで「Da La La」に移行する流れは昼公演と同じだが、蒼井とダンサーは白いシャツ衣装に着替えていて、昼公演のダークなテイストとはまた違った趣きに。甘辛な雰囲気の「give me ♡ me」では激しく踊りながら熱烈的に愛を求める。
最近はコラージュノートを作ることにハマっていて、言葉なしで心の中を表現できることに魅力を感じているという蒼井。来年は生け花にも挑戦したいと抱負を語る。そんな彼が言葉で表現した楽曲、自身が作詞(および作曲)したナンバーをここから3曲連続で披露。まずは「そのままで」を哀感たっぷりに歌い上げると、いつまでも一緒にいたい想いをストレートに伝える「ずっと…」では蒼井がファンに向けて「一緒に歌って」と呼び掛けて会場が大合唱する場面も。「心配しないで。僕はいつだってみんなのことを思いながら歌います」と優しく語り掛けてから歌った「glitter wish」でも、Dメロの部分をファンと交互に歌い合い、会場にいるみんなで優しい輝きに満ちた景色を作り上げた。
そしてライブは早くもラストブロックへ。「僕と皆さんでとあるゲームをしましょう」「みんなの声が勝つか、僕に落ちるか」と挑発すると「FALL」へ。激しい曲調に合わせて蒼井の歌声も凄みを増し、猛るような歌い口でファンを“蒼井翔太”という底の見えない沼に落としていく。そして力強さと儚さ、相反する要素が混然一体となったマイナーアップチューン「哀唄」では途中でステップに腰掛けながら艶めかしく表現。さらに彼の真骨頂と言うべき伸びやかなハイトーンボイスが会場中に響き渡った「絶世スターゲイト」、ステージを左右に行き交いながらフリーキーに弾けた「ハイドアンドシーク」を畳みかける。ラストは「これからも月日を共に過ごす度に一緒に進化していけたらと思っています」と呼び掛けると、文字通り“進化”をテーマにした「EVOLVE」をエネルギッシュに歌い上げ、熱狂のさらにその先へと突き抜けてライブ本編を終えた。
アンコールは蒼井自身が作詞・作曲した「汝の言霊」からスタート。ツノ付きのかわいらしい毛糸の帽子を被った蒼井は、柔らかな表情と歌声でファンに大切な気持ちを伝える。続いて歌われたのは、逆境を越えて運命を掴む覚悟を鋭くシリアスな歌声に託した「空は透明な誓い」。ここでデビュー初期からの楽曲を続けて届けるのが熱い。そして最後の1曲。ファンとの別れを惜しむ蒼井が「多分、僕とみんなは同じ気持ちです。なのでその想いを共に共鳴させて、弾かせて、そしてまた未来に繋げていきましょう」と告げると、ラストはダンサーをステージに迎えて「Tone」を晴れやかに歌い上げる。蒼井とファン、それぞれの想いを奏で合ってライブはエンディングを迎えた。
だが夜公演はまだ終わらない。ファンの声に応えてダブルアンコールが実現する。心から嬉しそうな表情を浮かべながら再びステージに姿を現した蒼井は、まず新情報として、本日のライブの模様がアニマックスにてテレビ初放送&配信されることを告知。初回放送日は昼公演が2月16日、夜公演が2月23日となる。
そして蒼井が「ぜひ僕と一緒に“S”を作っていただければと思います」と告げると客席からは悲鳴にも似た歓声が。彼がこの日の最後に用意していたのは、“SHOT A LOVE!”ならぬ“翔太ラブ”を思う存分ぶつけることができるデビューミニアルバム『ブルーバード』の収録曲「SHOT A LOVE!」だ。客席はサビの“SHOW TIME!”の箇所で“S”のハンドサインを作って「しょーたん!」とコール&レスポンス。最後は会場が一体となって「ラララ~♪」と大合唱して、誰もが幸福感に満たされるなかライブは大団円を迎えた。
ダークでクールな“-UNDER world-”、ポップでファニーな“-DREAM land-”。1日2公演を全く違う内容とコンセプトで届けるという、アーティストとしての新しいチャレンジを見事にやり遂げた蒼井翔太。2025年もさらなる挑戦に期待したい。
写真◎上飯坂一
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