【ライブレポート】キングレコード主催<KING SUPER LIVE 2024>、レーベルの絆とアニソンの素晴らしさを体現

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キングレコードが誇る豪華アーティストが集結し、圧巻のパフォーマンスを繰り広げていく大型フェス<KING SUPER LIVE>。2018年の東京ドーム公演以来、約6年ぶり4度目の開催となる<KING SUPER LIVE 2024>は、過去最多のアーティストが出演し、最多の楽曲を届けていくスペシャルなフェスとなった。

「アニソンの思い出と、未来がここにある」というキャッチコピーのもと、DAY1は、キングレコードのアニソンの歴史を辿るようなセットリストを展開。そしてDAY2は、若手アーティストやバーチャルシンガーが加わり、より現在と未来を意識したセットリストが組まれていた。ここでは、DAY2のレポートをお届けする。

◆DAY1 ライブ写真(19枚)
◆DAY2ライブ写真(21枚)


DAY2のトップバッターは宮野真守。会場が暗転し、光が灯るとセンターステージにポーズを取ったまままったく動かない宮野の姿がある。会場の大きな歓声を一身に浴び続け、いつ始まるのかとドキドキさせ続ける宮野。そして唐突に《Come on!》と叫ぶとギターが鳴り響く。続けて《Bass!》の合図にベースが加わり、低音が会場を揺らす。4人のダンサーも登場しスタートしたオープニングナンバー「EXCITING!」。観客を熱狂させるだけ熱狂させ、手を左右に振って会場をひとつにする。間奏での妖艶なダンス、そしてクールなフェイクもかっこいい。


メインステージに立ってからの「Quiet explosion」では、ステージ上のカメラに近づいて行ったり、会場に投げキッスをしたり、広いステージを悠々と歩きながら、惜しみなくその歌声とロングトーンを響かせていた。2曲を歌い終わり<KING SUPER LIVE 2024>の開幕を宣言すると、コール&レスポンスでは、アリーナ・LEVEL3・LEVEL5とLEVEL7にいる観客に呼びかけ、「LEVEL2・4・6どこいった? 所在が気になるのだけど……」と小ボケをかまして笑いを誘うお茶目さもがかわいらしい。


一気に熱くなった会場。続いてセンターステージに登場した愛美は、カオティックなミクスチャーロック「MAGICAL DESTROYER」をぶちかます。Kアリーナのど真ん中で、《デストロイヤーズ》と叫び、同志たちは拳を上げる。世界的なアーティストであるJUN INAGAWAが作詞、そしてAA=のTAKESHI UEDAが作曲を手掛けたロックを、このでかい会場で聴ける爽快感は凄まじかった。

そして赤いSGを手に歌ったのは最新曲「メリトクラシー」。すりぃが手掛けた展開の多い楽曲を、メリハリの効いた多彩な表現力で歌ってみせる。キャッチーなサビと踊れるオケの中毒性はすりぃの魅力で、時代の最先端をいくサウンドに酔いしれた。

メインステージ上方にあるメインスクリーンを背に「Star journey」で、存在感のある歌声を響かせた保志総一朗。スペシャルゲストとして、ヴァイオリニストとコーラスが加わっていたことで、楽曲に奥行きと壮大さが生まれ、宇宙を感じさせるようなステージになっていた。


巨大なメインステージの下手(しもて)側のスクリーンの手間、雲が漂う中で「ココロトラベル」を歌っていく岡咲美保。爽やかな風に吹かれるように、彼女がいるステージが移動し、センターへスライドしていく。このような大きなステージを活かした大掛かりな仕掛けは観客のテンションを上げてくれる。これぞ巨大フェスの醍醐味だと言えるだろう。MCでは、キングレコード所属のアーティストが大好きだと愛を語り、キンスパに出演できる喜びを噛みしめる。そして「ペタルズ」では元気でかわいい歌声を響かせ、花道を手を振りながら歩いていく。このステージに立てる喜びを全身で表現をするかのようなパフォーマンスで、キラキラが溢れていた。


今年1月、ソロデビューを果たした千葉翔也が、メインステージでデビュー曲「Blessing」を黒いレスポールを弾きながら披露する。なんと、これがデビュー後初のライブステージとなるのだが、そんなことは微塵も感じさせない堂々たるステージ。力強さの中に優しさや儚さを感じる歌声で、ファルセットを駆使しながら疾走感溢れる楽曲を歌い切ると、甘い笑顔でステージをあとにした。


続いて、2次元キャラクタープロジェクト「超人的シェアハウスストーリー『カリスマ』」から七人のカリスマ声優[小野友樹、山中真尋、福原かつみ、細田健太、日向朔公、大河元気、橋詰知久]が、白いスーツ姿で登場。自己紹介ソング「めちゃめちゃカリスマ」を歌っていく。ネタ満載のMVをバックに、インパクト絶大な曲を歌い、強引に作品の世界観に引き込んでいく。そして「『カリスマ』に出ている声優だから“カリスマ声優”。ということは、お客さんは“凡人”ということになります」と伝える。その呼称に湧き上がる会場。

「様子がわかっていなくても、すぐわかる建て付けなので、ぜひ一緒に盛り上がってください」と小野が説明していたが、会場全体の察しの良さは完璧。お祭りソング「カリスマジャンボリー」は、会場全体で盛り上がっていた。聴いたことがあるメロディを駆使しながら、見たことがあるようなダンスをする、このわかりやすさは相当クセになる。


キングレコードからメジャーデビューすることが決定したバーチャルシンガー・HACHIは、透明感のある歌声で「ビー玉」を披露。賑やかだった空間が、一気にHACHIの作り上げた空気に変わる。それほど存在感のある歌声。観客も、その歌声に酔いしれているようだったし、HACHIの楽曲をもっともっと聴きたくなるステージだった。


現在放送中のオリジナルTVアニメ『夜のクラゲは泳げない』から、ツルシマアンナが登場。EDテーマ「1日は25時間。」を歌っていく。作品に寄り添った歌詞、キャッチーなメロディと疾走感のあるアレンジ、そして切なさを助長するピュアでカラッとした歌声。これぞ日本の王道ポップソングだと感じた。


そのまま、同作品のOPテーマ「イロドリ」を歌ったのは、シンガーソングライターのカノエラナ。ステージ上手側で、ビルを映し出したスクリーンとイルミネーションをバックにした演出も、渋谷を舞台にした『ヨルクラ』をリスペクトしたもの。どんどん感情が溢れ出ていく抜群の表現力で、曲の世界を表現していく。そして、みんなのペンライトを好きな色にしてもらいつつ、「ちなみにカノエラナの好きな色は深い緑です」と言ったばかりに、一面緑に染まった会場で「Queen of the Night」を力強く、そして時に繊細に歌っていく。曲の壮大さが、大きな会場にとてもマッチしていた。

ステージに登場しただけで圧倒的な存在感を放つ堀江由衣は、ふわふわとしたスカートをたなびかせながら「アシンメトリー」をダンサーと共に歌っていく。彼女が歌うだけで、唯一無二の世界観が一瞬にして作り上げられるからすごい。

MCでは「ちょっとだけコール&レスポンスをやっていいですか?」と言って、メガネ・コンタクト・裸眼…/長男・次男…/長女・次女…と、だんだん声が小さくなるコーレスをやっていく面白さ。さらに暴走して、カードや銀行でコーレスをし、最終的に「私が言うのも何ですけど、個人情報をべらべら喋らないほうがいいと思います」というオチまで付けていたのは、さすがだった。

そしてもう1曲は「バニラソルト」。彼女が曲名をコールすると会場からどよめきが起こったが、08~09年に放送されたTVアニメ『とらドラ!』は、多くの人の心を揺さぶった作品だったし、完成度の高いライブを見ながら、その切ないラブストーリーを思い出して、うるっと来た人も多かったのではないだろうか。改めて何年経っても色褪せず、そのシーンを思い出させてくれるアニソンの素晴らしさを感じた。


作品に寄り添ったロックチューンを歌ってきたバンド、saji。まず1曲目はTVアニメ『Helck』のEDテーマ「スターチス」。ヨシダタクミ(Vo)のファルセットも美しく、バンドのパフォーマンスは百戦錬磨の安定感だった。MCでは、<キンスパ>へ初出場できることへの喜びと前身バンドを含めた、彼らの歴史を語る。そして、彼らの転機ともなった、バンド名がsajiになってからの始まりの曲「ツバサ」を歌っていく。高音も地声で歌い、羽ばたいていきたいという想いを力強く表現していたのが印象的で、観客もその熱いステージに応え、拳を突き上げ、楽曲に身を委ねていた。


アイドルユニットであるRISE(Extreme Hearts)[葉山陽和(CV.野口瑠璃子)、小鷹咲希(CV.岡咲美保)、前原純華(CV.優木かな)、橘 雪乃(CV.福原綾香)、小日向理瀬(CV. 小澤亜李)]の5人がセンターステージに登場。一体感のあるダンスパフォーマンスで「大好きだよって叫ぶんだ」を披露。アニメの映像を背負って歌っていたのは彼女たちだけだったと思うが、それがとても感動的だった。そして大きなクラップが起こしながら、TVアニメ『Extreme Hearts』のEDテーマ「SUNRISE」を歌っていく。疾走感のあるアイドルソングで、前向きな歌は会場をキラキラさせていく。また、メンバーの“エレハ”に対する強い想いも感じさせてくれたパフォーマンスだった。


会場を真っ赤に染め上げた七海ひろき。ロックチューン「It's My Soul」は熱かった。自ら拳を突き上げながら熱い歌声を轟かせる。1曲だけなので一瞬の熱狂だったが、七海のパフォーマンス力、歌唱力に圧倒されるには十分だった。

上坂すみれは、尖ったテクノサウンドとキャッチーなサビのフレーズの中毒性がヤバい「POP TEAM EPIC」で、会場を踊らせる。こういうトリッキーな楽曲を歌うときの上坂すみれの突き抜けっぷり、その凄さを改めて感じた。

MCでは、センターステージまでわざわざ走って行き、「スター」「チャイルド」のコーレスを楽しむと、再びメインステージに駆け戻り、もう1曲「ハッピーエンドプリンセス」を歌っていく。この曲は、大石昌良作詞・作曲で、ニュアンスをたっぷり入れて歌ったり、セリフがあったり、早口になったり、曲調が変わるごとに声色を変えたり、とにかく忙しい楽曲。それを楽しそうに歌って、怒涛のステージを終える。


“ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-3DCG LIVE From HYPED-UP 02”は、3DCGによるライブパフォーマンス。生バンドの迫力と、総勢18人、6ディヴィジョン(イケブクロ・ヨコハマ・シブヤ・シンジュク・ナゴヤ・オオサカ)による三位一体の圧巻パフォーマンス。「ヒプノシスマイク-DivisionRapBattle- +」と「SUMIT OF DIVISIONS」のパフォーマンスだったが、3DCGライブだからこそ実現した圧巻のラップバトル。このコンテンツの音楽的なレベルの高さを思い知ったし、ラップを心から楽しむことができた。


前半のトリとなるのは、生けるレジェンド森口博子。真っ白なドレスをまとって、TVアニメ『鎧伝サムライトルーパー』(88年)の「サムライハート」を熱唱。35年以上前の作品なので、まだ生まれていない観客も多かったと思うが、こうやって古き良きアニソンを歌い続けてくれることに感謝しかない。

そして森口が『NHK紅白歌合戦』に初出場したときに歌った楽曲「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」を披露。この曲は『機動戦士ガンダム F91』の主題歌だったが、ガンダムを知らない人にも広く知れ渡っていた楽曲でもある。何度聴いても名曲だし、何度聴いても同じ感動がある。〈めぐり合いはそう奇跡なの 幾億の星が さまよう宇宙(そら)〉という歌詞は、時代を超えて共感を生むフレーズだと思っている。めぐり合う奇跡を実感しながら彼女の透き通る歌声に浸っていた。いつまでもその美しい歌声で、この歌を歌い続けてほしいと願わずにはいられなかった。

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