【速レポ】モンパチフェス＜WWW!!23＞、DOBERMAN「今年最後の夏やからトドメを刺してちょうだい！」

＜What a Wonderful World!! 23＞3日目。少しばかりの寂しさも感じ始める──が、そんな後ろ向きな気持ちを恥じるぐらい魂をゆさぶるバイブスを浴びせてくれたのが、結成からジャパニーズスカミュージックを盛り上げ続ける大所帯バンドDOBERMAN。噛みつくようなシリアスなカッコよさはそのままに、包み込むような温かさまで兼ね備えた彼らは隅から隅までぶち上げてくれた。

◆ライブ写真

ライブの開始を待ちわびていると、「＜What a Wonderful World!!＞、Are You Ready？　浪速のスカバンド、DOBERMANとパーティーできるヤツ、手を挙げろー！」とゴキゲンな声がハブSTAGEに鳴り響く。湧き上がる歓声の中、メンバーが登場し、焚きつけるリズムをバックに吉田田タカシ（Vo）が歓迎とさあ始めるぞという意思を込めた前口上的言葉からマイクスタンドを蹴り上げ、「leap for joy」がドロップされる。会場のテンション感もグッと上がり、踊って叫ぶ自由な空気で満ちていくのだ。


躍動するサウンドと漂うような歌声のコントラスト、勢いづけるコーラスも力強い「パブロ・ピカソ」で地面からグッと持ち上げるようなパワーを見せつけ、「みんな、思い残すことのないよう、ぶっ飛んでちょうだい！」と吉田田が呼びかけた「諸行無常に弧を描いて」は完全に食らってしまうような追撃。原 賢二（Pf）がキーボード台の上に立ち上がって手を振り回せば、Seasir（Tp）はもっといこうよ、と手招きを繰り返す。小山泰弘（Dr）だけがプレイを続け、フロント陣が一斉に向かってきたコーラスも強烈。声も楽器のひとつであり、観客をアゲる為ならすべてをフル活用するのだ。




ここで吉田田が「2023年の夏、まだここに残ってたね。今年最後の夏やからトドメを刺してちょうだい！」と投げかけてから、MONGOL800の25周年を祝いつつ自らも同じく25周年だと報告。この節目のタイミングでずっと一緒にやってきた仲間と共にフェスを作り上げる喜びを口にし、仲間へ捧げる「想うた」を鳴らす。沁みるホーンの調べ、語りかけるように歌う吉田田。そのサウンドに心地よく揺れているところになんとキヨサク（MONGOL800）が登場し、2人でハーモニーを奏でていく。美しすぎるストーリーであり、名場面だった。


そして、互いに25周年を讃えてから、NARI（Sax/SCAFULL KING）も加わり、歌唱はキヨサク、演奏はDOBERMANが担当したというサントリー生ビールのCMソング「川の流れのように」を披露。平成初期から歌い継がれる名曲に新たな息吹を吹き込んでいく。「サントリーの生、飲んでちょうだい！」とひと言付け加える吉田田の役者ぶりも見事。


平和の為の曲、と自由やレジスタンスの賛歌として知られる「Bella CiaO」を奏でてからは、ラストまで駆け抜けようと再びエンジン全開。「踊ろう！　適当に！」と吉田田が粋な言葉で会場を盛り上げた「マリー」からバカ騒ぎしか生まれない「マシジャ」へ。粒マスタード安次嶺、HEY-SMITHの満やかなすも乱入し、NARIもコサックダンスへ挑戦中。もうしっちゃかめっちゃかのステージ上だが、それがいい。それぐらいでいいのだ。




締めくくりとして、無数の観客が手のひらをかざし、エネルギッシュに心を燃え上がらせた「朱い太陽」をセレクトし、Seasirの「ワッタ、ありがとー！　モンパチ、おめでとー！」の言葉で終了と思いきや、最後の最後は「諸行無常に弧を描いて」のショートバージョンを投下。不意打ちながらも一瞬で最高潮へ達する会場。ハブSTAGENの幕開けとして、これ以上ない内容だった。


文◎ヤコウリュウジ
写真◎SARU(SARUYA AYUMI)